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高村の噂1

 同郷からの噂を聞いて、昼に学食で高村と顔を合わせると、二人は和久井の話になった。坂部はいつもの日替わりメニューで、高村は相変わらず値の張る物を食べていた。

「どうしてあの女が名乗っただけで逃げ出してきたんや」

 高村にすれば和久井おろか、坂部が聞き込んだ小石川希実と謂う女も、初耳で全く見識がなかった。それでその時に一瞬お前の顔が浮かんだ。

「それで俺を疑ったんか」

「すまん、悪かった」

 高村は素直に頭を下げた。此処が彼の憎めないところかもしれない。まあ知り合って数ヶ月ではそれ以上の良さはまだ見つからない。

「それで和久井はまだ校門前で頑張ってるんか」

「流石にもうサークルの勧誘をやってるもんはもうおらんよ」

 それでひと安心と謂うところらしい。そこで坂部はまだ知らなかった高村の実家について質問すると、突然過ぎて変な目で見返された。

「そやかて此処では俺は高村、本当にこの大学ではお前しか知らん、今のお前しか……、そやのに和久井はそれ以上にお前の事を知ってるから質問しただけや」

 そう言われると坂部の質問は切なく聞こえる。此処で高村はさっきと同じように又すまんと素直に頭を下げられた。付き合ってまだ間がない坂部に実家の事情聴取をされて普通なら一蹴されてもおかしくないのに、高村は何度も頭を下げてきた。これには坂部もこの男を大事にしたいと謂う思いが俄然と湧いてきた。

 高村は気付いていたが、何処までもそしらぬように聞いてくれる坂部に、ある時期から実家の話はしていない。お互いにそれで良かったが、高村の郷里から来たと言う小石川希実の話が和久井から伝わると坂部は堪えきれなくなった。



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