一蹴 パンツ
西暦2025年7月5日。
太陽フレアにより地球消滅。
という都市伝説的な、大予言的なものをテレビで観て、ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんは激しく動揺する。
「ど、どどど、どうしましょう、お嬢様‼ もうすぐ私が消えてしまいます‼」
「いや、ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんだけじゃなく、何もかもが消えるよ」
「私のパンツもですか⁉」
「いや、何でヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんはヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんのパンツだけは地球消滅しても消えないのでは? と思うの? てか、逆に嫌じゃない? 宇宙空間を自分のパンツだけが漂うって」
「でも、名前書いてますし」
「いや、名前書いたら太陽フレアから逃れられるの? てか、ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんって自分のパンツに名前書くんだ」
何か可愛いな、とウラララ‼ は少し萌える。
「ウラララ‼ 様のパンツにも書いてますよ」
「え? マジ?」
「はい。ご確認ください」
「今脱ぐの? まあいいけど。て、え」
ウラララ‼ がパンツを脱ぎ、それを広げてみると、そこに書いてあった文字は
「ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーって書いてあるけど」
「はい。私が書きましたので」
「何かおかしくない? 一応は私のパンツなのにヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんの名前を書くって」
「でも、名前を書いたのは私ですし」
まあ確かにそうなのだが。確かにヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんが勝手にウラララ‼ と書くのも何か変な気がしなくもない。
「これでウラララ‼ 様のパンツも大丈夫ですね」
「えー? 地球消滅したら一緒に消え去ってほしいけど」
「まあ! 私とウラララ‼ 様の愛の結晶じゃないですか!」
「パンツが? もっと他にないの?」
「じゃあ私のパンツをあげます」
ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんはパンツを脱ぎ、ウラララ‼ に献上する。ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんのパンツはいつもほかほかで湿っており、日向ぼっこして帰ってきた猫のような匂いがする。
「えー? でもそれだとヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんのパンツが無くなっちゃうから、私のパンツをヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんにあげるよ!」
熱い。熱いパンツ交換だ。
「ポケモンみたいですね」
「ああ、モンスター交換みたいな?」
「ええ、サンダースとベトベターみたいな」
「私のパンツそんなに汚くないよね⁉」
「いえ、私がベトベターです。お尻拭くの忘れて」
「忘れないで! 私もう穿いちゃったのに!」
「うわあ、汚い」
「アンタの尻とバースト・リンクしたんだよ!」
「私のレベルは9ですか?」
「えー、それだと私がハルユキくんになるじゃん」
「私は子豚ちゃんも可愛いと思います!」
「すっかり黒雪姫先輩みたいになってるじゃん」
「尻拭姫?」
「いや、ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんの場合、尻噴姫って感じだけど」
「でも、ウラララ‼ 様のパンツそこまで汚くないと思いますよ」
「何で私のパンツが汚い話になってるの」
「教科書を忘れたんじゃああああああああああああああああ。そこの者、糞塗れのサクマヒメにウンコを見せてくれええええええええええええ」
「はい、んん」
ウラララ‼ は尻を出し力むが
「間違えた! 教科書だった!」
どんな間違いだろうか。ウラララ‼ は少し漏らしてしまったが、すぐにパンツの中に仕舞い込む。
「いや、汚えよ! 最高かよ、この子も!」
ズリネ田くんは監視カメラ越しでツッコミを入れるが、勿論サクマヒメやウラララ‼ には届かない。
「この日のパンツ洗濯したの誰だと思いますか?」
「人の黒歴史を掘り起こさないで!」
「哀空様ですよ?」
「しかも哀空だった!」
「それを昨日ベッドで聞かされて」
「楽しそうだなアンタら!」
哀空とのまぐわいを楽しそうに語るヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんを見て、本当に少し羨ましいとウラララ‼ は思うのだった。別にウラララ‼ は哀空のことを好きとかではない。執事としてはお世話になっているし頼りになるが、恋愛感情のようなものは一切ない。というよりも、哀空はヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんの方が好きだろうし、お似合いだとも思うからだ。それに実はウラララ‼ には最近気になる男子がいるが、その話はまあ今はどうでもいいだろう。
「枷くんですか?」
「地の文読まないでよ!」
「読心は得意でして。で、枷くんですか?」
「えー、ううん。どうだろー?」
枷格子牢。ウラララ‼ と同じくGKで、仲間でありライバルだ。ブラックロックにもよく練習に来ていて、思うところがないか? と言われると悩ましい。というよりもウラララ‼ は、彼に対して好意に近い感情を抱いている節もある。
「ウラララ‼ 様はお尻硬いし魅力的です。お尻臭いですし」
「ありがとう。多分臭くなったのはヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんも一因してると思う」
「人の所為にしない!」
「急にロッテンマイヤーさんみたいに!」
「まあ、お尻硬くて臭い女の子嫌いな男子はいませんよ」
「大分偏見ってか全くそんなこともないと思うけど、励ましてくれてありがとう」
「いえいえ。私とウラララ‼ 様は一心同体ですから」
「うん。まあ一パンツ同尻って感じだけどね」
「じゃあ私が今穿いてるパンツをウラララ‼ 様にあげた場合?」
ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんはパンツを脱ぎ、ウラララ‼ に献上する。
「二尻流になるけど」
「そして私は虚尻流です」
「何かそっちのが格好良くない⁉ ただのノーパンなのに!」
「でも刀語よりSAOのがヒットしてますけどね」
「まあ確かにそうだけど、刀語のが名作感強くない?」
「まあそれも否めませんが」
ヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんはノーパンのまま悩む。ウラララ‼ はWパンツのまま笑う。やはりヴァイオレット・エヴァーロッテンマイヤーさんは面白い人だ。ここまで愉快なメイドがいるだろうか。とウラララ‼ はこの素晴らしい世界に祝福のスターバースト・ストリームを放ち、アインクラッドを一層ずつ攻略していくのだった。