放課後のアトリエ教室
もったいないので一応上げる
放課後。
チャイムが鳴ったあとも、なぜか誰も帰らず、ざわざわと残っている教室。
「机どかした。カーテン閉めた。光源の位置もいい……よし、準備完了だな」
相原が静かにそう言いながら、キャンバスを構えた。絵の具の匂いが教室に満ちていく。
そして、向かいに立つのは――
「じゃ、脱ぐぞ」
と、すでに制服のジャケットを脱ぎかけている、例のクールな男。
「待て待て待て待て待てぇ！！」
男子生徒が全力でストップをかけに走った。
「なんで脱ごうとしてんだよ！！ていうかお前、場所わかってんのか！？ここ、教室だぞ！？学校！！生徒が勉強するとこ！！」
「わかってる。静かにすればバレない」
「バレないとかそういう話じゃねえって言ってんだよ！！」
「……でも、描かせてくれって言ったんだ。応えるだけだ」
「応えるなそのまま！！！」
その間にも、すでにシャツのボタンに手をかける主人公。
周りは悲鳴と動揺の嵐だ。
「マジで脱ぐ気じゃん……！」
「ていうか、“あの人にしか描けない俺がいる”とか言ってた相原の熱意が怖い……」
「てかこの状況で当の本人たちが一番冷静なの、なんなん！？感情が死んでるの！？」
「……はっ、これが……“プロ意識”……ッ！」
「違うわ！！！！」
女子の一人が悲鳴混じりに叫んだ。
「お願いだから！お願いだから一枚は着てて！！シャツだけでも！！せめて人としての尊厳を！！！」
「邪魔だって言われた」
「もう相原黙ってろ！！！！」
「……俺は別に、見たけりゃ見ればいいと思ってる」
その言葉に女子全員が爆発した。
「いやそんなの……ッ！」
「イケボで堂々と言うなぁああああ！！！！」
「エッチなのでは！？エッチでは！？でも本人は真顔だし！？わかんないッ！！」
結局その日、先生が廊下から中を覗いて「お前ら何してんだ！！」と叫び、撮影会（？）は一時中止になった。
が。
「じゃあ……明日は屋上でやるか」
「お前らマジで反省してくれ」
