2-2 旅 オスカー視点
――それ、俺が呼ばれるほどのものですか?
思わず出そうになったその言葉を、オスカーは何とか飲み込んだ。自分の現状を考えれば、偉そうなことを言える訳がない。
手にしていた人竜戦争について書かれた本を閉じると、オスカーを呼びにきた見習い錬金術士の青年と一緒に、自室を出て工房へ向かった。
オスカーは、帝都にある錬金術士の店の片隅に間借りをしている。店舗を兼ねた工房には、見習い錬金術士たちが毎日ひっきりなしに訪れて、学習と実験に心血を注ぐ。
オスカーは、そんな彼らに指導することで、わずかながら収入を得てその日を暮らしているのだ。
全て店主であるダグラス老の厚意だ。
だから、その老師に呼び出されれば、自身の研究を置いてでも、彼らの児戯に付き合わなければならない。
いや、世間からすれば、オスカーの研究こそ児戯なのかもしれない。
オスカーは、まだ28歳だが、権威と伝統あるスプリングロウリ魔道大学の准教授である。師匠は、学長まで登り詰めたサンドラ師だ。
学者として大成するには充分な素地を持つオスカーだが、その研究は学会に認められず、大学から研究資金を得ることもできず、細々と一人で学門を続ける日々を送っている。
サンドラ師の多くの弟子たちは、皆が華々しい活躍をしている。
例えば同期のアーネストなどは、同じく准教授ながら、自ら研究室を主宰し、助手や学生を多く集めている。そして大学からの研究資金のみならず、国の補助金や貴族からの私的な援助なども受け、大々的に研究と発表を行っている。
彼の派手な外見と派手な行動が人目を惹くということもあるが、もちろんそれが全てではない。アーネストの研究主題である「探知魔法と攻撃魔法の効果的な連係」が多くの人の耳目を集め、同時に人々の役に立っているからに他ならない。
翻って、自分はどうか。オスカーは自問する。
オスカーの研究する「竜の生態とその文化的嗜好」は、はっきり言ってしまえば彼の趣味の延長のようなものだ。
この世界に竜などいない。
千年前にはいたという伝承も残っているが、もはや実在すらあやしい。はっきり言って伝説の存在だ。その生態や文化、風俗、嗜好などを調べたとして、誰が出資するというのか。もちろん、有閑貴族のなかには興味を示す物好きなどはいるだろうが、いずれにしろ竜研究は非主流なのだ。
それでも、オスカーが不遇をかこちながらも研究を続けるのは、彼が竜を愛しているからに他ならない。
既に滅んだとはいえ、竜は、絵画や物語の中に多く登場する。寝物語に竜の逸話を聞かされる子どもの多くは、その強さや叡知に惹かれる。
オスカーもその一人だった。
そして竜への憧れを抱いたまま大人になった。幸いなのか不幸なのか、オスカーは魔法の適正と学力に恵まれた。
その結果が、この現状だ。
天才として世に知られる師匠サンドラの期待に応えられず、くすぶる日々。同輩のアーネストの栄達と活躍を遠くから眺める日々。
そんな自分の現状をぼんやりと振り返りながら、鬱々とした気持ちのまま、工房に出た。
様々な素材や薬剤を扱う錬金術士の工房は、床も天井も石造りだ。けれど寒々しさなどは微塵もない。
棚に積み上げられた初級から中級の各種参考書や、うずたかく積まれた錬金術素材などが醸す雰囲気は、雑然としながらも、やる気溢れる初学者の活力をそのまま表している。
そしてそんな工房の中央にある調合台に、皆が集まっていた。輪の中心には、ダグラス老がいる。
オスカーが近づいていくと、ダグラス老は白い顎髭を撫でながらにんまりと笑った。
「よくきた、オスカー君。実はよく分からない素材の鑑定を依頼されたんだが、君も見てみないか?」
「はい。では……」
よくある話だ。
冒険者などが、旅先で見つけたよく分からないものを売り込んでくる。さも珍しい物のように言うが、実際は既知の物を組み合わせて珍妙な物に見せているだけだったりする。
先日などは、サーベルタイガーの牙と馬の骨を組み合わせて有角馬だと吹聴している者がいた。そこまで詐欺の意図がなくても、形や色合いが違うだけで騒ぎ立てたが、実際は普通の素材だったということも多い。
だが今回ばかりは違った。
形は鳥の羽根に似ているが、硝子のように向こう側が透けて見える。触ってみると、硬くて軽い。しかしぐっと力をかけると、柔軟に形を変える。
初めて見る素材だ。
けれど、ひとつの予感があった。期待を胸に、ダグラス老を見る。
「これは?」
オスカーの問いにダグラス老が笑う。
「ドラゴンクロウ州で竜らしき怪物が現れたらしい。もう討伐はされたようなんだが、その素材が帝都に持ち込まれたらしい」
予感は当たった。
ぐらりと地面が揺れる。ああ、ついに、ついに。
ダグラス老は、ふらつくオスカーの肩に手を置いた。
「だが、宮廷魔術師どもはその正体が分からない。そこで、学者や魔法使い、錬金術士に鑑定を依頼しているらしい。これの正体を突き止めたら……いや、竜の実在を証明したら、名が売れるぞ。いやもっとだ。歴史に名が残るぞ」
ダグラス老の言葉がオスカーの頭に沁み込むにつれ、動悸が高まる。これが竜の素材だというのなら、当然ながら、竜が現れたことになる。オスカーの長年の苦労が、空しいものでは無くなる。これまでの研究が脚光を浴びるのだ!
オスカーはすぐに旅立った。
ドラゴンクロウ州の北西端にあるコムスパという温泉町を拠点に定めると、竜を探し始めた。コムスパは、火山に近い小さな町だ。
竜らしき魔物は、ドラゴンクロウ州の州都ホワイトレス近くの森に現れたという。しかし都市の近傍の小さな森に住んでいたわけではないだろう。それならば、もっと早くに見つかっているはずだ。
ではどこから来たのか。
オスカーは、州都ホワイトレスの北に広がる山脈だと推測した。高い山々が連なり、深い森や湖もある。竜が人目につかずに生息するには、適しているように思える。
けれどその程度は、誰にでも推測できる。「竜の発見者」という栄誉を求めて、既に多くの学者や冒険者が、州都ホワイトレスの北方に向かっている。
そこでオスカーは、北方山脈のなかでも、西端にある火山に目をつけた。いまだに噴煙を吐く活火山で、周囲に樹木は少ない。
山肌を覆う樹海がないということは、身を隠す場が少ないということだ。それゆえ、他の学者らは、ここに竜のような未知の生物はいないだろうと避けた。
しかしオスカーの考えは違う。確かに森林は少ないが、同時に人里も少ない。こちらの方が、圧倒的に人の目が少ない。例え鬱蒼とした深い森林であっても、案外人の足跡というものはある。知られていないだけで、山中を移動しながら生活している民族もいる。
動植物さえあれば、定住せずとも生きていけるものだからだ。
ならば、生命の気配が乏しい方が、人目につかぬ物も多いだろう。
そう考えてコムスパという温泉町に宿を取り、北方山脈の探索を始めた。
オスカーの目論見は、半分当たり、半分外れた。確かに未知の物は多かった。新種の錬金素材をいくつも見つけた。錬金術師界隈は大喜びするかもしれない。
だが、肝心の竜が見つからない。痕跡にすら当たらなかった。
誤算はもう一つあった。
アーネストだ。オスカーの同輩にして、大人気の実力派研究者が、コムスパの町に来たのだ。自身の研究室から助手を多く引き連れ、探知魔法で広域を探し始めた。
街にいながらにして遠方を調査できるのは、優れた魔法技術の他に、多くの人員と探査機材があるからだ。それらを支えるのは、取りも直さず資金力だ。オスカーとは、実力も動員できる数も動かせる金銭も、圧倒的に違うのだ。
「オスカー、お前も俺のところに来ないか? お前ほどに優秀な者が埋もれていくのは、帝国の損失だ」
コムスパの町で顔を合わせるたびに、アーネストはこんなふうに言ってくる。
「そいつは、どうも」
オスカーとしては、憮然とせざるを得ない。実力だけでなく度量でも負けてしまっては、立つ瀬がない。
そうこうしている内に、オスカーは手持ちが心細くなってきた。食費を削って何とか逗留しながら、山を歩いた。だが心身ともに消耗し、半ばあきらめかけていた。
そんな時だった。
あの素晴らしい女性に出会ったのは。
黒目黒髪の淑やかな女性で、腰に剣を差していた。供には少年が一人という身軽さながら、まるで貴族や神職のような威厳と清楚さを兼ね備えていた。
そんな女神のような女性が、コムスパの町でふらりと入った飲食店で、安く空腹を満たそうとしていたオスカーに食事を世話してくれたのだ。
「あの、すみません、ありがとうございます」
親切に感謝を告げると「良いんだよ、大人の責務というものさ」と余裕のある返事が返ってきた。
女性は、少年から先生と呼ばれていた。そして少年の名はエローというらしい。察するに、どうやら剣の師弟らしかった。
「俺、オスカーと言います。大学の研究でこちらに来ているのですが……手持ちが乏しくて……。本当にありがとうございます」
「なるほど、苦学生か。オスカー君は、何を研究しているんだい?」
「竜です。なんでも州都近くで竜が現れたらしいじゃないですか。俺はもともと帝都で竜研究をしていたんですが、なかなか結果が出なくて……。そこに今回の竜騒動ということで、全財産をかけてここに来ています。もし竜の痕跡でも見つけられたら、大学から研究助成金も出ますし、国の補助金や貴族の支援も得られるかもしれないんです」
思わず熱量たっぷりに語ってしまった。
「なるほど。オスカー君は、竜の研究者だったのか。竜とは確かに面白いものだものね」
「ええ、そうなんですよ。あれほどに物理的魔法的に秀でているにもかかわらず、高度な社会性を持ち、複雑な文明を築いていた種族を、俺は知りません。人類が隆盛する遥か昔から、緻密な建造物を作り上げ、平和に他の種族を支配し、文化的で暴力的な生活を営んでいたんです。例えば……」
いつもの悪い癖が出た。
自分の好きなことになると、相手のことも気にせずに語ってしまう。この悪癖のせいで、研究者仲間には友人が多いものの、界隈を出ると知人が減るのだ。特に貴族や商家などを後援者にしたい場合は、彼らの好む世辞や世間話を磨かねばならないのだが、その方面はどうしても苦手だった。
だが先生と呼ばれる女性は、オスカーのとりとめもない竜談義を楽しそうに聞いてくれた。
「それでオスカー君は、竜を求めてこの辺りを探し回っているという事なんだね」
「ええ。ですが、毎日あちこちを歩きまわっても一向に手掛かりを得られなくて……。そろそろ心が折れそうですよ」
「どれ、私も力を貸そうじゃないか。大学というものには少しばかりしか縁を持ってこなかったが、これでも学問には通じていると自認している」
話しの流れから、このご婦人たちと一緒に山に入り、共に探索することになった。
自らの足で歩き回り、様々な痕跡を頼りに周囲の生態系を予測していくという調査方法は、地味だし楽しいものでは無い。けれど「動植物の生態やそれらの魔法的性質に精通していなければ難しい手法だ。君は良く勉強している」と言って褒めてくれた。
本当は、そんなことないのだ。
「そもそも、探知系の魔法に長けた魔法使いなら、そもそも歩き回らなくて済みますしね」
「それはそうだ。オスカー君はそうしないのかい?」
「俺だって探知系の魔法は修めてますが、人並みなんです。コムスパの町には、探知魔法で竜を探している研究者もいます。同じ方法じゃあ、負けちまいます。それに、俺は、何が何でもこの目で竜を見たいんです」
「オスカー君、君は心掛けが良いんじゃないかい?」
「え? なんです?」
先生とそんな他愛もない会話をしていると、間もなく突風が吹き荒れた。何だと思う間もなく、空に巨大な黒い影が浮かぶ。
その影は、全身が竜鱗に覆われている。四肢の他に大きな翼を持ち、長い尻尾と鋭い牙を見せながら飛翔している。
竜だ。
間違いない。腰が抜けそうなほどに、驚いた。
その竜が声を発した。そう認識したときには、オスカーは地面に倒れていた。土を噛みながらオスカーは思い出した。竜は声に魔力を乗せて会話をする。
自分ごときの魔力では、竜声を浴びて立っていることなど出来ないのだ。
地面に倒れ伏して揺れる意識の中、何とか竜の声を聞き取ろうと耳を傾けた。竜の言語とされているものの一部は、解読されている。少しくらいであれば、聞き取れるはずだ。
そんな自負もあったが、現実はそう甘くはない。
「竜神……人……失望……」
歯を食いしばって解読を試みるが、いくつかの単語を拾うのが精いっぱいだ。だが、驚くことに、さらに別の竜の声が聞こえてきた。先ほどの竜より、はるかに強力な魔力が乗った竜語が、辺りに響き渡る。
「眷族……未熟な……去れ……」
一頭目の竜など比べ物にならぬほどの大音量と大魔力の竜語が、地を揺らし山に響く。その激しさに意識が遠のきそうになったところで、唐突に麗しい女性の声が聞こえてきた。魔力と竜語の暴風など、まるで気にした様子の無い先生だった。
「さて、二人とも。一度町に戻ろうか」
気が付くと竜の姿は遠くの空にあり、辺りには平穏が戻っていた。だが竜語の影響で空から雲が消え、一羽の鳥も飛んでいない。尾根には、ひっくり返って気絶しているヘラジカさえいる。
俺は、確かに竜に出会ったんだ!
華奢な女性に抱えられて山を下りる自分を情けなく思う気持ちもあったが、何より興奮が優った。俺は竜を見た。確かに竜の声を聞いたんだ。だが二頭目の竜を見ることが出来なかったのは残念だ。最初の竜も、体躯や魔力量から察するに支配者級の高位竜だと推察できる。それを言葉だけで追い払ったということは、伝説級の竜神かもしれない。
俺は、神話の世界に触れたんだ!
だが、そんな感動も熱狂も、コムスパの町に着いた時に霧散した。
アーネストだ。
町の入口では「大手柄だ」と興奮するアーネストらとすれ違った。
「よお、オスカー! やったぜ! 馬鹿みたいに大きい魔力の探知に成功した! 竜の魔力に違いない。急いで帝都に戻って、竜遺跡に残存する魔力との照合をする。きっと竜の実在の証明に一歩近づくぞ。竜鱗らしき素材の正体も知れるかもしれん」
キザな切れ長の瞳を興奮に潤ませる彼を見て、オスカーは消沈した。
そうだ、竜を見たと言っても、オスカーの手元には何の物的証拠も魔法的証拠も無いのだ。その点、探知魔法に長けたアーネストであれば、確かな記録を残しているだろう。
なんてことだ。
オスカーとしては、絶望せざるを得ない。竜研究においては誰よりも優れていると信じていたのに、この分野でも後れを取るのか。
アーネストは「オスカーも俺の研究室に来いよ。一緒に分析してくれると助かるんだが」などと言い残し、帝都へ向けて出立していった。
その意気揚々とした後ろ姿を見送ることしかできなかった。
その後のことはよく覚えていないのだが、気が付いた時にはエロー少年と二人で、茶などを啜っていた。人事不省に陥ったかの如く呆然としていたところを、先生らの宿に連れて来てくれたらしい。小粋な作りの、落ち着いた高級旅館だった。
こんな良宿に滞在しているのだ。きっと二人は、金銭に困ることも無いのだろう。恨めしい。そんな八つ当たりにも似た気分で欝々としていると、先生がふらりと現れた。
何気ない様子だが、オスカーには神器を携えた女神に見えた。
「オスカー君、これはささやかながら贈り物だ。まあ、人生には気落ちする時は何回もあると思うが、好きなものに触れて意気軒高を取り戻したまえよ」
そう言いながら、三枚の羽根のようなものを取り出した。
形は鳥の羽根に似ているが、硝子のように向こう側が透けて見える。触ってみると、硬くて軽い。しかしぐっと力をかけると、柔軟に形を変える。
見たことのある素材だ。だが、以前に見たものとは、内包する魔力量と神性が全く違う。
「あの、先生、これは……」
「若者が意気消沈している姿は、見るに忍びない。ほら、竜好きのオスカー君のことだから、喜ぶかと思ってね。さっきの竜から、平和的かつ非暴力的に頂いたんだよ」
先生は、さらりと言う。
そして、竜鱗と一緒に、羊皮紙に竜研究の後援を依頼する文言を認めて厳めしい印鑑を押したものも手渡された。「誰かえらい人に渡しなさい」とだけ言われたが、竜鱗を得たことのあわただしさで、詳細を聞きそびれてしまった。これの正体は、帝都に戻った後に判明した。
帝都へ戻ったオスカーは、竜麟についての論文発表に向けて調査と研究を進めながら、師であり大学長であるサンドラ師に会いに行った。これほどの大発見だ。事前に知らせて、助力を得ようとしたのだ。
先に帝都に出回っていたものより遥かに質の高い竜鱗を目にしたサンドラ師は、まるで我がことのように喜んでくれた。
「おめでとう、オスカー君。これで君の研究も日の目を浴びるでしょう。優れた研究者が、実力に見合った評価と成果を手にする。こんなに嬉しいことはありません」
「ありがとうございます」
にこにこと笑う師を見ることが出来て、オスカーは心の底から安堵した。サンドラ師の弟子の中で、唯一の落ちこぼれは間違いなく自分だと考えていた。だからこそ、師の恩に報いることが出来たことで、ようやく許された思いがしたのだ。
「……そう言えば、お師様。こんな書面を預かったのですが……」
件の羊皮紙を見せたところ、世界一の魔法使いが椅子から転げ落ちた。師が取り乱すところなど、初めて見た。竜鱗を見た時でさえ、こうはならなかった。
「あの、お師様、何か奇妙な点でもございましたでしょうか……?」
「……この書面に押印されている印鑑だよ」
「はい。とても大きくて細かな印章ですね」
「これは大魔導士の印だ」
「だ……?!」
今度はオスカーが腰を抜かす番だった。
大魔導士と言えば、その究極の魔法の業を、スプリングロウリ魔道大学を含めた七大魔道大学の学長に認めさせた、究極の魔法使いの称号である。オスカーの知る限り、七百年を超える魔道大学の歴史の中でも、この称号を受けた者は三人しかいなかったはずだ。もちろん、その全員の名が、残されている。
「お師様……直近の大魔導士と言えば、十年前に異世界から現れ、世界を魔族の侵攻から救った勇者……いえ今は六聖神に数えられる女神……」
「……聞かなかったことにしておきましょう。オスカーさん、あなたも、見なかったことにしておきなさい」
その後、オスカーの研究は世界中に知られ、莫大な研究費を手にすることになった。表向きには、竜研究の成果とされているし、それは間違いではない。だが、大陸に存在する七大魔道大学は、使途を定めぬ莫大な助成を、オスカーに続けることとなる。
登場人物メモ
○ダグラス老
錬金術師の老人。
自分は錬金術を修め、商売でも成功しているので、今は若者を育てることに注力している。オスカーに声をかけて自分の工房に招いた。
意外と大物で、政財界に顔が利く。
○サンドラ師
天才魔法使い。研究でも成果を残しているし、魔法も強い。大陸最強の呼び声も高い。
○アーネスト
イケメン天才。サンドラ師に学んだ。オスカーとは兄弟弟子。オスカーにはもっと活躍してもらいたいと思っている。ダグラス老にオスカーの世話を頼んだのも彼。
○六聖神
かつては五神と呼ばれた善なる神々。十年前に魔界から魔族が侵攻する事件が発生した際に、異界の勇者アスカが現れて解決し、神として信奉されるようになり、六神になった。