4回目 全ての原因へ
「着替えろ」
依頼人達一同は、出向いてきた解決屋にそう告げられた。
「精進潔斎…………身を清める為の服だ。
下着もここで着替えてもらう」
「なんでこんな……」
「これを着ないと祟りや呪いを解決出来ない。
嫌なら着なくていい」
そう言われて依頼人達は、あわてて着替えていった。
この数ヶ月で彼等も祟りや呪いのすさまじさを実感した。
今更それを否定する事はない。
それを終わらせる事が出来るならと、指示に従っていく。
「あと、荷物は置いていけ。
余計なものがあると邪魔になる」
それを聞いて依頼人達は渋った。
さすがに財布などまで置いていくのが躊躇われたからだ。
しかし、
「祟りや呪いがそのままでいいなら帰るぞ」
と言われれば逆らう事も出来ない。
心配ではあったが、財布やクレジットカードなどの貴重品は家に置いていった。
そうして外に出て、停めてあったトラックに乗り込む。
荷台のコンテナ部分に。
物のような扱いに憤慨したり不快感を抱く。
だが、「嫌なら乗るな」と行って去っていこうとする解決屋を見て、慌ててコンテナに入っていく。
そうして関係者全員がトラックの荷物となっていく。
窓もないので外が見れず、どこに行くのかも分からない。
不安と苛立ちが募っていく。
だが、暴れたり叫んだりする者はいない。
以前の彼等なら、数秒でそうなっていただろう。
しかし、もうそんな元気のある者はいなかった。
誰もが壁に背を預けたり、床に寝転んでいる。
頭痛や耳鳴り、嘔吐感と倦怠感。
それらに苛まれて暴れるどころではなかった。
そうして揺られる事数時間。
トラックが止まり、彼等はコンテナから降ろされる。
そこは、彼等がかすかに憶えてる場所だった。
「ここ……」
「心霊スポットじゃねえか」
依頼人をはじめとして、肝試しに来た者達。
それらはかすかに憶えていた。
人里離れた山の中。
廃村になった場所にある祠。
それほど有名ではないが、出るという噂のある場所。
彼等が来たのはそこだった。
「ここでお前らには仕上げをしてもらう」
解決屋は依頼人達に指示を出す。
「お前らが騒いで問題を起こした祠。
そこに言って頭を下げてもらう。
でなけりゃ解決は出来ない」
それを聞いて、依頼者達は不満を抱いた。
なんでそんな事をしなけりゃならないのかと。
体も気持ちも弱っているが、そういう傲慢さはまだ残っていた。
しかし、それも体と気持ちの不調の前では勢いを失っていく。
「やらねえなら帰るぞ」
解決屋のその言葉が止めを刺していく。
不承不承という態度で祠を目指す依頼人達。
肝試しといって禁忌の場所を犯し、いま再びその場へと向かう。
その足取りは重い。
体の調子が悪いのだから仕方ない。
しかし、不思議な事にそれも少しずつ緩やかになっていく。
だんだんと体が軽くなっていく。
頭も気持ちもすっきりとしていく。
依頼人達は、ここに来てようやく以前の穏やかさを幾らか取り戻した。
そう思えた。
しかし、意識は段々と遠のいていく。
自分で自分の体を動かしてるという感覚がなくなっていく。
そもそも思考というものが消えていく。
祠に向かってあるいていく依頼人達。
それらはもう考えるという能力を失っていた。
「終わったな」
解決屋はそう言って息を吐いた。
依頼人が持ち込んだ祟りや呪い。
それがこれで解決される。
祟られ呪われた者を差し出す事で。