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1回目 祟られた者がすがる先

「何とかしてくれよ!」

 怒鳴り声が上がる。

 余程切羽詰まってるのだろう。

 だが、人にものを頼む態度ではない。

 向かいに座る者も、そんな態度にうんざりしていた。



「もちろん、解決するさ」

 怒鳴る男から依頼を受けた者。

 そちらも丁寧とは言い難い態度と口調だ。

 姿勢を正して真剣に…………といった風情ではない。

「ただ、示すもんを示してもらわねえと」

 そうは言うが、微塵もやる気はなかった。

「でないと解決するもんも出来やしねえ」

「ふざけんな!」

 怒声がまた上がる。



「あんた、解決屋だろうが」

「まあ、そう言われてるな」

「だったらどうにかしろよ!」

「言ってるだろ、まず示すもんを示してもらわねえと」

「舐めてんのか?」

「何をだ?」

「ふざけんな!」



 先ほどからこんな調子である。

 話を進めたいのだが、依頼人が進めない。

 解決屋と呼ばれる者は「示すものを」と言ってるのだが。

 それが一向に出てこない。

 これでは対処のしようがない。



 解決屋の言ってる示すもの。

 それは、態度であったり礼儀であったり。

 誠意であったり、つまりは気持ちだ。

 まずはこれがないとどうにもならない。

 心構えだけでどうにかなるものではないが、気持ちが伴わなければ何も意味がない。

 それをこれっぽっちも示さないのだ。

 これではどうにもならない。



(思った通りだけど)

 もとより解決屋もさじを投げていた。

 こいつはどうしようもないと。

 持ち込まれた依頼も解決出来そうにないと。

(まあ、それならそれで)

 どうとでも出来る。

 その為の解決屋なのだから。



「まあ、まずは詳しく話せ。

 でないとどうにもならん」

 そう言って話を続けていく。

 そうまでせずに切り捨てても良いのだが。

 一応、もう少し穏便な方法で進めていく。

 その方が手間が少ない。

「あんたの祟りや呪いを解くためにも」



 世の中には、人智を越えたものがある。

 祟り。

 呪い。

 科学を超越した現象。

 解明されてはいないが、確かに存在する手段。

 それらは時に人に害を為す。



 ここで怒鳴り散らしてる依頼人も、そうしたものに取り憑かれたものだ。

 その為に悲惨な目にあってるという。

 その解決のために神社や寺、霊能者を頼ったという。

 だが、一向に解決が出来ずにいた。



 そんな男が流れ流れて辿り着いたのがここだ。

 心霊現象を専門とする者。

 様々な事象を解決してきた者。

 解決屋と呼ばれる存在。

 それが依頼人が辿り着いた先だった。



 にも関わらず態度が悪い。

 それに解決屋と呼ばれる物も辟易していた。

 もっとも、こういう事も珍しくはないが。



 その解決屋が言葉を重ねていく。

「あんたが正直にならねえってんならどうにもならねえ」

「ふざけんなよ!」

「こっちはテメエを助ける義理も義務もねえ」

「だから、そういうこっちゃねえだろ!」

「それ以上ふざけた態度をとるなら、祟りや呪いを増やすぞ」

「な…………!」

 依頼人はそこで口を止める。



 祟りや呪いの悲惨さは既に味わっている。

 それを更に増やすと言われれば黙るしかない。

 言いたい事は山ほどあったが。



 そんな依頼人を見て、解決屋も少しは気分を落ち着かせる。

 まだ鬱憤の全てが消えたわけではないが。

「そうやって静かにしてりゃいいんだよ」

 身の程を少しはわきまえた輩を睨み付ける。

「無駄な時間を使わせやがって」

 そう言いたくなるほど余計な話をしてきた。



 お前が解決屋か?

 本当に出来るのか?

 嘘だったらただじゃおかねえぞ!

 証拠を見せてみろ!

 …………依頼人が放った声の一部である。



 こんな調子で全然話が進まない。

 解決屋が無駄な時間と言うのも当然だ。

 いったい何でこんな事を言ってるのかさっぱりわからない。

 常に怒鳴ってるのも含めて、行動の全てが不明だ。



「それで、何があった。

 まずはそこから話せ」

 解決屋が命令する。

 そうしてようやく話が少しずつ始まっていった。

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