表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

第四話

「……聖女じゃなければなんだっていうんですか?」

「魔女という名称をお聞きになったことはありませんか?」

「まさか、クローディアがそれだと?」

「ひどいことを申し上げているのは分かっています。しかし神気に痛みを感じるというのは、やはり闇に近いものとしか思えないのです」

「しかし大神官は……」

「その大神官とやらは、信頼にたる人物なのですか?」


 聖女イザベラの言葉に、フィリップは今まで信じていた世界がガラガラと崩れ落ちていくような感覚を覚えた。


 そう大神官、すべて大神官だ。

 神託だといってクローディアを連れてきたのも、周囲の不審をねじふせて聖女にまつりあげたのも、フィリップを婚約者に据えたのも。


 聖騎士団を率いるフィリップは、王族の中でも魔獣討伐の総責任者的な立場にある。そのフィリップを魔女と番わせて、聖騎士団を内部から混乱させる――大神官が闇に属する者ならば、いかにも考えそうなことだった。


「しかしまさか、信じられない。クローディアが……」

「では確かめてみたらいかがでしょう。――これは光に守護された聖なる指輪で、闇の存在が身につけると、ついている水晶が黒く染まると言われています」

 

 イザベラに差し出された指輪を、フィリップは震える指で受け取った。


「フィリップさま、魔性の存在にどうか惑わされないで。お心を強く持ってくださいませ」


 指輪を握り絞めるフィリップの拳を、聖女イザベラの白い指が上からそっと包み込んだ。


「お心を強く持ってくださいませ。魔女を退治して、全てが終わったら、そのときは――」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 7話めの絶望感が素晴らしくて何度も読みに来てしまいます。 魔王が人の心を持ち絶望する分だけ暗黒時代はひどくなったりするんでしょうか? [気になる点] 神様が助けてくれないのならば実にい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ