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~観光~

 

 今日は学院生活初めての休日。

 門限が午後10時に決められているが休日はどこへ出かけてもいいことになっている。 外泊届けを学院に出せば街の宿舎に泊まることも出来る。 これはギルドのクエストを受けた時に1日で終わらないことがあるかららしい。


「今日はどこへ行きたいの?」


「んー、私は服を買い足したいかな。」


「僕はギルドを見てみたいかな。 クエスト受けないとお金無くなるしね。」


 学院で過ごすだけならお金はかからないが今回のように外で何かするにはお金がいる。 実家から旅立つ時に貰ったお金がまだ残っているため今すぐにクエストをする必要はないが近々必要になるだろう。


「それだと…まずはギルドかな。 服買った後にギルド行くの面倒だよね。」


 ということでまずはギルドに向かう。 都市の北東に位置しているらしくそれなり歩かなければならない。


「ちなみに私たちが受けれるクエストってなると街の掃除か薬草とかの採集クエストくらいかな。 私はまだ受けたことないけどね。」


「掃除って具体的には?」


 一見歩いている道が汚れているようには見えない。 かなり綺麗に保たれている。


「んー、ドブさらいか落ちてるゴミ拾いかな。 ギルドの職員さんや冒険者さんが度々してるからあんまりゴミは目立たないけどね。」


 なるほど。


「それだと女の子が2人いる僕たちは基本的には薬草採集の方が良さそうだね。」


「どうして?」


「だって臭いとか気になるんじゃない? ある程度綺麗とは言ってもやっぱり髪とかに付いちゃうとね。」


「まぁ、そうね。 気になる。」


「じゃあ私たちは受けるとしたら薬草採集にするの?」


「その方がいいかな。」


「私も賛成。」


 他にも色々と聞いていたらギルドに着いた。 前にも思ったがこの都市なかなかデカい。 学院からギルドまで歩いて30分もかかる。

 まぁ、この辺りで1番大きい都市と言われるだけはあるのだろう。 都市の真ん中にある王宮なんて学院が可愛く思えるほど大きい。 どうやって建てたんだろうか。


「とりあえず中に入ってみる?」


「うん。」


 ギルドの扉を開けて中に入る。 ガヤガヤとしていて屈強な男たちがたくさんいる。


「おっ、こら可愛らしい奴が来たな。」


 声をかけてきたのは近くのテーブルに座っていた白髪に白髭を生やしたおじさん冒険者だ。


「学生さんか?」


「はい、見学しに来ました。」


「そうかそうか! クエスト受ける時はちゃんと危なくねぇのにしろよ!」


 ガハガハと笑いながら背中を叩かれた。 痛い痛い!


「嬢ちゃんらはとりあえず薬草採集からだな!」

「分からんことがあったら何でも聞きな!」

「難しいクエストがあったら手伝ってやるからな!」


 冒険者は怖い人が多いイメージだったがそんなことなかった。


「顔に傷とか屈強な人が多くて怖いと思ったけど、みんな気さくな人たちそうだね。」


「そうだね。」


「君たち。 ギルドのクエストを受けるの?」


 今度は黒いスーツを身に付けた金髪の綺麗なお姉さんが話しかけてきた。


「いえ、今日はどんな所か見に来ただけです。」


「そう! 見学ね! 将来冒険者になるなら色んな人にお話を聞くと今後の役に立つと思うわよ。」


「ありがとうございます。」


 そのあとも受付のお姉さんや冒険者に話を聞いたところ、冒険者になった場合ギルドカードを作成しなければならないこと、冒険者にはE~Sまでのランクがあり上の方が難しいクエストを受けさせて貰えるらしい。 ちなみにSランクの冒険者はこの世界に数人しかいないそうだ。 また、冒険者の登録をしていなかったとしてもEランクのクエストは受けることが出来るらしい。 これが薬草採集や街の掃除といった危険の少ないクエストに当たる。


 一通り話を聞いたところで今度は商業区画にあるエミリアが行きたかった服屋に向かう。


「んー、とりあえずあまり高くないお手軽な服屋さんの方がいいかしら?」


「うん、その方が有難いかな。」


「となると……あそこかなぁ。」


 エミリアの後について行く。

 商業区画は都市の西側にあり今までいた東側と比べるとだいぶ賑わっていた。 まず人の行き交う数が多く露店なんかも開かれている。 まぁ、多いと言っても歩くのが困難な程ではなくあくまでも東側と比べると多いといった感じだ。 馬車も人を乗せる為のものではなく食料などを乗せたものが多く見受けられる。


「んーと。 この道を左に曲がった路地にあるんだけど……あった! ここよ!」


 その店はそこまで大きくはなかったが扉越しに見える服はなかなか立派なものが並べられていた。


 さっそく店内に入って物色する。


「エミリアは服でも何を買いたかったの?」


「んー、日頃着る服がほとんどないからそれと……あとは、その……下…」


 エミリアがこちらを気にしつつ何やらティルに囁いていたがよく聞き取れなかった。


「なるほどね! それなら店の奥の方にあったはずね。」


 店内は女性物の衣服が並べてあるだけで僕が買えそうなものはなかったため後を付いていこうとしたが


「あっ、エルはそこで待ってて。 付いてきちゃダメだから。」


「えっ、なんで。」


「気を遣いなさい。 女の子には知られたくないことがあるの。」


 そう言われて何となく気づいたがチラッと奥を覗き確信した。 これは付いていってはいけない。


「わかった。 店前で待ってるよ。」


 それから待つこと数十分待つのも疲れてきた時に2人が帰ってきた。


「お待たせ…」

「お待たせ。」


 少し顔を赤らめ恥ずかしそうにそう言ったエミリアの顔を見れただけで満足だ。 ティルも小さな小包を提げていたが……うん、何を買ったのか想像するのは止めておいた。



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