表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

~魔法~


学院生活が始まって数日。

学院の授業も本格的に始まった。 今は運動しやすいように支給された肌触りのいい生地で出来た白の半袖、半パンに着替えて訓練場に来ている。 魔法の実技練習をしているが、まだまだ慣れない。 村にいた頃は剣術ばかりを練習していて魔法など触れたこともなかった。 周りと比べて不出来かと言われるとそんなことは無いがやはりエミリアは凄い。


火槍(マルダ)水球(ミルヴァ)雷矢(ムルシム)風刃(メルザ)土弾(モルク)。」


5属性の魔法を瞬時に放ち設置された的を破壊する。 発動速度、威力、精密さ。 どれをとっても間違いなくトップである。 それに全く疲れた様子が見られないところを考えると魔力量、魔力効率もいいのだろう。 村で魔法を使っているところなど見たこと無かったがこれが才能というものなのだろうか。


周りからも「すごーい!」と憧れの目で見られている。 そんな中、金髪ドリル少女が歩み寄ってくる。


「エミリアさん!」


「は! はいっ!?」


急に話しかけられたエミリアは驚いて少しビクついた。


「私に魔法のコツをお教えなさい。 その権利を与えます!」


「え、んー、あんまり考えてやってないからコツと言われても…」


元々できる人にコツを聞くのは間違っている。 何となく感覚で出来てしまうのだからコツも何も考えていないのだ。


「そんなことありますの!? 絶対に何かあるはずですわ!」


「えー、いや、そう言われても本当に何も…」


「はぁ、そうですの…。 私も幼少の時から魔法を練習して来ましたがあなたを見ていると私の努力も霞みますわね…」


「そんなことないよ! ナーヴァさんも十分すごいなぁと思うよ! 私はたまたま運が良くて魔法が使えたけど、努力して来たナーヴァさんは偉いと思う!」


「ふふ…。 ありがとうございますわ。」


エミリアはいつも謙遜するが間違いなく天賦の才能がある。 それが本人も分かっているため努力してきたナーヴァのことも本気ですごいと思っているのだろう。 だが、やはり幼馴染ながら少し嫉妬してしまう。


「ふぅ、水球(ミルヴァ)!」


僕の横で練習しているのはティル。 水属性と光属性の素質があるらしい。 ティルもかなり魔法を上手く使っていて、威力はほぼエミリアと変わらない。


「ティルもすごいね。 的があんなに粉々だ。」


「ありがと。 でも、あれを見せられると自分に才能があるのか分からなくなるわ。 まだまだ魔法を連発出来るほどの魔力もないし。」


ティルの額には少し汗が滲み、呼吸も少し浅くなっている。 その隣でエミリアが5属性の魔法を連発する。


「僕なんてそもそも的を壊せないんだからティルは十分だと思うけどね。 ふぅ、雷矢(ムルシム)!」


僕が放った魔法は的に当たったものの壊れることなく魔法の方が霧散した。


「ふふ、元気出たわ。 ありがと。」


「ん、どういたしまして。」


僕は手を膝につきながら汗を拭った。


「ようし、今日の魔法の訓練はここまでだ。 着替えて少し休憩したら教室に戻るぞ。」


「あっ、それじゃあね。 また教室で。」


「うん、またね。 エミリアもまたね。」


「うん!」


魔法は疲れるなぁ…

魔法は使えた方がいいのかもしれないが父さんが剣術だけで騎士団長になれたなら出来なくてもいいのでは?とも考えたりする。 まぁ、父さんは父さんで剣術の天才だったからこそその地位まで上れたのかもしれないが。


とりあえず汗で濡れた服を着替える。


「いやぁ、やっぱりエミリアさんの魔法凄かったな。」


「俺もあんな風にバンバン魔法撃ちてぇ。」


まぁあれだけ派手に何発も魔法を撃てば話題にもなるだろう。


「なぁなぁ、それよりもさ! 誰が1番良かったよ! 脚とか腕とか綺麗な子多かったよな!」


「お前そんなとこ見てたのかよ。」


「いや、だってついつい目がいくだろ!? お前らは見なかったのかよ。」


「全く見てないかと言われると見たけどさ。」


「だろ? 俺はナーヴァさん推しなんだけどみんなは?」


「えぇ、まぁ、俺はエミリアさんかな。 やっぱ綺麗だし。」


「俺はティルちゃんかなぁ。 幼い感じなのに態度はツンとしているのがいい。」


自分の幼馴染や友達がそんな目で見られているのを少しムッとしながらも聞いていたが、ティルがツン?

確かにクール系ではあると思うが普通に笑顔を見せてくれるし優しいのにな。


まぁ、人の印象など全然違うだろうと思い気にしないことにした。


それからは座学に勤しみ全授業が終わりを迎える。


「よし、それじゃあ明日は学院が休みになる。 街を見て回るもよし学院で自主練に励むもよしだ。 楽しむように。」


とりあえずエミリアとティルの3人でご飯を食べる。


「エル、明日どうする? 休みだけど。」


「ん? んー、特に考えてない。 ティルは?」


「私? 私も特にはないかな。」


「じゃあ3人で街を見て回らない? この街に来てから観光をしてないんだよ。」


「そうなの? なら私が案内してあげるわ。 この街出身だからある程度のことは分かるわよ。」


ということで明日の休みは3人で観光することにした。

ティルは何かと面倒を見てくれて本当にいい子だと思う。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ