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~新しい友達~

 

 先生に連れられて学生寮に到着。

 外観は白を基調としており創立から何年も経っているとは思えないほど綺麗だった。 土魔法で構築したのかどこを見ても継ぎ目がない。 これ程の建物を魔法で建築したとなると相当な技術が必要だろう。


「ここが男子寮だ。 この隣にもう1つ見えるのが女子寮だ。 寮は6階あり今年入学した君たちは3階を使用することになる。 そして、1つだけ重要なルールだが基本的に夜18時以降男子が女子寮に立ち入るのを禁止だ。」


 学生たちから「えぇ〜」、という声がちらこら聞こえたが破った者は罰として反省文やらランニングやら色々とあるらしいのでしっかりと守ろう。


「それでは部屋の鍵を渡していくぞ。 順番は決めてないから取りに来い。」


 先生から鍵を受け取り寮へ向かう。


「エミリア、また後でね。」


「うん、またね。」


「ティル、ちょっといいかな。」


「ん? どうしたの?」


「エミリアは村を出てから色々なことがあってまだ気持ちが落ち着かないみたいなんだ。 良かったら様子を見てあげていて欲しいんだ。」


「ええ、任せて!」


 迷うことなく了承してくれた。 学院初日に頼りになる子が出来て運がいい。


 エミリアのことはティルに任せ自分は寮の玄関を開く。

 まず目に入ったのがみんなが集まれるようになっている広いロビー。 ソファーやテーブルがいくつか用意されており学生がたむろしている。

 そしてロビーの両脇に螺旋階段が立っており各階に登れるようになっている。

 また、天上は1階から6階まで中央が四角に吹き抜けになっており壁や屋根の窓ガラスから光が注がれている。


「なんだよ。 この建物見たことねぇよ…」


 周りの学生は初めて見る寮に唖然としている。 もちろん僕もそのうちの一人だ。


「いつまでもここで突っ立ってないで部屋を確認して来い。」


 鍵に刻まれた番号には321と書かれている。 とりあえず階段を登り自分の部屋を探す。 結果自分の部屋は右の1番端の部屋だった。


 扉の鍵を開けて中に入る。 中もそれなりに広い。 ベットにキッチン、トイレが設備されている。 キッチンやトイレには魔法陣が刻まれており火や水が出るようになっている。


 何もかもが画期的すぎる。


「今日は授業がないらしいし、どうしようかな…」


 夕食にするにはまだ早いし、とりあえず部屋の模様替えをすることにした。


 家具は置かれているがそれだけである。 部屋に色がないためバックに締まっていた家にあった観葉植物を配置する。 あとはカーテンを付けたい。 窓は部屋に入って正面と右側に1つずつだ。 とりあえず、空気の入れ替えのために窓を開けた。


 その時に気づいたが右向かいに女子部屋が見える。 距離としては10mほど離れているだけでなかなかがっつりと中が見えてしまう。 その時女子生徒がその部屋に入ってきた。


 見覚えのあるショートカットの青い髪をしている美少女、ティルである。 何故かボーッとティルのことを眺めてしまっていた。


 ティルもとりあえず模様替えをしようとしているようでベットの位置を一生懸命動かしている。 身長も平均より少し低いくらいのティルにはかなりの重労働だろう。 汗をかいたのか服を脱いでタオルで拭い始めた。 へぇ、青か…初めて見た…


 そんなことを考えながらティルのことを見ているとふとこちらに向き直って目が合う。 数秒固まってからティルが服を着る、そして窓を開けた。


「えっち!」


 いきなり罵声を浴びせられた。 その時にやっと自分が覗き魔であることに気づいた。


「いや!? そんなつもりはなかったたんだ! ごめん!」


 僕の焦りようを見てクスクスと笑いながら窓を閉められた。 やってしまった…。 だがティルも最後は笑っていたし許されてるのでは?


 とりあえず、やり残していたカーテンを付けた。 ティルもカーテンを付けたようだが別に閉めていない。 やはり許されてるのでは!?


 だが流石にまた覗くわけにもいかず気持ちを抑え込みカーテンは閉めておいた。


 さて、そろそろ夕食時だがどうしよう。 部屋にキッチンがあるため料理をしてもいいが男子寮の向かいに学生用の食堂がある。


 サンダリアに着いてからまだ食材を買い足しておらず、初日から1人でご飯を食べるのも悲しいため食堂に向かうことにした。


 考えることはみんな同じなのか食堂には結構な人がいる。


「さて、どうしようかな…」


「エル。」


 食堂のシステムを理解しようと考えていた時に肩を叩かれた。


「エミリア。 それにティルも。」


「良かったら一緒に食べよ?」


「あぁ、僕も一緒に食べようと思ってたんだ。」


「ティルもエルが一緒でいい?」


「んー、そうね。 大丈夫よ。 エミリアに免じてさっきのことは許してあげる。」


 ふふっとイタズラっ子のように笑うティルを不覚にも可愛いと思ってしまった。


 エミリアはポカンと何を言っているのか分からないようだが、僕の覗きは何とか許された……のか?



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