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~入学~

 

 僕たちがホルン村を旅立って2日。

 いくつかの村や町を経由してあと1つ先がサンダリアだ。 宿を取るのも初めは難しかったが今では問題なくできるようななった。


「すみません。 部屋は空いてますか?」


 お茶を飲んでいた鼻に眼鏡をかけた受付のおばあちゃんに話しかける。


「あんたら2人かい?」


「そうです。 出来れば違う部屋で取りたいんですが。」


「ああ、大丈夫だよ。 上の2部屋を使いな。」


 鍵を受け取り2階へ行く。


「それじゃあ、また明日ね。」


「うん、また明日。」


 エミリアは旅立ってから少し俯き加減だったがだんだんと元気は取り戻していた。 もう寂しくて泣くことはないし会話をしていると笑ってくれるようにもなっている。


 ―――――――――


 翌朝鳥の声で目を覚ますととりあえず出かける支度をした。 魔法袋のおかげで荷物がかさばらなくて助かる。


 よし、エミリアの様子を見に行こうかな。

 隣の部屋をコンコンとノックをする。


「エミリア起きてる?」


「あっ! ちょっと待って!」


 バタバタと音が聞こえてくる。

 着替えの途中だったのかな?


 少し待っていると扉が開けられた。

 白いワンピースを着ているのはいいが、まだ頭が少し跳ねている。


「ごめんごめん、入っていいよ。」


「あぁ、いや、もうそろそろご飯を食べに行こうかなと思って誘ったんだ。 でもまだ髪跳ねちゃってるよ。」


「えっ!? わぁぁあ! もうちょっと待ってて!」


 またバタンと扉を閉められ待つ。

 見た目はしっかり者に見えるのにちょっとドジなところや慌てんぼうなところも可愛いと思える。


 しばらくするとまた扉が開き、今度はしっかり整えたエミリアが現れた。


「どう?」


「うん、可愛いよ。」


 よしっ!とガッツポーズする姿に笑いようになった。


 エミリアの荷物も魔法袋に入れて宿のおばあちゃんに別れを告げる。


 今からここを出れば昼過ぎにはサンダリアに着けるだろう。 とりあえず乗合場に行き御者にサンダリアへ行くかどうか聞こう。



「すみません。 この馬車はサンダリアへ行きますか?」


「サンダリアかい? もちろん行くよ。 乗るかい?」


 髪がツンツンした若そうな男性で見た目は少し怖いが優しそうな人だ。


「すまない。 私もその馬車に乗りたいだがいいかな?」


 僕たちの後ろから明るい茶色の長い髪をした女の人が話しかけてきた。 軽装鎧を身につけ腰には細めの剣を差していてる。 歳はまだ20歳前後だろうか。 何よりとても整った顔立ちで綺麗だ。


「あぁ、いいよ。 まだ乗れるスペースはあるはずだよ。」


「助かる。 君たちも一緒してもいいかな?」


「はい、大丈夫ですよ。」


 僕たちとお姉さんを乗せた馬車が走り始める。


「君たちもサンダリアへ行くのかい?」


「はい、第二学院に入学することになっているんです。」


「なるほど、これから学生になるのか。 しっかり学んで強くなるんだよ。」


「はい、頑張ります。」


 しばらく話していると森を切り分けた様な道に出てきた。 父さんに聞いた話だとこの森を越えればサンダリアのはずだが


「ちょっと待ってくんなぁ。」


 道端の茂みからいかにも盗賊といった雰囲気の人たちが何人か出てきた。


「俺たちはこの辺りを縄張りにしてる盗賊だ。 ちょっとばかし荷物を置いて行ってもらおうか。」


「へへ、兄貴、あの娘珍しいですぜ。 それにあの女も絶品だ! 堪んねぇぜ!」


「黒髪に黒目か、高く売れそうだな。 黒髪は傷つけるな。茶髪はアジトへ持ち帰る。 他は好きにしろ。」


「へへ、了解。」


 サンダリアへ向かう馬車は商業馬車も多く、よく狙われることがあるらしいが人攫いに出くわすのは最悪だ。 エミリアを標的にされているようだし僕では勝ち目がない。


「君たちはここで待っていなさい。 危ないからね。」


 綺麗なお姉さんは僕たちの頭を撫でると荷車から降りていった。 お姉さんも標的にされているのにマズいと思ったが、エミリアはガクガクと震えて逃げるのも無理そうだ。 今はエミリアの傍を離れられない。


「おっ! 顔がいいと思ったがスタイルも抜群じゃねぇか! 滾るねぇ。」


「ふっ、下賎な視線を向けてそんなことを言われても何も嬉しくないな。 私を慰め者にしたいのだろう? 出来るものならやってみなさい。」


 腰に差していた剣を抜く。 その剣は刀身が真っ白く、陽の光で煌めいて見えた。


「ん? 兄貴、もしかしてあいつ…」


「私は王立騎士団副団長、リヴィエ・フォン・エンフィールド。 最近子供たちや若い女性が誘拐されているのは貴様らの仕業だな? 捕縛させてもらう。」


「副団長だろうと相手は1人だ。 やれ。」


 盗賊はダガーが2人、弓が1人、片手剣が1人、斧が1人。 後ろにいる斧持ちがリーダーだろう。


「副団長様とヤレるなんて光栄だぜぇ!」


「ふん、貴様らにやれるほど私の身体は安くない。」


 1人のダガー持ちが飛びかかってきたが、リヴィエの剣が煌めいたと思えば次の瞬間には盗賊の肩を貫いていた。


「がぁぁぁあああ!」


「…まとめてかかれ。」


 斧持ちは動かない。 近接戦2人に遠距離が1人。 状況的には不利だが決着は一瞬でついた。 肩や太もも、腕といった致命傷にはならない部分に月々と穴を空けていく。


 盗賊たちは皆うめき声を上げて倒れている。


「あとはあなただけね。」


「流石な分が悪いな。 引かせてもらう。」


 リーダー格の奴が地面に何かを投げたと思ったら光が破裂した。 閃光弾だ。 不意をつかれ目が眩んだ時には男の姿はなかった。 傷ついた部下は置いて逃げたようだ。


「大丈夫だった?」


 お姉さんは僕たちのことを心配してくれた。 エミリアの震えも止まってキラキラした目で見つめている。


「お姉さんみたいになりたい!」


「えっ!? ふふっ! 学院でしっかり学べば私なんか直ぐに追い抜けるよ。」


 お姉さんは照れくさそうにエミリアの頭を撫でた。


書いてて気づきましたが1話で母親の名をエミリアにしてしまってました。 本当はメラルダです。

訂正しておきましたm(_ _)m

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