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閑話その9 危険な集団。その名は老人会

ジジイ…無茶すんな

「なぁ千里ちゃん」

「はいはい。なんだい?このクソジジイ?」


クラン〈老人会〉……ではなくガチな方の老人会メンバーが佐藤裕也のもつ道場…に隣接されたVRの機材が大量に設置された部屋に集まっていた。


部屋の設定温度は26℃。ウォーターサーバーやら洗濯機にシャワー室まで完備されたこの施設は、元は道場に来る人の為に作られたものであったが、今では老人達の楽園となっていた。


そしてここがある意味クラン〈老人会〉の本部でもある。


「千里ちゃん…別に無理して我慢しなくても…」

「嫌だね、いつか銃を作る人が現れるか銃を使えるゲームができるでしょう」

「だからそのためにVRに慣らさないと」


ちなみにクラン〈老人会〉はまだフルメンバーではない。


「俺に!俺にマシンガンを!」

「ヒャッハー!」

「汚物は消毒だー!」

「「「でまだ銃火器使えないの?」」」


戦争帰りで心がすり減ったため隔離されたと言われている老人達であったが、実のところはトリガーハッピーになってしまったために人前に出すことができないだけである。


「いや、そろそろ開発が終わるとか言ってたぞ」

「なんだと!」

「カチコミだな」

「そうですね。カチコミですね」

「よし行くぞ!」


もうジジイ達を止めるものはいない。


「表に装甲車引っ張ってきたぞ!」

「ちょっと待っとれ……確かこの辺りを押すと…」


佐藤裕也もそれを止めるつもりはない。

むしろ加速させるつもりでいる。


「裕也さん!それ……流石ですなぁ」

「それ現役の時の超高周波ブレード『マサムネ』じゃないですか!」

「うわっパワードスーツまで…これどうして持ってるんですか」


床下から出てくるのは大戦時使われた人体の強化スーツと裕也が愛用していた刀。


「え?パチっただけだが?」


無論、大問題である。


「流石っすね…おっちゃんと人数分あるじゃないですか」


〈老人会〉は危険人物の集まりである。

そんなイカレたジジイとババア達の集まりは現役の時の兵装を身に纏う。

身体は60〜70代。しかし心は未だ20歳の老人達は出撃する。


しかもスーツを着るのが早い。

およそ3分で全員がフル装備になった。


「よし。出発。血が騒ぐな…」

「ふへへへへ」

「ふふふふ」

「あっポチの散歩忘れとった」


老人達は装甲車で地下をひた走る。

なぜ地下なのか?

そんなもの地上を猛スピードで走れるわけなかろう。


なお、その地下への入り口が道場の裏手にあるのは考えないこととする。


向かうは永田チーフの勤務先。

ちなみにそこにも出口はある。


正面ゲートを入ったすぐ横であるが


〈老人会〉の全114人は10台の装甲車に乗り地下を走る。


ちなみにこれは現実世界のお話。


『ズザッ…こちら1号車、まもなく出口だ。総員席にしっかり捕まれ……飛び出すぞ』


そして装甲車は時速120キロのまま坂道を駆け上る。


クレイジーなキチガイ集団である。


そこへ正面ゲートからトラックが12台ほど入ってくる。

ちなみにこのトラックは他の国の間者を乗せている。


そのトラックに横から空を舞う装甲車が衝突する。


結果は簡単なこと


トラックは一台ひしゃげ装甲車は10台飛び出しバラバラに止まる。

残るトラックは急停車し中から銃を構えた軍人が洗練された動きで飛び出す。


しかしそんな何処かの国のエースであろう間者は相手が悪かった。


「では久しぶりの戦闘といきますかな」


腰にガチの刀をぶら下げた老人は鉄パイプを構える


「突撃!我ら老人!失う物はない!」

「我らに撤退の2文字は存在しない!」

「打ちまくれ!どうせゴム弾かペイント弾だ!死にはしねぇ!」

「むしろナイフだ!ナイフを使え!」


実弾がなかったためにゴム弾を使うことになった老人ではあるが全員がフル装備をしており尚且つ只ならぬ勢いで突撃して行く。


しかも不殺を心がけていないのか狙う場所が急所ばかりである。


この老人達は死に場所を失った老兵なのであると誰が思ったことだろうか。

老人達は圧倒的な覇気を振りまいている。


しかし敵も洗練されたエリート。

その覇気に怯むことなく銃を撃つ。


しかし相手はクレイジーな老人達である。


「見える!見えるぞ!」


老眼鏡を嵌めただけでは銃弾は見えない。


「遅い遅い!」


盾を20枚重ねてゆっくり前進してるやつのセリフじゃない。


「クソっ弾づまりかよ!ん?イイモン持ってるじゃねぇか。この武器貸すからちょっとその銃借りるぞ」


戦闘中に相手の顔面に武器を投げつけその相手から銃を拝借する手癖の悪さ。


「なんだこのジジイ達!うわぁ!」

「クソッ?本当にジジイかよ?!」

「グオッ……あっ銃取られた!」


ジジイ達は5倍ほど差がある兵力をものともしない戦いをしていた。


「これを喰らえ!」


敵の兵士がロケットランチャーを担ぎその引き金を引いた瞬間…


「甘いわ馬鹿もん」


敵から銃を奪ったジジイがロケットランチャーの弾頭を撃ち抜いた。


爆発。

ロケットランチャーは敵の近くで爆発する。


「クソッタレ!こうなりゃヤケだ!お前ら!全員手榴弾投げ込め!グァ……」

「黙らんか……え?マジで投げるの?」


裕也が司令官らしきものを鉄パイプで殴り黙らせるが敵の兵士達は手榴弾を一斉に投げた。


「悪手だな」

「よし…葬らん」

「ストライクショット」

「いや、それは違うだろ…えいっと」


ジジイ達はそのことごとくを銃をバット代わりにして打ち返した。


ライナー性の弾道を描く手榴弾はそれぞれの持ち主の元へ帰って行き爆発した。


「よし、障害は排除した!開発部の元へ急ぐぞ!」

「「了解!」」


この2時間後にこの国の軍のお偉いさんが来るなどとジジイ達が知る由もなかった。

血に飢える老人達。

この老人会に透析が必要な人は一人もいないのでかなり健康です。

全員が40代後半の体力を維持しています。

裕也に至っては40代前半レベルの動きをします。


そして…

政府の意向により実は町を一つ使って隔離されていた老人達。


え?前に裕也さんが町から飛び出した?

ジジイを止めることは誰にもできないのさ…

え?テレビ出演もしてる?

ほら…裕也さんは比較的まともだから。

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