表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/190

さいかいする姉妹

いよいよキャンパスライフだぁ!

と浮かれていましたがそんなことはありませんでした。

アニメのような大学生は文系なんだそうです。



ピンポーン


インターホーンがもう一度鳴る。


櫛田 舞は玄関を開ける。


「はいどちら様で?」


舞はドアを開けながらそう言う。

ドアを開けた先に立っていた人は、

舞より少し大きめな身長、

舞と似た目つき、

黒髪のセミロングの舞とは対照的な

茶髪ポニーテイルの女子が立っていた。


「沙耶?」

「舞ねぇ?」


別れていた姉妹が再び会った瞬間気になった太郎氏が玄関先の光景を目撃した。


「おーい舞。どうした?」


「「あいだがっだよぉ〜」」


似ているようで違うような顔立ちでかなり違う背格好で髪の色と髪型まで違う女子が抱き合っている場面を太郎氏は見てしまった。


「まいおねぇぢゃぁーん!」

「ざやぁあー!」

「「ううぇぇーーん」」


そしてこれだけ泣いていれば嫌でも気になるもので


「おいおいどうした?」

「太郎…お前女の子を泣かせたのか…」

「俺は何もやっていない!そう何もやっていないんだ!無実だ!」

「え?怪しい…ってなんで舞が二人いるの?!あれ?別人?」

「舞さん。どうしたんですか?」


全員が玄関に集まってしまった。


「ひっぐ…お、おねぇ…この人たち誰?」

「……この人たちはね私のゲーム仲間だよー」

「ゲーム?」


ゲーム。その単語を聞いた瞬間彼女の目つきが変わった。


「わたじばっ!グズっ…私は!『SAYA』!ゲーマーズの大会で3連覇したものなり!ぃ世露四苦(よろしく)!」

「わだじばっ!ひっぐ…『SAYA』の姉の『MAI』!ゲーマーズの大会で毎年妹のサポートをしていたものなり!よろぴくぅ!」


「「「「「あ、どうも」」」」」


ゲーマーズの大会とは年2回行われるeスポーツの祭典のことで毎年多くの参加者が集まり賑わう世界的な行事のことである。

4年に1回のオリンピックと半年に1回のゲーマーズの大会は世界平和に大きく貢献している…とされている。


「まぁとりあえずご飯できてるんで食べてください」

「あー本当だね。2年前までちゃんと活躍してる姿が映ってるよ。双子の姉妹チーム『MASA』ね」

「へーすごい」

「当時は同年代の三つ子兄弟の『TORAMA』と組んでチーム『マサトラ』としても参加してたみたいだね」


片手にパソコンを持った真也が情報を流しながら画面をこちらに見せてきた。

そこには過去の舞と沙耶の様子が映し出されていた。


「ちょっとやめてー!」


と舞が言いながら画面をタローから隠そうとし


「初めましてで黒歴史を暴露されるとは……まさかお姉様!?この鬼畜チョイイケメガネ陰険根暗野郎が仲間なの?!初対面ならもっと相手を敬うもんじゃあないのかよ?あぁ?」


沙耶は真也を罵りまくっていた。

すごく悪っぽいいかにもヤ○キーのボスみたいな雰囲気を途中から作ろうと必死だが舞と再開してわんわん泣いていたあの状態が素である。

しかも声が無駄に可愛いので凄む時に『あぁん?』と言っているのだが全く意味をなしていない。むしろ可愛い。


「誰が鬼畜チョイイケメガネ陰険根暗野郎だ!もう一度言ってみろ!」


「「「いや、聞こえてんじゃん……」」」


「あぁん?なんだと?じゃあもう一度言ってやるよ!この鬼畜チョイイケ陰険根暗短小ヒョロ長根暗ヲタク野郎!」

「……なんて言いやがった?チョイイケ……?…………なぁ裕太。こいつ今、俺がイケてるって言ったよな」

「あぁ、言ったな」

「ねぇねぇ!聞いた!俺が……」

「何回聞かせれば気がすむんだ!出来立ての唐揚げ口の中にぶち込むぞ!」

「「「「「ありがとうございます」」」」」

「じゃあとりあえずこれでもつまんどいて」


ユウはそう言いながらピザとフライドポテトを大皿に盛りテーブルの上に出した。


「なんでピzふぐっ?!…はふはふ……熱っ!」

「あれ?オーブンないとか言ってなかった?」

「ちゃんとキッチンの下についてたよ?自分の家のキッチンについてる機能くらいちゃんと知らないとダメだよ?」


そういいながら裕太は真也の口の中に唐揚げをねじ込みつつ唐揚げの乗った皿をテーブルの上に置く。


「ギブ!ギブっ!……熱いわっ!」

「さっきありがとうございますって」

「じゃあ他の奴らにもやれよ!」

「え〜めんどくさ……で味は?」

「…美味しかったです」

「じゃあ、よくね?」

「くそぉぉおおおお!手が唐揚げ臭いくせに生意気な!」

「さっき唐揚げ作ったんだから唐揚げ臭いのは当たり前だろ…っていうか唐揚げ臭いってなんだ。唐揚げ臭いって」

「なんで2回言ったの?!」

「はーいここ重要でーす。テストに出しまーす」

「なんのテストだよっ!」


裕太と真也が漫才もどきを繰り広げている間リンたちは唐揚げを普通の方法で堪能していた。


「ユウの唐揚げはもともと味がついてるから何かをつけるのは邪道なのよ」


と凛が言えば


「いいえー、唐揚げには塩と相場が決まっていますー」


と舞が反論し


「お姉ちゃん?!唐揚げにはマヨネーズじゃなかったの?!」


と沙耶が舞の体を前後に揺する。


「だって太るの怖いし……」

「お姉ちゃんの裏切りものー!!二人で太れば怖くないって昔言ってたじゃん!」

「最近一人だったし?消費カロリー控えめなエコな暮らししてたからさ?最近マヨネーズがくどくてさ…」

「夜ゲームして昼寝てるだけでしょ?」

「な、なぜばれたし……」

「しかもスルメにマヨネーズと一味唐辛子つけるのまだマイブームでしょ」

「ななな、なぜばれたし?!」


盛大に姉の裏切りが発覚していた。


「ところで麗華は唐揚げには何をつけるの?」


不意に姉妹ゲンカが起きたので凛はそこから撤退しながら麗華に聞いた。


「そもそもカラアゲを食べる機会がありませんの。」

「え?嘘でしょ?唐揚げだよ?」

「お父様が『いいものを食べればきっと足もよくなるよ!』って言って聞かないの。行く店行く店高級店ばかりで……たまにはこういう家庭的なのもいいかなって……答えになってないかな?」


唐揚げをナイフとフォークで切り分けている麗華を見て凛は呆然としていた。


「じゃあ初唐揚げいただきます!もぐもぐ……おっ…」

「お?」

「美味しいよ?…少し安っぽいのにそれ以上に繊細で奥深い味…」

「私のユウの料理を貶してるの?」

「ううん…ただこの料理なら普通に高級店に出てきてもいいかなぁ?って思っただけ」

「お世辞でもそう言われると嬉しいわね。はむっ…うーん…今日のは50点ね」


「繊細で奥深い?……タレに漬け込む時間が甘かったか……?もぐっ…パンチも効いてないし……あぁーしくじった〜」


「どうした?ユウ…じゃなくて裕太」

「別に呼び直さなくてもいいのにタロー」

「じゃあユウって呼ばせてもらうな」

「ござるは使わないのか?」

「シー!」

「ど、どうした?」

「忍者たるもの表の顔と裏の顔を使い分けるものでござる」

「そーいうものなの?」

「そーいうものなのでござる」




ーーーーーーーーーーーーーー



それから数時間が経ち…………


「ところで沙耶ってVRに参加するの?」


ジュースを飲み干した凛が沙耶に聞く。


「それはするでしょ。だってあの『完璧』の『SAYA』様だよ?」


唐揚げを頬張りながら真也がからかうように言う。真也はパソコンの画面をみんなの方に見せながら動画を再生し始める。


「うわーやめて!それは黒歴史だからー!」


沙耶は動画の2回目の再生を止めようと真也に突撃しようとするが凛に止められる。

そこで凛がボソッと呟く。


「舞もなかなか痛かったよね…」

「あ、あれはー、あの頃は厨二病という不治の病にかかっておりましてー」


舞は虚空を遠い目で見つめていた。


「爆撃姫…だっけ?」

「やめてよー……恥ずかしいー」


太郎がからかうように聞くと舞はとても恥ずかしそうに俯いた。


『私の射程圏内に入ったのが間違いね』

『魔法は爆発よ!』

『火力が違うわ』

『火力こそ全て!マジックイズパワー!』


パソコンの画面に舞の発言が次々と流れていく。


「うわっ…恥ずかしっ!」

「ハメを外す…なんてことはしない方が良さそうですね。」

「太郎…みんながいじめるよぉ〜」

「新しい舞の一面が知れて嬉しいよ」

「太郎のバーカ」


「「太郎……」」


男二人が可愛そうな人を見る目で太郎を見つめる。


「な、なんだよ。なんでそんなに可哀想な人を見つめる目で俺を見るんだよ」


真也は

「もっとさ…他に言葉なかったの?」

と言い。

裕太は

「まぁ正直なところ声をかけないのが正解だったような気もするぞ」

と言う。


「それだと無視されたと思われるじゃないか」

「無言でハグ?とか?」

「いやー、俺には無理だわ」


太郎が言い返すと裕太が解決策を提案し、真也がそれを否定する。


「じゃ他になんかあるの?」

「「………女心ってわからん」」

「だよな…」


「でその女子達の前でそんな会話をしていたと言う自覚はあるのか?あぁん?」


沙耶が意味のない凄みを効かせながら聞く。

がその後ろで凛と麗華が無言のマジな凄みを効かせている。


「ん?なんかまずった?」

「まずったかもなぁ…」

「もう帰る時間じゃないか?」


男組はオロオロし始め裕太が帰ろうとし始める。


「あーたしかにーもうかえるじかんだー」

「もうくらくなってきたしかえらなきゃー」


真也と太郎が棒読みではあるが裕太に話を合わせる。


「それもそうね。もう7時だし」


と凛が言い片付けを始めようとした時


『私の後ろには一歩たりとも通さない!』

『私の周りを通れるとは思わないことね』

『そんな攻撃効かない』

『ここは行き止まりよ、死になさい』


パソコンから沙耶の声が流れる。


「「「「真也?」」」」

「忘れてただけだよ!まだ再生してるなんて知らなかったんだ!」

「ギルティ…みんなの判決は?」

「「「「「「ギルティ」」」」」」

「無罪!俺は無罪だぁぁああ!」

「さて麗華さん罰を与えてあげてください」


真也は全員一致で有罪だったので麗華さんが罰を下す。


「じゃあ今度遊園地に連れて行ってくれない?……だめ、かな?」

「全然いいけど……むしろご褒美じゃないの?」

「ちゃんと楽しくないとダメだからね」


「甘っ……とりあえず動画の再生止めて」

「はーい」


沙耶が動画を止めさせる。

それから片付けは黙々と進み片付けが終わった。


「ところで沙耶」

「何?凛?」

「沙耶も【SWO】やるの?」


凛がソファに座りながら沙耶に聞く


「おねぇちゃんもやってるんでしょ?もちろんやるつもりだけど?」


沙耶も凛と少し間を空けてソファに座る


「よかったら私たちのパーティに入らない?ちょうど今6人だから一人分枠が余ってるの」

「え?でもレベルが違いすぎるでしょ?」

「まぁ大丈夫じゃない?」


凛が適当に答える。


「うちは攻略組じゃないし好きなことやってるだけだし」

「真也なんてずっとポーション作ってるし」

「裕太だって鉱山と鍛冶場を行き来してるだけじゃないか」

「凛と麗華は何やってるかよくわからないけどね」


「じゃあ私も入らせてもらおうかな…ところでみんなのレベルって今いくつなの?」

「正直なところたくさんモンスターを倒した後にアップデートが来たからわからないんだよね」


裕太達は最大レベルが60まで引き上げられた後魔物を殲滅しまくっていたのでどれくらいレベルが上がったのかわからないのだ。


「そうなんだ…ところでみんなの役割って何?」


沙耶の問いに凛が答える。


「裕太が前衛、麗華が遊撃、真也は…まぁ生産職だから察して」


凛の説明に裕太が口を挟む


「俺も生産職だけどな」


「で私が遠距離からの火力担当、舞も同じね」


「ふーんで防御の値ってみんなどれくらいなの?やっぱり前衛だと20〜30最初にステ振りするから大体100くらいはあるのかな?」


と沙耶が言うがそんなことはない。

彼らは全員極振り大好きなのだから。

まぁ太郎は別だが。


「61」


端的に裕太が答える


「え?」

「舞は30位だった気がするけど俺たちは全員61しか防御の値がないよ」

「そ、そっか、やっぱレベルが低いんだね」

「50だったよ?今はどうか知らないけど」

「へ?」

「次はゲームの中で会おうよ」

「ヘッドギアないよ?」

「多分なんとかなるでしょ」

「なにそれ」

「じゃあみんなそろそろ時間だし帰ろっか」


「「お邪魔しましたー」」

裕太を筆頭に次々と帰っていく。


「あっそういえば俺は排斥やってるから俺の防御の値は大体80位ね。じゃあまた向こうの世界で。……お邪魔しましたー」


「じゃあまたね。沙耶ちゃん」

「凛さん…あなたのパーティってなんなんですか?」

「最初の街を拠点にしてるだけの普通のパーティじゃない?結構イベントには積極的に参加するスタンスだけど」

「え?もう家持ってるんですか!?」

「うん、そうだよ。じゃあまたね!お邪魔しましたー」


そして家の玄関には2組の靴が残った。


「おねぇちゃん」

「なに?」

「なんて言ったらいいかわからないけど……これからよろしくね」

「うん、よろしく」

「でさおねぇちゃん相談なんだけど…」

「ん?なになに?おねぇちゃんがなんとかしてあげるよ」


「私…ここに住んでいいかな?」

「なに当たり前のこと言ってるの?」

「よかったぁ」

「でもベットは一つしかないから今日は私がソファで寝……やっぱ沙耶がソファで寝て」

「えぇ?なんで?」


櫛田 沙耶。

第68回冬季ゲーマーズ5vs5の部、準優勝

第69回夏季ゲーマーズ5vs5の部、準優勝

第69回冬季ゲーマーズ5vs5の部、優勝

第68回夏季ゲーマーズ2vs2の部、3位入賞

第68回冬季ゲーマーズ2vs2の部、準優勝

第68回冬季ゲーマーズ1vs1の部、優勝

第69回夏季ゲーマーズ1vs1の部、優勝

第69回冬季ゲーマーズ1vs1の部、優勝


櫛田 舞。

第68回冬季ゲーマーズ5vs5の部、準優勝

第69回夏季ゲーマーズ5vs5の部、準優勝

第69回冬季ゲーマーズ5vs5の部、優勝

第68回夏季ゲーマーズ2vs2の部、3位入賞

第68回冬季ゲーマーズ2vs2の部、準優勝

第68回冬季ゲーマーズ1vs1の部、準優勝

第69回夏季ゲーマーズ1vs1の部、準優勝

第69回冬季ゲーマーズ1vs1の部、準優勝


かつてのゲーマーの頂点に立っていた姉妹が再び動き出した。


「おねぇちゃん…私抱き枕がないと眠れないんだ…」

「へぇそうなんだ…」

「おねぇちゃんを抱き枕にしていいかな?」


舞は身長148cm。対して沙耶は身長158cm。


「おねぇちゃんふわふわだぁ」

「ちょっと沙耶ぁー?!」


2卵生双生児の為顔はあまり似ていない双子であるが妹に持ち上げられる姉とは悲しいものがある。


「持ち上げないでー!」

「いいでしょ、おねぇちゃん。おねぇ成分が足りないの」

「このシスコンめー!」

「まんざらでもないくせにおねぇちゃんこそシスコンなんじゃないの?」

「そんなこと…」

「大会で最後いつも手を抜いてたよね?」

「……黙秘を行使するー」


再会を果たした姉妹は同じベットの上で眠った。


「んにゃ……おねぇ……ちゃん……」

「んんっ……さ……や……ぁ……」


姉は妹に抱きつくように、妹は姉を抱きしめるようにスヤスヤと眠った。

物が少なくパソコンとVRのヘッドギア、机と椅子そしてベットくらいしかない舞の部屋。

その無機質な部屋の中、机の上にはソフトクリームを持った太郎と舞が満面の笑顔で写っている2ショットの写真が飾ってあった。

そしてその横には小さかった頃の舞と沙耶の2ショットの少し陽に焼けた写真が大事そうに飾ってあった。

舞はサポート役でした。

なんのサポートか?もちろん火力ですよ。


後、再会しただけで泣くのは不自然かと思いますがそれはそれだけの姉妹愛ということで納得していただければ…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ