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試練に向かって

ゲームの内の端。そこには塔が建っている。

そしてここが試練と呼ばれる場所でもあった。

ハナはそこをいち早く発見することができた。

見つけた理由はマップを埋める為走り回っていたからである。


「中に入ろうかな?…でもみんなで来た方が楽しいよね。」


元々は非リア戦線を保っていた同士。

裏切られたとはいえそれは祝福すべきなのだろうとハナは思った。


「じゃいい感じに素材も集まったし帰ろっと」


ハナは森を駆け抜けていく。

しかしここは適正レベル70と言われる魔境。

次々とモンスターが襲いかかってくる。


が、それを嘲笑うかの如く。いや、嘲笑いながら

ハナはモンスターの急所のみを切り落としていく。

風のようにすり抜け雷の如き一撃を浴びせる。


そしてまた走り出す。


永遠とこれを繰り返し続けているのにハナは集中を切らさない。

いや、もう切れているが反射的に体が動くのかもしれない。

なにせ「今日の夜ご飯何かな?できれば和食がいいなぁ」


彼女は今日の夜ご飯が何なのかが気になっているからだ。そんなことを言いながら四方を囲まれている状態から難なく抜け出していく。


「街に帰ったら串焼きでも食べようかな」


和食はどこに行ったのだろうか…


ーーーー

【虹の翼】ホームにて


二組のカップルがいちゃついていた。

ぼっちであるシンはぼやく。


「よそでやってくれ」


と。

しかし、いちゃついている彼らの耳にはその言葉は念仏というやつだった。


「ユウ〜。できれば明日ご飯を作りに来て欲しいな〜」

「ごめん、リン。ちょっとバイトが」

「嘘っ……また三食ポテチ&コーラに戻るなんて嫌だよ!」

「お前やっぱそんな食生活してたのか!」

「だってコンビニの弁当美味しくないですし……」

「自分で作ればって、リンには無理だったな。フッ」

「なんで鼻で笑うのよ!食料問題!死活問題!」


いちゃついているのだから甘い会話を期待した方も多いだろう。案外、深刻でくだらない内容だった。

一方魔法使いと忍者という濃いカップルは……


「こうー?」

「違う!こうだ!」

「こうなんですねー!師匠ー!」

「そうだ!いくぞ!」


そしてアニメソングが流れ出しそれに合わせて二人のオタクが息を合わせて踊る。いわゆるヲタ芸だ。


「これで次のライブもバッチリだね」

「そうだねー」

「二人で最前列に行こうか」

「最前列はちょっとーまだ怖いかなー?」

「大丈夫だよ。俺がついてる」


セリフの無駄遣いである。

コミケに行くわけでもないのに。

コミケはマジでやばい……あれは戦争だ。


扉が開く。ハナが帰ってきた。


「あれ?何やってるんですか?」


ヲタ芸は速やかに終了した。そしてハナは言う。


「報告なんだけど試練的なの見つけたよ」


実は試練的な場所を見つけるのは一応の目的であった。まぁ、ついでに見つけるあたりがハナらしいのだが。


「まじか!早速行くぞ!」


珍しくシンがはしゃいでいる。

その理由は……


「新しい素材に新しいポーション…心踊るなぁ…」


もう彼はポーション作りの廃人と化していた。

まぁその地道な努力のおかげでパーティの安定した収入源となっている。もうちょっと労ってあげてもいいとおもう。


「じゃー私はお金稼ぎに行ってくるねー」


マイが飛び出して行った。もちろん行き先は賭場である。このパーティで2番目の稼ぎ頭であるのだが人としてそれはどうなのだろうか。


「私は素材売ってくるね」


ハナも出て行く。モンスターの素材は基本的に安いのだが高レベルなモンスターの素材は高い。

このパーティの1番の稼ぎ頭である。

そろそろ需要と供給のバランスが崩れるのではないだろうか。


「じゃ準備が出来次第ということで」


ユウがログアウトする。バイト戦士兼主夫は忙しいのだ。まぁそれも週1程度のものをを3つほど掛け持ちしている程度だ。


「拙者腕を磨いてくるでござる」


タローがその場から消える。ログアウトはしていない。単に気配を極限まで消しただけである。まぁ元々薄いのだがそれがさらに薄くなるともはやそこにいるのかわからなくなる。


そしてリンだけが残された。

リンは呟く


「明日の夜ご飯はポテチとコーラか……最後のドライカレーどうしようかな…」


リンもログアウトした。

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