ガンテツ式ブートキャンプ
ウデガイタイ
ヤメテクダサイガンテツサン。
今何してるかって?
事はおよそ6時間
リアルだと…以下略。
俺はガンテツサン、つまり師匠にガンテツ式ブートキャンプを依頼していた!
「師匠、俺を鍛えて下さい!」
「ん?いいぞ。だが俺の修行は屈強なドワーフ達でも耐えられない奴がいる。それでもやるか?」
「お願いします、師匠!」
「俺を落胆させるんじゃねぇぞ、ガハハハ」
師匠の笑い方は魔王の如く響いた。
メニューその1 掃除
とりあえず作業場を掃除しろと…
関係なくね、と思ったが……こちらが鍛冶の指導をお願いしているのだから掃除は当たり前か。
まずいるものといらないものを分別していく。
いわゆる断捨離というやつ。
「あ、それ取っといて」
……。
「それは、貴重だからダメだ」
……。
「これはブルーライト鉱石だぞ、見分けが付かんのか」
……。
「それは俺の友人からもらった品だから捨てるのは無理だ」
師匠……さっきからゴミが減りません。
しかしそこは気合いでなんとかした。
大体の床が見えたところで箒で掃く。
意外とチリやホコリはない。
それは当然かもしれないが……鍛冶をするところ以外は全てゴミで床が埋まっているという状況はひどいと思う。
なぜ俺の周りには掃除と料理が出来ない人ばかり集まるのだろう。
満腹値が減ってきたのでキッチンを借りる……つもりだったのだが汚いので掃除する。
くそっ、ここもかっ!
スキルのおかげで終了。さっとチャーハンを作り師匠と食べる
「うまいじゃないか、さすが弟子だな」
褒めてくれるのは嬉しいのだけど……こぼし過ぎじゃないですかね、師匠。
メニューその2 筋トレ
その名の通りだった。いう事も特にないので割愛。
でもこれが一番きついと思った俺がいた。多分限界を3回は超えた。
メニューその3 100本打つまで休めません
剣を100振り作るしかも連続で。
このゲーム戦闘とかは適当なのに生産に関しては凄く凝っている。
どこまで凝っているかというと、槌を振るう腕が筋肉痛になるところまでは凝ってある。
何を言っているのかわからないかもしれないが、僅かな作業の違いで品質や効果に差が出るような仕組みになっている。
最近、鑑定のスキルが目利きのスキルに進化し家事スキルに統合された。そのせいか前より物の質が視えるようになった
まず一振り目
粗悪な剣+2
レア度 1
品質 最下級
攻撃力 4
耐久度 10/10
材料 ガンテツ式訓練用鉱石
説明 鍛冶ギルド長職人ガンテツが弟子を鍛える為に打たせた剣のうちの一振り
備考 使えるものではない
こ・れ・は・ひ・ど・い
まず攻撃力
見習いシリーズが一括攻撃力が3なので
あまり変わらない
耐久度10
これはつかえませんわ……備考通りです。
槌を振るう。それも一心不乱に。
20本目
粗悪な剣+9
レア度1
品質 最上級
攻撃力8
耐久度20/20
材料 ガンテツ式訓練用鉱石
説明 鍛冶ギルド長職人ガンテツが弟子を鍛える為に打たせた剣のうちの一振り
備考 まだ実戦では使えない
40本目
両刃剣
レア度2
品質 最下級
攻撃力12
耐久度35/35
以下は同じなので略
やっと粗悪シリーズから抜け出せた。これはクソきつい。頑張って粗悪シリーズを作るのはなかなか疲れるというか心にくる
60本目
両刃剣+9
レア度2
品質 最上級
攻撃力20
耐久度45/45
材料 ガンテツ式訓練用鉱石
説明 鍛冶ギルド長職人ガンテツが弟子を鍛える為に打たせた剣のうちの一振り
備考 ギリギリ実戦で使えない
成長しているのを実感できる
「もうちょっと頑張れ、せめて一般の両刃剣+7くらいまでは打てないとな」
「それで満足ですか?上質な両刃剣+4くらい打てますよ?」
「…ぷっ、いいぞ!それでこそ俺の弟子だ!
出来なかったら一杯奢れよ?ガハハハ」
「そっちこそ、俺が出来たらコツを教えてもらいますからね」
絶対にやってやろうではないか。
80本目
一般の両刃剣+7
レア度2
品質 上級
攻撃力27
耐久度62/62
材料 ガンテツ式訓練用鉱石
説明 鍛冶ギルド長職人ガンテツが弟子を鍛える為に打たせた剣のうちの一振り
備考 駆け出し冒険者が使えるレベル
まだだ、あともう少し。
98本目
上質な両刃剣
レア度3
品質 最下級
攻撃力30
耐久度69/69
材料ガンテツ式訓練用鉱石
説明 鍛冶ギルド長職人ガンテツが弟子を鍛える為に打たせた剣のうちの一振り
備考 普通の剣としては耐久度が心配
これならいけるかもしれない!
……そして運命の100本目。
上質な両刃剣+2
ダメだったよ\(^o^)/
「師匠、上質な両刃剣+2までが限界でした」
「えっ?まじか。それだと…」
師匠は驚いた様子でボソボソと独り言を言っている
「よしユウ!最後にこれで打ってみろ」
出された材料は『一般の鉄』だった。
「了解しました」
鉄を熱して素早く槌を振るう。槌を振るうたびに火花が散る。なんどもなんども、均一に薄くなるように槌を振るう。鋭く、真っ直ぐ、軸が曲がらないように。刃の部分は歪まないよう丁寧に。
鉄の色を見て温度が下がりすぎないように注意を払う。オレンジ色の光を放つ両刃の剣。
しかしまだ少し歪んでいたり刃の薄さが均一でなかったので槌を振るい歪みを直す。
最後に焼き入れだ。
鉄の色をよく見る。鍛冶場が暗いのはこのためだ。
鉄が放つ白っぽい光がだんだん赤みを増していく。
ここだ!俺は直感に従い剣を水の中に入れる。
ジュッ!っという音とともに少し蒸気が発生する。
少し時間をおいて冷ました剣を台の上に置いてあとは砥石で研ぐだけ。
よしっ、完成だ。
上質な全鉄の両刃剣+2
レア度5
品質 最下級
攻撃力57
耐久度150/150
材料 一般の鉄
説明 職人ガンテツの弟子ユウが鍛えた全鉄の両刃剣
備考 鍛えられていない鉄が素材の為、耐久度が足りないがそれでも鋭い切れ味を持つ
凄いものが作れた、と思う。
「師匠凄くないですか?」
「まぁ確かに凄いが、俺ならば一級の全鉄の両刃剣+7までなら普通に打てるぞ」
えぇー、なんだよそれ。少しくらい褒めてくれ……てるね。ここは素直に喜ぶべきかな。
それにしても普通に打てるって本気出したらどれくらいのが打てるんだ?
「よし、ユウ行くぞ」
「どこにですか?」
「無論酒屋だ、ドワーフに酒を奢るんだ高くつくぞ?」
「嘘だ!」
ドワーフの一杯は樽いっぱいの間違いだった……酒屋で出資10000yen。これは手痛い。財布が寂しい。
「後でコツとやらを教えてやるよ」
くっ、これだけが救いか!
この後さらに20本打ち、今に至る。
スキル 鍛冶の心得 を習得した
これが一番の収穫かな?
「まだまだ伸び代がある。俺の弟がドワーフの里にいるからそいつに教えてもらうのもいいぞ……妹もいるんだがあいつは邪道だからな……まぁいいか」
師匠はチケットを渡してきた
アイテム ガンテツの推薦状
「これからも精進しろよ。鍛えて欲しかったらまた来るといい。」
師匠から応援の声を頂き、俺はガンテツ式ブートキャンプを終えた。
長く、苦しい、戦いだった。
「おう、後50本打っていかないか?」
ヤメテクダサイガンテツサン。シンデシマイマス。




