表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/190

血まみれ騒動

一体塔の攻略はいつ始まるんだ。

トイレットペーパーは無事普通のものに変わりやっと東西南北の塔の攻略にのり出せる。

武器とかもえこひいきで新調してあったりしたし俺は何もしなくていいから楽だなぁ。

レベルと第3ジョブの解放とか終わったら何しよう……


「ユウっ、やばい!レベルが上がった!」

「え?なにそれ?」


リンの呼び声に応じて玄関に向かう。

俺が玄関に着くとリンがステータスを俺に見せてきた。

そこにはたしかに『LV61』と書いてある。

まさか……NPCになる利点ってそういうこと?

レベル上限の撤廃?

ということはジョブも、もしかしちゃったり?


「ユウ、どうしたの?」

「いや、まさかなぁって」

「ふぁん……私、ユウがなに考えてるのかわかるよ。当ててみようか?」

「どうぞ?」

「ジョブは解放されてるのかなぁって思ったでしょ」

「うん?なんで分かった?」

「私もそう思ったから」


俺もリンも似たような考え方をするらしい。

それにしてもさっきからずっと気になってたんだけど。いや匂いもすごいし。


「血が凄いついてるぞ。早く風呂行って流してこい……外にそれ用のシャワーが欲しくなるな」


リンは血まみれだった。全部返り血。固まらないうちにどうにかしたい。


「ちょっと解体に失敗しちゃって」

「とりあえず早く風呂場に!」


血が床に垂れたらどうするんだ。

掃除するのは俺なんだぞ。

とりあえず風呂場の中にリンを入れる。


「ほらはやく脱いで、服洗うから」

「……ユウ、お母さんみたい」

「ちょっ?!お前なぁ……脱いだらこのカゴに入れておいてくれ」


血でベトベトしていて脱ぎづらいらしいが自分で頑張ってくれ。

俺が触ったらリンのお父さんが飛んでくる気がする。

それにしても返り血かぁ……自由度が高いのはいいが後始末までしないといけないなら前の方がいい気がするぞ。


とりあえず着替えだけ用意しておくか。

血まみれの服をシンが制作した洗濯機もどきに入れるわけにはいかないしそもそも防具は手洗いだよな。


「リン!着替えだけここに置いておくぞ」

「分かったー!」

「ユウさん!大変です!来てください!」

「ハナか?お前はどうした?!」


俺は庭にリンの血まみれの服の入ったカゴを持ちながら行くと全身血まみれのハナがそこに立っていた。


「モンスターを切ったら返り血が出てきて……鼻が曲がりそうです」


……これ風呂場まで歩くとアウトだよな。

とりあえずリンは服だけだったから良かったものの。

ん?こんなところに水を撒くためのホースが。


「ハナ、ちょっとそこにじっと立ってろ。あと目と鼻と口は閉じておけよ」

「え?ユウさん?それは?」

「ちゃんと閉じておいてねぇ!」


ホースから思いっきり水を出す。

リンもこうすればよかったな。


一通り流し終わると白かった服は若干赤くなっていた。シミ抜きしないと……はぁ、血もシミになりますか。クソめんどくさい。シミ抜きの魔法か魔術ないの?


「ユウさん……ひどい。って透けてる?変態……」

「はいはい、風邪ひかないうちに風呂入りましょうねー」


くそっ、めんどくせー。

というか本当に藤堂グループのお嬢様なのか?透けてるというワードから変態に変換されるってどういう頭してるんだ。まずそう変換されるなら堂々と仁王立ちせずに隠しなさい。


あぁ!どこで服洗おう!?

おっ?こんなところにいい石材が!


『いやぁ、いい石材が手に入った!これでゴーレムが作れるよ!』


……シンすまん。石材はまた買ってやるから。


というわけで即席の水場ができた。

アーツを使ったので20秒程度で完成した。


そこにリンの服をぶちまける。


「ユウさん……まだ?」

「あぁごめん、忘れて、って顔色悪いな?どうした?」

「めちゃくちゃ寒いです」


ん?そういえばさっきから妙な冷気が。

屋根の上をふと見るとマイがいた。氷結の呪文の練習をしているらしい。それはいいのだが……あぁよくない!ハナが凍り始めてる!


「マイ、ストップ!」

「はいーストップー。というかめっちゃ寒いですねー」


というか掃除なんてしない屋根上に乗ってるからマイもめっちゃ汚れてるし、あぁ?!なんでお前ら仕事増やすんだよ!


「ほら靴脱げ。そのまま風呂に行って。風呂場で服脱いだらこのカゴに入れて、そうしたら俺が服洗うから」

「はーい」

「わかりました……うぅ寒い」


ハナとマイを風呂に入れようやく一息つける……と思いきや誰か来るんだろうなぁ。


「ユウ!」


ほら、またきたよ。この声はシンか。どうせ薬剤をぶちまけて服を汚したんだろ?


「なんだ?」

「薬剤をぶちまけて服を汚したんだ」


あ、はい。そうですか。うんうんなるほどね。


知ってた。


「だろうな」

「だろうなってなんだよ。でなそこで考えたんだ」

「え?何を」


くだらないものだったら今日の夜飯にからしを盛るぞ。


「シミ抜き剤を作ろうかと」


なんだと?シミ抜き剤?俺が今欲しいと思ってた?


「お前神かよ」

「錬金術師の神として崇めてくれてもいいんだよ?」

「あ、そういうのはいいからシミ抜き剤見せてくれ」

「冷たいなぁ。ま、いいけど。これがその『シミ抜き君EX』だ!」

「へぇ……なぜEX?」


なんともいえないネーミングセンス……


「ノーマルバージョンの『シミ抜き君』は効果が強すぎて漂白剤に似た効果を持つようになってしまったんだよ」

「それもう『漂白君』に名前変えようぜ」

「しかも他の洗剤なんかと混ぜると偶に毒ガスが出る」

「それ、漂白剤だねぇ?!」

「どこが?どんな衣類にかけても完璧に真っ白にしてくれるんだぞ?ただ使った時に塩素っぽい匂いがするのがなんともいえないんだが」

「完璧に塩素系漂白剤じゃねーか!?」

「で、これいる?」

「いる。マジで助かる。ところでこれ使ってから効果が出るのに時間はどのくらいかかる?」

「5分」

「短いな」

「しかもずっとつけててもシミ以外は落ちない」

「おぉ!すごい!」

「というわけで一緒に洗濯頼む」

「おうよ!」


……仕事増えてるじゃねぇーか!

何やってんだ俺。とりあえず風呂場に行くとカゴの中にずっしりと洗濯物と武器と防具が。

メンテもしないとダメかぁ……


そして庭に戻ると普段着姿のタローがいた。

……防具つけて出て行ったよな?


「タローは血まみれじゃないんだな」

「まぁ、そういうものの処理には慣れているのでな」


え?学生生活でそんなのになれる場面って……いや、ゲームの中でタローは解体得意だったから多分NPCの皆さんに教えてもらったんだろう。

俺の直感はタローは荒事に慣れてるとずっと叫んでいるのだけど。


「ところでユウ殿は今洗濯の最中かな?」

「あぁそうだよ。今から始めるところ。ついでに武器と防具のメンテも」

「じゃあついでにこれも頼む」

「え?」


明らかにタローのではないものばかりなのですが?


「ではまだ拙者やることが残っているのでな!ドロン!」

「あ、ちょっと待て……マジでドロンで消えるのかよ」


俺は一人で黙々とメンテするはめになった。

風呂場からきゃっきゃと女子たちの声が聞こえる。


……リンの胸柔らかい、だと?!

何をしている藤堂グループのご令嬢っ!

うらやま、けしからん!

……リンの胸気持ちいい、だと?

何をしてやがるこのクソアマゲーマー!

ふざけるなっ!


「なぁユウ、ここら辺に置いてあった石材しらない?」

「マイが魔術の的にしてたぞ」

「嘘だろおい……」

「まぁそう落ち込むなって」

「あぁ、また買うことにするよ。今度は家の中で保管することにする」

「そ、そうか……まぁ、なんだ。頑張れ」


シンの落ち込みようがすごかったのでなんというか申し訳なくなった。

シンの物だけ念入りに洗濯しておこう。


……で結局いつ塔の攻略は始めれるのだろう。

そろそろちゃんと目標立てないと……めんどくさいなぁ。……いてっ。……マジか、パックリ割れやらあかぎれまであるのか。ここまでのリアルは誰も求めてないと思うぞ。


「マフモっ……ちょっと待って……」

「キュイーン!」


泥まみれのドレスアーマーが這い寄ってきた。

うさぎの方は真っ白である。

どうやら泥にまみれるのは嫌なようだ。

そういえばブラシがあったな。


「ほら、おいで」

「キュイ」


うん、この触り心地確かにいい。

新しいブラシの購入を検討してもいいかもしれない。


「マフモぉ……裏切りものぉ……」

「そこを動くなよ」


ジイちゃん秘伝の威圧法で軽く殺気を飛ばす。

すると面白いようにサヤが固まったのでホースを……ホースの持ち手を探す。

あれ?ない?


「キュイ!」


いつのまにかマフモがホースを持ってやがる。

……まずくね?これ魔道具だし。

そんな魔力をいつも纏ってるようなうさぎなんかが手にしたら……


ホースから一気に水が飛び出す。とりあえず俺はマフモをサヤの方へ向け続ける。


それがおよそ10分ほど。

マフモが魔力切れでぐったりすると同時に水が止まる。

装備が重いせいかサヤは全くその場から動かなかった。



「……ぷはーっ!死ぬかと思いました。お陰様で水耐性とか窒息無効とか水中適正というスキルが手に入りました」

「……とりあえず風呂行け。お前中に普段着着てるだろ?」

「はい、着てますが」

「防具とその盾だけおいて風呂場行ってこい」


そしてサヤの分の洗濯も増えましたとさ、ふざけんなよ☆

風呂場で楽しそうにしやがって……まぁリンが楽しいならそれもそれでいいか。

ただ次のデートの時には俺の選んだ服を着てもらおうかな?





アプデが終わってからこの話までの皆さんの様子


ユウ→みんなの後処理に追われる

リン→弓の感覚を確かめる

シン→いつもと変わらず製薬

ハナ→買い食い三昧

マイ→魔術士ギルドに入り浸っている

タロー→いつも通りの仕事内容

サヤ→マフモとの散歩を楽しむ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ