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リンのハイパーレベリング

超人無双

私は永田 凛。プレイヤーネームはリン。安直だったかな?


キャラクターメイクをするときに弓を使うには筋力が必要だから、とりあえず全部筋力にステータスを振ってみた。

ちょっと怖かったけどね。それに対して誰もツッコミを入れなかった。


ってことはだよ?つまり多分問題のない振り方をできたということじゃないかな。


うん、私は普通だ。リアルでは天才とか言われているけどそんなことは全然ない。ただ教科書の内容を全部覚えているだけだからテストでオール満点は取れないし、そもそも努力ですし?


天才だからという風に理由をこじつけて私の努力が無視されるのは気持ちの良いモノではない。


スナイプのギネス記録には15メートル届かなかったし、弓だって全国大会や世界ジュニアで優勝したけど、それは他の人の調子が悪かっただけ。私は他の人の努力を踏みにじらない。正面から打ち砕きはするけどそれは私の努力が報われただけにすぎない。


それに私は10000回打って5回も外すような腕なんだから。

ゆうのお爺さんの道場に本当に必中の弓使いがいるから私なんてまだまだ全然ヒヨッコだよ。

はー、いつになったらあれくらい上手になれるのかな。


あーもうっ 考えるのやめ!とりあえずゲームなんだから楽しまなきゃ。でもこのゲームの弓ではまともな矢は自分で調達しないといけない、そうなると練習が気軽にできないから上達が遅れる。


だから弓は不遇なんだそうだ。でもその必要はない!

初期装備で素晴らしいものがあったから。


ーーーーーーーーーー

見習いの矢筒

攻撃力が1/4になる代わりに見習い矢が無限に使える

ーーーーーーーーーー


最高だよね。そう思わない?他の人は攻撃力が1/4になるなんてまともな矢じゃないって思うかもしれないけどちゃんと飛ぶよ?鏃が木だけど。矢羽はまともだからね。


私は耐久度が無限の見習いの弓と矢が無限に使える見習いの矢筒を装備して街を囲む城壁の上に立った。そもそも、道場の弓の達人曰く『急所に当てればイチコロ』らしいので攻撃力が低くてもそんなに問題ないと思う。


城壁の上に立つ時に衛兵の人に確認を取ったが 問題はないようだった。こんなにいい立地は他にないと思うけど他に利用申請する人はいないらしい。実にもったいないね。

で、私がこれからするのはレベル上げだ。ここを利用するのは近づかれた時私は何もできないのが理由。


やっぱゲームって言えばレベリングだと思う。そんなことを思いつつも集中力を少しづつ高めていく。


「ふぅー」


息をはき、私は弓を構える。まずは基本に忠実に。ゆっくりと息を吐いてリラックスする。


城壁の上から辺りを見渡すとお手頃な標的を発見した。距離は約500ほどかな?普通は弓じゃ届かないような距離だけどゲームだからもしかしたら飛ぶかもしれない。


スキル 遠視 と 視力強化を使う。しっかりとモンスター(マト)が見える。風向きは右向きだいたい2メートル。弓の強さから矢がどれくらいの速さで飛ぶか予想して矢の落ちる場所を大体把握する。ついでに矢を放ってからモンスター(マト)がどう動くか予則する。


スキル 魔力付与 で矢の攻撃力を増加、微々たるものだけど貫通力が増えればいいな。


矢が放たれてから標的に当たるまでをイメージし矢から手を離す。目の前の空間全てが手に取るようにわかる。


いつも通り矢の飛ぶ軌道が見えた、結構くっきり見えたから今日は調子がいいらしい。

矢は吸い込まれるようにモンスター[ホーンラビット]の眉間に当たる。

狙ったところから少し右上にずれたので少し不満だけど動物の動きを予測するのは少し下手だからしょうがない。

それはこれから鍛えればいいし。


弓の感覚も風の感じも現実通り。倒したモンスターのドロップは離れていても手に入るのは結構嬉しい。


楽しい。単純にそう思った。現実だと、まずこんなに矢は飛ばない。それにこんな理想的な練習の条件なんてそうそうない。


どれくらいまで自分の矢が届くのか試してみよう。実際の世界ではないんだから自分の限界を知りたい。

再び目を凝らせば次の標的が見える。


距離は1000ほど。現実だったら絶対に無理だけど私の勘がいけると告げている。森の上を飛ぶモンスター(マト)を狙う。先ほどと同じ工程を繰り返す。

矢をつがえて狙って放つ、それだけ。


イメージは完璧だ。空間をどう矢が飛んでモンスターのどこに当たるかまでイメージできる。イメージ通りに矢を放つと、モンスター[ヤワラトリ]の眉間に矢が当たった。

狙っているのは眉間じゃなくて右目なんだけど。


「うわー現実じゃこれはできないね」


当然ながら現実では弓は1キロも飛ばないし、飛んだとしても当たるのは難しいなんて言葉では表せないだろう。

でも、大体の感じはつかめてきた。


私は矢をつがえた。なかなかに楽しい。弓の練習とレベリングと食料の確保を済ませれるなんて一石三鳥だ。次の目標に向かって私は視線を向けた。


ーーーーーーーーーーーー


それから6日間、一定時間城壁の東側にはモンスターが現れなくなる時間帯が発生した。

その時間帯になるとモンスターは現れはするのだが現れた瞬間に矢が刺さりポリゴンとなって消えていくのだ。


そして彼女は知らなかった、弓の的中率は基本的に器用さの値に依存すると。


そして彼女はある設定に気づかなかった。それは経験値の結晶化。彼女がわからないまま適当に設定をいじってオンにしていたものである。ちなみにシステムアシストオフはオフにしてある。

なので彼女の取得した経験値はしばらくアイテムボックスの中で眠ることになる。

彼女はそれを知らず、レベルが上がらないと嘆きながら矢を放つのだった。


そしてこの事件は『矢が降る6日』として、プレイヤーの間でバグなのか仕様なのか、何かのクエストのキーとなる弓の達人のNPCの存在に気づかせるための運営が仕組んだことじゃないか、と様々な憶測が掲示板に上がった。


まぁ実際はひとりのプレイヤーによる頭おかしいレベリングだったのだが、誰もそれを知る事はなかった。

だってそんなことできる人間いると思わないから。

リンは城壁の見張り塔の上(約25メートル)から矢を放っているので角度的に他のプレイヤーに姿を見られていません


また見習いシリーズは耐久度が無限な代わりに撃力が0に等しい性能なのでモンスターを一撃で仕留めることは普通できません。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 弓って、多分弓幹の強度やしなり、弦の強度で飛距離など変わるんですけど。 この話の内容からそんなに強力な弓最初からあるとか、凄いですね。 最強クラスの弓を最初から装備してるって色々ぶっと…
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