表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/190

ゲームを始めようか(未購入)

初めて書きました。たまに改稿します。

基本自己満足で書いてますのでそこのところご理解ください。コメント書いていただけるとやる気出ますが基本的に不定期更新なので過度な期待はしないでいただきたい。

ガチャと扉の開く日常の何気ない音。

それが俺の高校生活の始まりを告げる音だった。


「わぁ〜!ゆうくん!受験、合格してたよー!第一志望だってっ!頑張ったねー!今日はお祝いだねぇっ!」

「母さん……ってそのスリッパ爺ちゃんの」

「あっほんとだー!うっかりー」


ダンっ!勢いよく音を立てて扉が閉まる。


もうちょっと扉を大切にしようぜ?


パタパタというスリッパを履いた足音と聞き慣れた柔らかな声が階段を降りて玄関へ戻っていく。それも非常にほんわかした感じの声だ。扉は強く閉めるが。そしてその声に負けぬほどのおっとりした人だ。


俺の合格通知を持ったまま階段を降りていってしまった。

どうやら俺の合格通知を俺に見せる前にリビングにいる爺ちゃんにみせているようです。先に俺に見せるべきでは?


さっき「よっしゃ!流石裕太!流石!自慢の孫!」という叫びを聞いた。スリッパを指摘したせいで俺に見せるのを完璧に忘れてたな、これ。


それにしてもまさか第1志望に受かるとは思わなかった。

頑張った……頑張ったよ俺!自分を褒めてあげたい。誰かに褒められたい。受験は人生の岐路とも言えるものだ。だからきっと明るい未来が待っている、と信じよう。


それに俺はどうしても、というわけではないがその高校に行きたかった。これが母のうっかりで第2志望の合格だったら俺は間違いなく泣く。泣くというというのは盛ったけど確実に落ち込むと思う。


それにしても第1志望は先生からは合格率50%と言われていたから心配だったけど、合格して本当に良かった。


何故50%かって?そこは難関といわれる所ではないがそこそこの学校だ。そしてお世辞にも俺の頭はよろしいとは言えない。むしろ平均かそれ以下だ。つまりそういうことだ、至極普通のこと。


……どうしてそんな高校にしたのか?

頭足りて無いんだろ、って思うよな、そりゃ当然だが譲れそうで譲れないふわっとした理由が俺にはあるんだ。


それは『知り合いというか幼馴染というか手のかかる奴が行くから、俺もそこに行きたい』なんて親や先生には言いづらいふわっとした理由だ。


ちなみにその知り合いというか幼馴染?は高校のランクを1か2つ落としてまで俺と一緒にって受験してるから理由はそっちに聞いてくれ。俺より謎だろ?

ま、そんな幼馴染がせっかく俺のためにグレード落としてるんだから俺が落ちるわけにはいかんだろ。


そんなことより今は『受験に合格した、しかも第一志望、目標達成』その事実に俺はホッと胸をなでおろす。


とにかく受験も無事終わった。だから今はゆっくり休む。

課題なんてものもないからサイコーだ。

これで課題があろうものなら裁判も辞さないよ、俺は。


暇だし、怠けるか。布団でぬくぬくと惰眠をむさぼるのも捨てがたい、が今はテレビが見たい気分だ。見たい番組がなかったら布団に戻って寝ればいい。受験で吹き飛んでいた正月気分が調子を取り戻してきた。


二階の部屋からそれなりに長い階段を少し急いで降りてリビングのドアを開ける。最近の朝は冷える。特に床が冷たい。


まぁ今は昼時なんだけどね。ただ単に家が冷え込みやすいだけ。冷たいのは本当だ。

ドアをすぐに閉める。もちろん労りながら優しく。


扉五世よ、今回のお前は強く生きろよ。


テーブルの上に転がっていたリモコンを拾い上げてスイッチオン。ちなみにリビングには床暖がある。そのおかげであったかい。まぁ、比較的という但し書きが付きますが。


それなりに片付いたリビングの床に寝転がりテレビを見る。

この時間帯はバラエティの再放送がやってるはずだ。


画面が明るくなるとジャングルの光景が突如映った。


なんの映画だろうか?


空を舞うドラゴンが迫力満点の咆哮を放つ。カットが変わり剣士と思われる人が高速で剣を振りモンスターを斬り倒していく、またカットが変わる。魔法使いらしき人が杖を掲げると火柱が出ていた。アニメ、最近観れてなかったな。深夜帯のだったら予約するか。


そして画面は暗転し『SWO〜セカンドワールドオンライン』という文字が浮かび上がり発売予定日時と思われる日程が表示された。どうやらアニメではなく最新のVRゲームの宣伝のようだ。そしてまた別のCMが流れる。


『なんか面白そう、ちょっとやってみたいかも』


そんな思いでCMのプレイ動画に食いついていると、後ろから渋い声で「裕太」と呼ばれた。体をひねり、振り返る。


「そのゲーム……欲しいのか?」


そこには俺の一番のスポンサーがいた。

眼光は鋭く、歳を感じさせない人は俺のジィちゃん『佐藤裕也』だ。さっき叫んでいたのもこの人だ。俺のこと大好きなんだよ。自分で言うと自惚れてるように思えるけど、本当に。


ただ最近変わったことがある。これまではジイちゃんには毎月お小遣いをもらっていたのだが、これからはねだらないと貰えないようだ。


その証拠に『そのゲーム買ってやろう!』ではなく『欲しいのか?』と聞いてきている。しかし『買ってあげたい』オーラが凄い出てる。今までならこんなことはなかった……確かに甘すぎるとは思うけど、もうちょっと甘えたっていいじゃないか。


けど母さんが『もうユウくんも高校生なんだから〜甘やかしちゃダメじゃない?』とプレッシャーをジィちゃんにかけたから仕方ない。ジイちゃんは母さんに強く言い返せないらしい。


はい、というわけでとにかくジィちゃんは俺を愛してくれているのだ。その愛は確かにわかる。わかるのだが、重い。

それだけに素直にYESと言っていけない相手でもある。


要するに愛が重い、重すぎる。ばぁちゃんは愛から国外逃亡している。俺との関係はここ9年ほど正月にハガキでお年玉が届くぐらいである。小さい頃はかなり世話を見てくれていた気がするんだけど何故か思い出せない。


ま、それは普通に忘れただけだろうからどうでもいいとしてなぜ素直にYESと言ってはいけないか、その理由を説明しよう。

そう、あのときは中学に入った時だった。つまり大体2〜3年前。俺の大親友が中二病を発症する6ヶ月前のことだ。

え?親友関係ない?……そうだね。


まぁその時の俺はふと思いついてしまった。

たまには親孝行ならぬ、おじいちゃん孝行をしようと。その時の俺は思ってしまったんだよ、ちくせう。なぜそれをしようとしたのかと言われると理由は特にない。本当になんとなくというやつだ。


そしておじいちゃんのいうがまま剣道に付き合ってしまった。言い忘れていたがうちのジィちゃん、道場の師範代で滅茶滅茶、アホみたいに強い。勝てない。理不尽。もはやインチキ武術だ。歳とかこの人には関係ないんじゃないかな。


年寄りをいたわれとか言ってる連中にうちの爺ちゃんを見せてあげたい。扉を閉めただけで破壊するパワフルさ(過去2回)。見習って欲しい。


そんなジィちゃんに「なかなか筋がいいな」なんて言われたら嬉しいよね?嬉しいということにしないと話が進まないからそういうことにしよう。実際に嬉しいし。


「ありがとう」と何気なく言った。大事なことだからもう一度言う、もう一度言うぞ!しつこい?それは……ごめんなさい。とにかく言ったんだよ。


「ありがとう」って、そう言って普通ににっこり笑っただけだよ!?普通は『ありがとう』って言っても何も起こらないよね?そうだよね?それが普通だよなぁ?


結果は、じいちゃん超ハッスル。その後めちゃくちゃ鍛えられた。死にそうだし、吐きそうだった。でも慣れた。もう、慣れた。慣れって怖いね。

けど一回もジィちゃんに勝てないんですけど。というか一回もまともな攻撃をさせてもらえない。若さが武器とか言ってる奴に教えてやりたいことがある。


経験の方が強かったよ……


そんなこんなな生活を2年半。だから俺には中二病になる時間すら与えられなかった。


カムバック、俺の中二病!


あっやっぱ戻ってくんな。俺の親友が黒いノートを焚き火の中に入れようとしていたんだ。

でも彼はなかなかノートを手放さない。その後膝をついて結局南京錠が5つぐらい付いた箱の中に入れてたのを俺見ちゃったから。もはや呪いだろ、そんなの。


カムバック、俺の青春!こっちは戻ってこい!

爺ちゃんは来なくていい!


さて昔話は終わりだ。こんなことはどうでもいいか。

いや、俺としてはどうでもよくないがどう返事をするか。

『このゲームが欲しいか?』だと?


めっちゃ欲しい。もちろんYESだ。後のことは考えない。

俺の直感が告げている、今ねだっても問題は起こらないさと。まぁ問題が起きても問題ないさ、と。未来の自分よ、後処理は任せた。というわけで、「うん、欲しいです」


俺はジィちゃんに向かってねだる。お値段はちょっと高いというかだいぶ高い。無理すれば買えるレベルだけど、高いものは高い。


使えるものは使う、頼れる人には頼る。ただし用途用法用量はちゃんと見極める。見極めないと大変なことになる。


ちなみにおじいちゃんの用途はいつでもどこでも何にでも、用法は礼儀を持ってしっかり敬いながらねだること、用量はジィちゃんの趣味と睡眠時間を削らない程度に。

俺がそう答えると、おじいちゃんの目は爛々と輝やかせる。


「任せなさい」とそう言い放った。いぶし銀な笑顔が眩しい。その年に見合わない引き締まった筋肉がこの陽気な春の日には暑苦しい。まぁ陽気な春の日でもどういうわけかこの家は底冷えするんだが。


「ありがとう」と、俺はお礼を言う。ハッスルされるのが目に見えていてもこれは譲れない。感謝の気持ちはちゃんと伝えないといけないからね!さて、そんなわかりきったことを考えても仕方ないので我が心の友 『真也 』に現状を報告する。多分あいつもこのゲーム買うだろうし一緒に遊びたいからな。


ちなみに『真也』は厨二病を発症した親友である。

一時期『理ノ主(ルールマスター)』と呼んでくれと言っていたが、今それをやると手段を選ばずに俺に何か仕掛けてきそうなのでやめておく。

誤字脱字は指摘してください。なんでもすr


あと、楽しんでいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 時間軸の区切りが分からない。 受験に受かったタイミングとゲームのCMを 見たタイミングはズレてるのか、同じなのか。 4月と書いてあるから、2ヶ月前後の開きが あるはずだが、あるなら場…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ