表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/18

1.

 人生に絶望したとき、トラックにはねられて死んだら異世界に転生できるといわれているらしい。

 杉村耕治は、若者向けエンターテインメント小説など読むような年齢ではなかったので生憎そんなジンクスは知らなかったのだが、その時人生に絶望していたのは確かだった。会社をリストラされたのだから。

 今年四十二歳、堅実に勤めてはきたものの取り立ててスキルだのキャリアだのというものがあるわけではない。求職活動をしてみたところで、先に希望があるとは思えなかったのだ。

 このご時世よくあること。この世の最後の饗宴とばかりにしこたま酒を飲み、ふらつく足取りで交通量の多い通りへ向かった。

 夜もだいぶ更けてきていたが、乗用車もトラックもまだまだたくさん通る。すごいスピードで、跳ねられれば確実に死ぬだろうなと耕治は思った。できれば即死がいい。苦しいのと痛いのはいやだ。

 タイミングを見計らい、ひときわ明るいヘッドライトが近づいてきたところに、耕治はよろよろと踏み出そうとした。

 の、だが。

「おい」

 よくあることが非日常に転換されたのは、まさにこの瞬間だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ