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魔物の討伐

38~40話分です。

 この体になって全力を出したことは実は今までなかったりする、数十人分の体を使用し数十人分の魂を使って創り上げた為、力を入れない分には何とかなるけど全力を出したらどこまで出来るのかがちょっと怖くて確認できなかったからだ。

 実は体重も実際に数十人分になってたりするのだが、この体にはドラゴンのように自分の体重を好きに変えられる機能をつけている、この機能というか能力は初めての空中遊泳で鳥と思って”オールイーター”で喰った奴の中にが実は飛竜が混じってたっていう落ちだ。

 さて、なぜこんな話になったかというと。

「ゴブーーーーー!」×たくさん

「わっしょーい!」

 どっかーん!

「ゴブーーーーー!」×たくさん

「もいっちょ、わっしょーい!」

 ばっかーん!

「ゴブーーーーー!」×たくさん

「ハイみんなでわっしょーい!」

 ズッドーン

 まとまって突っ込んでくるゴブリンたちを、俺は体当たりで返り討ちにして遊んでいるからだ、いや最初は遊ぶつもりはなかったんだけどね。


「私がしっかりしてなくちゃいけなかったのに・・・ごめんね二人とも・・・」

「間ぁにあったーーー!うお!こりゃあ眼ぷっと声に出ちった、っと、あんたがサラちゃんで寝てるのがニナちゃんだよね?」

 と何気に締まらない登場シーンをしてしまった俺・・・だって美人でナイスバディのお嬢ちゃんのセクシー姿が目の前にあったら男ならこうなるさ、本体剣だけど心は少年ですから!・・・ハイ、おっさんです。

「さーてっと俺が来たからにゃ安心していいぞ、君たちが貞操を散らしてまで逃がしたライカちゃんに話は概ね聞いたから・・・」

「散らしてないわよ!」

「おおう、怒られた・・・」

「それでほかの救助に来てくれた人たちは?」

「え?俺しかいないぞ?連れはライカちゃん連れて君たちの拠点に行ってもらったし・・・あーそっか!

 ごめんゴブリンたちに体を蹂躙されたケアもしなきゃいけないのか!その要員も必要だったんだ!あー失敗した~」

「まだ清い体よ!

 ・・・っていうかそれ大丈夫なの?」

 というとサラは引きつった笑顔でせっかくのかわいい顔を台無しにする、いやまぁそれでもかわいいから台無しにはなってないのかな?

 ちなみにそれとはゴブリンたちが俺に向かってスクラム組んで突進しているのだが・・・残念ながら今の俺の体重を動かせるほどの力はなかったようだ・・・まぁ単純計算で4tはあったりするのだ、中型トラックと同じくらいなのだ、基本ヒューマンより非力なゴブリンが10匹20匹程度では俺は微動だにしないようだ。

「ふっ俺がかわいい子と話しているのがそんなに羨ましいのかゴブリンども、その気持ちはよくわかるがちょっと暑いし体まさぐられるのはちょっと不快だから、先に片付けるか」

 と先頭のゴブリンの頭を掴み投げようとして・・・首がもげた・・・ちょっと気持ち悪い、嘘かなり気持ち悪い・・・あっゴブリンの血って緑かと思ってたけど赤いや・・・じゃあちゃんと酸素吸ってんだね。

「こんなに簡単に首が取れたらつまらないな、何か・・・」

 と考え事していたらゴブリンたちが一旦距離を取ってまた突進してきた、なので。

「タックルとはこうするのだ!」

 等と言いながらこっちからも突進をかましてみた。

「ゴブーーーーー!」×たくさん

「わっしょーい!」

 どっかーん。

 ・・・という遊びにつながったと、いや注意されたら止めるよ?でもサラちゃんたら必死で俺の雄姿を目に焼けつけたいのか目と口を大きく開けて俺を見てるし、あの口を大きく開けるのはこの世界特有の求愛のポーズかな?実にバカっぽい顔になってる・・・それでもかわいいから美人って卑怯だよな。

 遂にゴブリンたちが全員膝を地面に突いてゼイゼイ言い始める、若いのに根性が足らんよ!って思わず思ってしまうな。

「若いのに根性が足りんよ」

 思いっきり声に出た、たぶん俺の顔は真っ赤になってるかもね。

「なんて出鱈目な・・・」

 と感心したのかな?こちらに向けて色っぽい溜息を吐くサラちゃん・・・これは誘われてるんじゃ!・・・いや気をつけろそうして美人局だったじゃ閉まらないってもんだ・・・まぁ物理的に打破できそうだが。

「もう何もできないならここまでだなぁ、じゃね」

 というと腰にさしてある俺の本体であるファルシオンを抜き放つ、形状はいつもの片刃の片手剣だ・・・抜いた剣を前に突き出す、それを見ていたサラが疑問に思ったのか質問しようとするが。

「なにを・・・」

「”メニードル”」

 多数の棘が伸び約20匹くらいいたゴブリンの頭を貫通する、因みにゴブリンとの戯れ中にサラとニナは俺の後ろの位置になるようにゴブリンを誘導しておいたから”メニードル”の巻き添えにはなんないよ?

「その剣はなんなの?」

 と質問をしてくるサラちゃんに。

「教えると思う?」

 と素直に応える俺。

「そう、それじゃあその剣のことはもういいわ。それより何か着るものとかないかしら?」

「そのままでも・・・これでいいなら着るといい」

 言葉の途中ですんごい睨まれたので袋から取り出し渡したのは俺の野宿用のマント2枚だ、後で返してもらわなば今夜風邪をひいてしまう・・・いや一緒に包まるという選択肢が、無いか・・・サラちゃんは鋭いのか考えが頭に浮かんだ瞬間に目つきが鋭くなる、エスパーなの?

「ところでニナちゃんの方は大丈夫なの?ずっと寝てるけど?」

 と勝手にスキャンで状態を確認する、ふむ。

「さっきから呼びかけてるんだけど全然目を覚まさないのよ・・・なんでなの?」

「なんか変なもんでも食べた?」

「いえ、朝食べてそれっきり・・・いえ、そういえばゴブリンの肉を食べちゃったのかも!」

 と何かに気づいた彼女だったが。

「でもだからといってゴブリンの肉で起きなくなるって症状はないはずだし」

 こめかみに指を突き立て考えるサラ、答えは此処だ!

「多分このゴブリンどもの肌にスリーピングマッシュの胞子がついてるんだろう、この洞窟にもいくらか生えてるみたいだし、解毒の魔法でどうにかなりそうだからちょいと失礼」

「ちょっと待って解毒の魔法くらい私でも使えるわ!この子には触らないで!」

 なんかめっちゃ怒られた、俺助けて上げた恩人なのになんで?・・・もしやこれが有名なYAKIMOTIって奴か!苦節30年ついに俺にも春が来たか。

 と前向きに受け取ったけど、多分俺の得体が知れなさ過ぎて信用できないだけだろうね・・・寂しい話じゃないのさ。


「・・・ここは?」

 と寝ぼけながら訊いてきたこのかわいこちゃんは、ビースト種猫人族のニナちゃん。

 今まで目を閉じていたため眼の色が分かんなかったが、金眼である。

「ほぅきれいな目だな」

 と馬鹿な声を出しているのはこの俺ブレド・ファルシオンである。

「にゃっ!誰!あれ?あたし服着てない!おまえか!この変態!」

 といきなり変態にされてしまう、出会って3秒で変態か・・・まるでラブコメみたいだな、実際かわいい子にいわれたら心のダメージ半端じゃないな。

「落ち着きなさいニナ、この変態は私たちを救助してくれた変態よ」

 サラ!お前もか!

「そうだった!ゴブリンどもは?ライカちゃんは?」

「ライカはゴブリンどもから無事逃げ出してこの変態を救助を要請してくれたのよ、私たちを襲ってきたゴブリンはこの変態が片付けたわ」

 サラちゃん、俺のライフはもう赤よ・・・根性で耐える、決してこうゆうのもいいな、なんて思ってないいんだからね!

「そうにゃの?じゃあこの変態さんはいい変態さん?」

 変態にいい悪いがあるなら俺は今んところいい変態さんだな、いまだにノータッチだし。

「そうよ、というわけで変態さんそろそろ名乗ってくれないと変態さんで統一するわよ?」

 ん?あれ?名乗ってなかったっけ?そういやゴブリンと遊んでて名乗ってなかった気がするな。

「ごめん!そういや名乗ってなかったか、それじゃま。

 俺の名はブレド・ファルシオン、敬意と親しみをこめてレッドと呼ぶといいぞ」

「そう、分かったわ。短い付き合いになるだろうけどよろしくねレッド」

「よろしくにゃ」

 やれやれ何とか変態は返上したようだ、と、おもむろに小物袋から海賊の使ってた鈍を取り出してニナちゃんのそばに投げる、ついでにファルシオンを洞窟に向ける。

「あぶにゃいじゃ・・・」

 ニナちゃんが文句を言おうとしたとき、俺に向かってバスケットボールくらいのオレンジ色に発光する何かが飛んできた、多分”ファイアボール”って奴だろう、まぁファルシオンで食べたけど。

「にゃにごとにゃの!」

 途端に慌てるニナちゃん慌ててマントがめくれて更に慌てる。

「ゴブリンメイジ!まずいわ、私は杖がない以上攻撃の魔法も大したことないし、さっきのニナを回復した時に魔力が空になっちゃったし」

 とかサラはいうけど・・・そんなに強そうに見えないぞ?不意打ちすら俺に通じなかったわけだし。

「ゴブーーーー!」

 再び火球を作ろうと魔力を高める、あの「ゴブーーーー!」ってのがあいつらなりの詠唱なんだろ、どうでもいいが。

 俺は一足飛びで距離を詰めるとファルシオンの今の形状のままで届く距離まで近づいてそのまま袈裟懸けに切り裂く。

「すごいにゃ・・・」

「さすがにこんな時には真面目にやるのね・・・」

 ・・・ニナのコメントは分かるけどサラのコメントには引っかかる、だがまぁよく考えたらサラの前では大分遊んでたから言われて当然なので聞こえなかったことにした、大人だろう?

「二人とも悪いんだけどこの洞窟にいる奴ら殲滅することにしたから邪魔になりそうにない距離を開けてついて来てくれる?」

「置いていかれても困るしそうするわ」

「ニナも行くよー」

 あっ!そこは「行くにゃー」じゃにゃいのか?


 洞窟に入って今丁度半分くらいまで進んだところである、ここまでで3回ほど襲撃されたがせっかくなので接近戦の練習がてら全部切り捨ててきた、今丁度4回目の襲撃の最中である。

「ニナちゃん、無理に戦闘に参加しなくてもいいんだぞ?」

「そういうわけにはいかにゃいよ!せっかくの腕を磨くチャンスにゃのに!」

 とニナちゃんも参加している為、ニナちゃんに合わせて戦闘を進める。

「ニナ!私の護衛くらいしてもいいじゃない!魔力も杖も服もないのよ!」

 サラの叫びが聞こえる、確かに今は無防備な状態だ・・・もちろんニナの方もゴブリンにけりを入れてはこちらを向いて慌てている彼女の戦闘時の癖なのかな?真っ赤になっちゃってまぁかわいい事・・・この体がフレッシュゴーレムで俺の魔力できちんと制御してなかったら今頃中腰になってまともに戦闘出来なかったところだ、いいのか悪いのかは微妙だけど・・・。

 さて片付いたのでこの洞窟にいる個体は奥にいる連中のみか・・・。

 まぁしかたないけどここからは1人で行っといたほうがいいんだろうな・・・。


「悪いんだけどこの先は俺だけで行くよ、その間にあっちの部屋にゴブリンどもの集めたガラクタが見えたからそこで何か使えるものあるか探してきてくれ」

 と俺の提案に。

「わかったわ、こっちの部屋で時間をつぶせってことね?じゃあ行くわよニナ」

 サラちゃんはこの先に何があるか理解してるみたいだね。

「え?にゃんで一緒に行かにゃいの?サラちゃん?」

「いいから行くわよ、あっちの部屋のガラクタに服とかあれば裸でなくてよくなるのよ!」

 ・・・ほんとにわかってるんだよね?ニナちゃんに対する演技だよね?まぁいいか。


 洞窟の最奥に着き・・・息をのむ、海賊たちの肉の宴もこんな感じの部屋になってはいたがそこにいる者たちの姿に俺は内心でちょっとだけ来たことを後悔する。

 そこにいたのは、裸でお腹の膨れたヒューマンの女性や体液にまみれたビーストの女性などの他種族の子を作ることのない女性たちなども多数いた、みな生気のない顔をしていて目は虚ろだ、そして吐き気がすることに俺の前には武器を構え震えている未生体、子供のゴブリンどもがいた・・・。

 そう、俺はこれから魔物の、とはいえ人型の子供に手をかけるのだ・・・。

 正直この体が生身であれば耐え切れなかったであろう、剣になってから倫理観が壊れて人死になんかどうってことのなかった俺でも・・・目の前で必死に生きたいと俺に武器を向けている子供に手をかける事には躊躇を覚えた、それはまだ俺が壊れきってないからなのだろう、喜ぶべきことなのだけど今は必要ない・・・そう思う。

 無慈悲に首を飛ばす1匹2匹近くにいる順に殺してゆく、自分が殺したということをこの小さなゴブリンたちにそして自分の記憶に刻み込んでいくように。

 最後の一匹の行動で俺の体で、フレッシュゴーレムの体の目から涙が流れた、その一匹は母体だったのだろう女性の許まで行き泣きながら抱き着いていた、その女性も生気の無い目になっておきながら本能的に小さなゴブリンを抱きしめていた、それは母親が子供を守ろうとする女性特有の本能的な行動なのだろう、そう感じた時に目から流れ出たもの、これは自分の物なのかそれともこの体の材料になった者たちの物なのか・・・考えている間に終わっていた、結局答えなんて出ないものだった。


「終わったの?」

 少し時間をおいてから二人の許へと向かった、少し迷ったが母体にされていた女性たちも連れて帰ることにした。

「おわった・・・ただ浚われてた女性でまだ息がある娘は連れて帰ることにする」

「正気なの?」

「とっくに俺は狂ってる、ちょっと前からな。

 まぁ生きていればそのうちに彼女たちも立ち直る・・・」

「無責任ね!」

「最低だね」

「最低くらいが丁度いい気分だな、今のナイーブな俺にはな」

 少しおどけて見せたけど、彼女らも内心俺を心配してくれてるようでよそよそしい、女性は妙に鋭いな・・・ただ身の危険を感じて距離を取ってるだけじゃないよね?

 適当な木材を集め”クリエイトゴーレム”をかけて人一人分の大きさのウッドゴーレムを5体、連れていく女性たちと同じ人数分創る。

 でウッドゴーレムに布のシーツなどを持たせてその上にゴブリンの被害者たちを乗せていく、これで出発できそうだ、

 そのころサラ・ニナはというと。

「”クリエイトゴーレム”までしかも詠唱破棄とかありえないわ!」

「ゴーレム乗ったら楽に帰れそうだからあたしの分も創ってくれにゃいかな?」

 仕方ないので二人の分も用意してあげた、やれやれ。


 道案内を二人に頼んで夕日がさしてきた森を進む、途中何回か魔物の襲撃もあったが群れで来るタイプはいなかったため瞬殺である。

 夜になるころには何とかサラたちが拠点としている町グロバルに到着した。

 正直みんな休ませてあげたい気もするのだが先に報告しておかないといけない気がしたのでギルドに報告に行く。


「ニナちゃ~ん!サラちゃ~ん!二人とも無事だったんだ~!よかった~!心配したんだよ~!ギルドは返り討ちになる可能性も考慮してDランク以上の冒険者がある程度揃うまで救助には向かえないっていうし~・・・」

「ライカちゃんがレッドさんを送ってくれたおかげでこの通り無事だったんだよ!」

「そうね、ライカには辛い決断をさせて済まなかったと思うわ、でもあなたの働きのおかげで私たちや他にも捕まっていた娘を救い出すことができたわ」

 サラ・ニナに抱き着き泣き始めるライカを「よしよし」と撫でながら会話していく二人。

「兄さんもお疲れ様でした、ただギルドの方から報告をしてほしいと要望があります、明日でもいいと思いますがどうしますか?」

 とニコルが近づきながら問いかける。

「いや先に報告しよう、少し問題も持ってきてるし」

 とニコルに告げる。

 さてと、ゴブリンの被害者たちがどうなるかここからが頑張りどころだな!

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