イレギュラーは突然に
35~37話分です
「おはようさーん、ノエルさんいる?」
と最初に見かけた職員さんに俺が元気よく訊いてみる、朝食を軽くとってサッサと来たのだ。
「おはようございます、本日はどのようなご用件でしょうか?」
と今応対しているのは受付嬢のノエルさん、昨日私を指名してねって感じで言ってた気がしたからわざわざ指名してみた、黒髪黒目のポニテガールである、因みに職員さんたちはスーツみたいな服装で統一である、まぁギルド創ったのは勇者らしいし別に驚くことでもないかな?
「はい、昨日受けた依頼の完了の確認と昨日ギルドカード受け取り時に仮の証明書を返すのを忘れていたのでそれを持ってきました」
てきぱき話を進めるニコル。
「・・・はい両方とも確認しました、こちらが報酬の1000ナルとなります、ご確認ください」
ふむ、一日仕事して宿一泊分の資金にも満たないのか、まぁ最下位ランクじゃしょうがないのかな?依頼ってゆうか子どものお使いみたいなもんだったし。
「他に何かご用件がおありでしょうか?」
「んじゃあ今のランクで比較的に実入りがいい仕事ってある?」
「かしこまりました・・・ではこちらの依頼などどうでしょうか?ご確認ください」
といって取り出された表紙にFと書かれたファイルの最初のほうのページを開けてこちらに渡してきた。
・薬草の採取・・・ケイベル近くにあるケイブ森林に生えている薬効効果のある薬草を採取してもらいたい、とにかく量がある方がいいので規定量を超えればその分上乗せして報酬を払います、規定量は10本、根がついてるもののみ量るので注意してください。・・・報酬700ナル+超過量で加算
「これは採取した薬草はギルドに持ってきたほうがいいんですか?それとも僕たちが直接依頼人に持っていったほうがいいのでしょうか?」
「いえ、ギルドで受けた依頼で採取された物や討伐した魔物などは基本的にギルドに運び込んでいただけるようにお願いします、といいますのも過去に直接依頼人に持っていった冒険者と依頼人間での無用なトラブルが多く発生した為こういった依頼では必ずギルドが間に入ることになっているからです」
なるほどね、どんなトラブルが起きたか簡単に予想ができてしまえるな、っとニコルとノエルさんの会話を聞きながら勝手にファイルをめくっていると。
・ゴブリンの討伐・・・ケイベル近くにあるケイブ森林に生息しているゴブリンの討伐をしてもらいたい、とにかく数を減らしたほうがいいので規定数を超えて討伐をすればその分上乗せして報酬を払います、規定討伐数5匹、討伐証明部位は右耳きちんと根元があるもののみ数えるので注意してください・・・報酬1000ナル+超過討伐数で加算
あれ?こっちのほうが実入りいんじゃない?というわけで質問!
「ノエルのアネサンこっちの依頼は受けちゃだめなんでヤスか?」
「アッアネサン?と、はいこちらの依頼についてですね、こちらは討伐依頼となります、ゴブリンは個体としてはそこまで脅威ではなく依頼のランクが低く設定されておりますが、基本的に群れで行動することが多いためこちらの討伐依頼を受ける冒険者には5人以上のパーティを組んで受けて頂くことをお勧めしており一人当たりの取り分が飛躍的に下がるため今回ご紹介を見送っておりました」
「なるほど・・・んじゃノエルさん、ニコルがその採取依頼を受けるんで俺はゴブリン討伐を単独で受けるよ、いいよね?」
「いえ、ニコルさんの採取依頼の受注は可能ですが、ゴブリン討伐の単独受注はまだ実績の無いブレドさんには許可されておりません、申し訳ありませんがそちらの依頼はご遠慮ください」
ダメだったか、まぁ当然かな?まだなって2日目だし。
「分かりました、わがまま言ったな、すまん」
「いえ、ではお二人で採取依頼を受けますか?それとも別々で受けますか?」
「んじゃあ別々でお願いします」
というわけで採取依頼を受注してケイブ森林に向かう・・・。
港町ケイベルから北西にあるケイブ森林、その広い森には豊富な森の恵みとそれに引き寄せられる獲物を狩るハンターが数多く存在している・・・がそれは森深くに踏み入れたらの話で今回のような薬草採取くらいなら森深くに行く必要もないためいうほど危なくはなかったりする・・・まぁ油断は大敵なのだがね。
「レッド兄さんこちらに薬草がたくさん生えていますよ!」
「でかしたニコルこれで俺も規定量に到達だ!」
と弟におんぶにだっこの状態で薬草集めをしているのはこの俺そう採取系の依頼には全くのダメ兄貴であることが判明したブレド・ファルシオンことレッドである、いやぁみんな草に見えて見分けつかないんだもんよ。
「ニコルや、いつもすまないねぇ」
「そんな事言いっこなしだよお兄さん・・・あのこれってほんとにこう答えなきゃいけないんですかレッド兄さん?」
「これも形式美の一種だ、が、もう気もすんだしこのやり取りは此処までにしようか」
そういって辺りを見わたす、森の木々のせいで若干薄暗いが日は完全に昇り今が昼時なんだと分かる、主に空腹感で・・・まぁ俺は感じないんだが。
「ここいらで昼食としようか?」
という俺の提案に。
「そうですね、丁度僕もおなかがすいて来ていたところでした」
と笑顔で返すニコル、ササッと準備に入った。
ちなみに昼食に食べているのは魚の干物とパンだ、味気ない・・・。
昼食が終わり薬草探しを再開して、なんと俺が薬草を発見した!草だと思ったがニコルを呼んで確認したら薬草だったのだ!見本になる薬草が10本あるのにわざわざニコルを呼んだのは見つけられた感動を伝えたかったからである!
「よかったですねレッド兄さん!」
笑顔で祝福してくれるニコル、なんていい子だ・・・逆の立場でなら俺は見つけた薬草に唾はいてたかも・・・あくまでかもだぞ?しない!。
回収作業に入った時にそれは置きた。
「た~す~け~て~!」
と悲鳴交じりのSOSがこちらに聞こえるほどの声で響き渡る。
こいつぁトラブルの予感だぜ!・・・と考えながらも丁寧に薬草の回収を始める、根っこがちゃんと点いて無きゃいけないから気を使うぜ!
突然だがここでこの世界の人型に近い魔物の繁殖方法についてお話ししよう、といっても基本はその群れのボスを頂点にハーレムを築いたり番いになって子を作ったりと様々な繁殖方法があるのだが。
事ここに至って一部の人型魔物は18禁なものも多い、まぁ人型じゃなくてもいたりするのだが。
ちなみにこの森にいるゴブリンなんかもメスと番になって子を残すものもいるのだが、多くはヒューマン種をさらって子を産ませたりするらしい。
なぜヒューマン限定かというと、元々のヒューマンの特性であるどんな種族の者とも子を残すことができるという特性がまさかの人型の魔物にまで適用されたりするのである、しかも個々の能力だけで言えばゴブリンよりヒューマンのほうが優秀なため優れた個体が生まれるようになり生存率が上がるというおまけつきである。
ただしゴブリンはその辺は本能的な部分で行動しているらしく、ヒューマンの形に似ていたらとりあえず捕まえて子づくりをしようとするらしい、つまり子供ができるか怪しいのに例えばビースト種にも行為を迫ったりするらしい。
まぁなぜこんな話をするかというと。
「た~す~け~て~」
大声で助けを呼びながら群がるゴブリンから逃げている女性が犬系統のビースト種だからで・・・あれ?違うわ、あの子デモン種だわ。
「た~す~け~て~」
なおも叫びながら走っている彼女、遠くにいながら女性と分かった理由は声の質と上半身裸だからである、つまり半裸だ、つまり眼福だ!
「あ~~人がいる~おねが~い、助けて!」
こっちも見つけられたようだ、こっちに走ってくる・・・しょうがない助けるかな?
「ニコルは彼女が来たら守って下がってろ!無理に仕留めず防御に専念しとけ!・・・まぁそっちにゴブリンを回す気は無いがな」
軽く声を弾ませてゴブリンの群れに向かって走り出す、デモン種の女性が驚きながら俺とすれ違う。
彼女を追いかけていたゴブリンは13匹ほどで、なるほど戦闘のせの字を覚えたばかりでは厄介な数なんだろうと思えないこともない、逆に言うとそれだけであるが・・・。
「”メニードル”」
やらしい笑顔でデモン種の女性を追いかけていたゴブリンたちが次々に無数に伸びた棘に串刺しになっていく・・・車は急に止まれない、ゴブリンだけど。
さすがに”オールイーター”まで知らない子に見せる訳にもいかないから”ソウルイーター”で魂だけ回収する・・・おやまぁ。
「え?何が?」
「兄さんに任せておけば安心ですよ、というかもう終わったみたいですね」
ニコルが女性を落ち着かせるために声をかけている、そこに俺も赴き小物袋から野宿用のマントを出してかけてやった・・・ふっまだニコルもお子ちゃまだな。
とニコルの顔を見るとウィンクをしてきた、まさか俺に花を持たせるために・・・ニコル、恐ろしい子・・・。
「取り敢えず場所を移そう、ここにいてあいつらの仲間が寄ってきたらめんどくさいからな、動けるか?」
「友達が!私の友達が奴らに捕まってしまったんです!どうか救出してください!」
あちゃぁ、しょうがないな、時間に余裕はないんだろうけど頼まれたからには彼女からも事情を聞いてから動かないと色々まずいんだろうな。
「どうゆうことですか?とりあえず落ち着いて順を追って話してください」
というと彼女は落ち着いて話そうと努力しながら伝えてくれた、要約すると。
彼女には2人の幼馴染の女の子がいてその子たちと3人で先日冒険者になったそうだ。
俺はケイベルで彼女たちを見かけたことがないので別の町のギルドだろう。
今までそれなりに雑用などの依頼をこなしていたのだが偶にはスリリングな依頼がしたいと彼女たちの一人が言いだし俺たちと同じ薬草の採取の依頼を受注して森まで来たところ、調子に乗ってしまい森の奥まで入った彼女たちがゴブリンに囲まれていたことに気づかず襲撃された、何とか自分だけはゴブリンから逃げることができて一生懸命に救助をしてくれる人を探していたらしい。
この採集依頼はどうやらブッキングしてもいい依頼らしいのでこの依頼を受けてこの森に来ている冒険者に頼ろうと思っていたと、でもFランクの冒険者に頼っても無駄な気もするが・・・。
「なるほどね、んじゃあゴブリンたちが今どこでパーティしてるかわかる?」
ちょっと空気の読めない質問の仕方になったが俺はこんな緊迫した空気は苦手なのよ・・・。
「っく!私は多分この獣道をまっすぐ走ってきたのであっちの方向にまっすぐです!」
マジかこの子・・・こんな森の中でまっすぐ走ってきたからあっちですと、まぁ奴らの巣やらなんやらは既に知っているからいいけどね。
「分かった、んじゃあニコル、この娘を連れてそうだなここからならこの娘の町のほうが近いみたいだからそこに連れて行け。
俺はちょいとパーティをぶち壊してくる」
「分かりましたレッド兄さん、ではこのお姉さんの護衛は任せてください、きちんと送り届けて待っていますね」
「待って!一人なんて無謀すぎる!いくら貴方が強くても囲まれたら危険よ!」
ちょいとうるさいので頭に手を置き撫でながら諭すように優しい顔を意識して。
「俺に頼んだんならもう大丈夫だ、だから安心して村で待ってな」
・・・思ってた以上に低い声が出てしまった、彼女も固まっちまったけどまぁいいかな、とっくに無事に救助するには時間が足りないかもしれないんだし。
急がにゃね・・・。
薄暗い森の中、多数の人影が自らの拠点に今日の戦利品となるモノを運びこむために進んでいた。
その戦利品は狩りで仕留めた大物レッドディア-と呼ばれている鹿だったりケイブスネークと呼ばれているこの森にしかいない固有種の小柄なヘビであったり、つい先ほど捕らえた二人の裸にされた少女たちであったりする。
その片方の少女は灰色と黒の縞模様の短く切り揃えた髪に人の耳のある部分は人より大きな耳があり毛が生えやはり灰色と黒のストライプが入っている、身長は低めで体型は女性特有のふくらみがちゃんとありビースト特有のしなやかな体つきをしているといえる、顔や体にはよほど抵抗したのか殴られた跡があちこちに残っておりその意識はなく現在は気絶しているようだ。
そしてもう一人の少女は顔を蒼白にして必死に気絶してしまったビーストの女性に呼びかけている、彼女はどうやらヒューマンで長い髪は金髪、眼は緑身長はこちらも低めではあるがビーストの彼女よりは高いようだ体格は華奢で筋肉といえるものは見えないが肉付きはいいようで出るところは出て締めるところは締まりつき出るところが突き出ていながらキュッとしまっている、そうボンキュッボンであるしかも顔の作りはかわいい部類のため属性はロリになりそうだ、が、ボンキュッボンである。
「ニナ!ニナ大丈夫!ニナ!」
どうしてこんな事になってしまったんだろう、私たちが何をしたというのだろう何をすればこんな不条理が自分たちに降り注ぐというのだろう、答えのでない出したくもない問答を彼女は自分の中で繰り返す・・・。
「そろそろ村の外に出るようにゃ仕事をしようよぅ」
「え~ニナちゃんまだ私たちには危ないよ~」
「いや、そうでもないと思うわよライカ、私たちも冒険者としての仕事をそれなりにこなしてきたし、そろそろ毛色の違う仕事をしてもいいと思うわ」
「そうそうサラの言うとおりだよ!ライカちゃんは強いのにビビりすぎだよ!」
ライカと呼ばれた少女はこの大陸であっても珍しいデモン種だ、「ブレードドック」の上位種である「ブレードウルフ」の身体的特徴のある剣狼族といわれる種族で見た目はビースト種の狼人族にほとんど似ているがその身体能力は検漏族を軽く超えてしまうほど優秀でこのライカ嬢もまだ少女ではあるがその実力はなかなかに高い。
ちなみにライカは青みかかった髪で碧眼、長めの髪は後ろにくくっている、そして3人ともかわいいと言える美人のため町の冒険者たちからも人気が高かったりする。
そんな彼女たちは先日冒険者となり、それなりの数の依頼をこなしてきているのもあってそろそろ自分たちの受ける仕事の範囲を広げたいと話し合っているところだった。
「ショーンさん!にゃんか安全でスリリングな依頼ってある?」
訳の分からない質問をしてショーンと呼ばれたギルドの受付を困らせるニナ。
「ニナ、ショーンさんがかわいそうよ・・・ショーンさん町の外に出るけど比較的安全な依頼ってあるかしら?」
とサラからの助け船が来る。
「ああ、それでしたらこちらの薬草採取の依頼なんかはどうですか?森の奥まで行かなければ比較的に安全ですし」
「よし!それやる!すぐやる!さぁ出発!」
「え~ニナちゃん少しくらい相談してよ~」
「ライカ・・・諦めましょう、こうなったら止めるのは困難だわ」
とライカとサラは溜息を吐いてこの依頼をすることに決める。
ケイブ森林に着きさっそく薬草探しに入る3人。
「にゃんで3人とも別々で依頼を受注したの?30本も探すのめんどくさいにゃぁ!」
「だから何回も言ってるでしょ!この依頼は一つのパーティで30本持っていくより3人で30本持っていく方が実入りがいいのよ!」
「あ~み~つっけた~ラッキー!」
ニナとサラがキャーキャー言ってる間にライカが早速薬草を見つける、
「ニヒヒ~、これであたしが薬草チャンピオンね~」
「薬草チャンピオン!」
「クイーンじゃないならいらないわね、そんな称号」
「クイーンにゃらいるの!」
ボケ役と思われたニナが突っ込みに回る奇跡が生まれる中、彼女たちは徐々にそして気づかないうちに、その足を森の奥へと運んで行ってしまっていた・・・。
「ねえ?ちょっと奥まで来すぎたんじゃないかしら?」
とサラが気づいたことを率直に意見する。
「そうだよね、ちょっと夢中ににゃり過ぎちゃったかにゃ?結構薬草も集まったしそろそろ戻って昼ご飯を食べに行こう!」
ニナも深く入りすぎたと感じそろそろ戻ろうと提案する。
「ちょっと嫌な予感がするから早くかえろ~」
ライカも賛成のようだ、だがその話し合いが始まるのが、その提案が出るのが少し遅かった。
場の空気が一瞬で変わり何かが大声をあげて迫ってて来ていた。
「ゴブ---!」×たくさん
「な!何!」
サラが突然のことに狼狽える、そんなサラの元に複数のゴブリンが押し寄せてくる。
「ゴブ---!」×たくさん
「な!まさかゴブリン!しまった囲まれてっキャー--!」
狼狽えて反応が遅れたサラにゴブリンが押し寄せて取り押さえようとする、
「離しなさい汚らわしい!って言うかクサ!」
抵抗するも数が多く身動きが取れなくなる、そんな彼女を救い出そうとニナとライカがゴブリンたちに攻撃を仕掛ける。
「サラから離れろ!」
「サラちゃんを離しなさーい!」
「ゴブ---!」×たくさん
「えっ?にゃーーー」
「キャー--」
「ゴブ---!」×たくさん
助け出そうとした二人もゴブリンの群れにのまれていく。
「にゃー!離せ変態ども!服を脱がすにゃ---!」
「キャーー!やめて離して触らないでーー!」
物量の差でサラと同じように押さえつけられるニナとライカ。
「いやっ!何する気なのよ服に触るな!ちょっとやめなさい!」
「触るにゃー!離せ---!こうにゃったら!があああああ!」
ニナが唸り声をあげながらゴブリンの首に噛みつき食いちぎる!
「どうだ!ギャッ!」
突然ニナの方から今までと違う悲鳴が聞こえその悲鳴とともに誰かが殴られている音も聞こえて来る。
「ニナちゃん!どうしたの!返事して!」
先ほどまで聞こえていた勇敢な友の抵抗の声が聞こえなくなり取り乱したライカだったが。
「いいかげんに離して!」
怒りで頭が沸騰し額に生えていた剣狼族の証である角で目の前のゴブリンの目を刺し、他に体を抑えているゴブリンも角で切り払っていく、奇しくも服を脱がそうと数匹のゴブリンが手を放した瞬間の出来事だった為うまくいったようだ。
「ニナちゃん!」
「ライカ!自由になったなら逃げなさい!急いで逃げて助けを呼んで!この森には薬草探しで来ている冒険者がまだいるかもしれないから!」
ゴブリンを角と爪を駆使して躱していたライカにサラの声が届く、それは友を大事にしていたライカにとってひどく残酷な言葉でもあった・・・しかし。
「わかった!すぐに誰かを連れてくる!誰もいなかったらすぐにギルドに救助を依頼するから絶対にあきらめないで待ってて!」
とライカは走り出していった、サラはゴブリンに埋もれていたために姿は見えなかったがライカが行ってくれたことに安堵しながら自分にこれから起こることに恐怖を感じていた。
そのあと服や持ち物をはぎ取られて捨てられた後、手足を縛られて運ばれる二人、いまだに意識の戻らないニナを心配して声をかけ続けるサラ。
そしてゴブリンの巣であろう洞窟の前に着き、ライカは無事に逃げられたのか自分とニナはこれから起こることに耐えられるのだろうかと不安で押し続されそうになり、視界に入る意識のないニナが少しうらやましいな、などと諦めから余計な思考が浮かんでくる、そしてこみあげてくる言葉と涙。
「私がしっかりしてなくちゃいけなかったのに・・・ごめんね二人とも・・・」
小声で出たそんな言葉が。
「間ぁにあったーーー!うお!こりゃあ眼ぷっと声に出ちった、っと、あんたがサラちゃんで寝てるのがニナちゃんだよね?」
という素っ頓狂な言葉にかき消された。