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祝!冒険者

31~34話分です。

 さて、一夜明けて現在はカモメ亭にて朝食中である、メニューはパンと野菜が入ったスープ・・・一応具の説明はあったのだがニコルが聞いてたのでわざわざ聞くよりも食事を優先したかったため細かいレシピを聞かなかったのは内緒だ。

「食べ終わったら適当に買い物でもしておくか、どうせ昼までやることもないし」

「そうですね、島である程度の荷物はそろいましたけど、そろそろ買い足してもいいと思います、というより冒険者をやるのですし、もう少しいい物を身に着けたほうがいいですよ」

「俺の武器はともかくニコルのは鈍だしな、防具も海賊のお古って考えるとちょっと嫌だし・・・荷物は一新しとくか?」

 と今日の方針を決めた、ついでに言うと今更だが俺の魔力で接続されている体はちゃんと五感があり魔力で接続されている間は味や匂いを任意で味わうことができる、なので力加減とかは割と簡単にできた。

 それと船で魔力の補充ができた後、爺さんの使っていた大容量収納袋を作れないかと”記憶情報”を探っていたのだが、その”記憶情報”のことを”ライブラリ”と名付けることにした、なんか欲しい情報のワードが頭に流れたら必要な情報が勝手に出てくるっていう素晴らしい機能だったのがわかったため名前をつけてみた。

 んで収納袋が作れるか?って検索したら無理との事、設備が足りないらしい。

 どうしようかと思ったけど爺さんの知識情報で俺の本体は吸収した物の能力を別の何かに付与ができるらしい、”ペースト”と名付けたこの能力で爺さんと一緒に吸収しちゃった収納袋の能力を丁度その時に腰に下げていた小物袋に”ペースト”してみたところ大容量の小物袋が完成した。

 この大容量袋はどうやら魔術的な儀式で創った隔離空間に物を入れておき必要な物をイメージすることでそれを出すことができるというものらしい、その隔離空間の広さは創った術者次第だそうだ、割と普及自体はされているらしいがまだまだ高価なものらしい、爺さんも自作したそうだ。

 で小物袋に船の中にある荷物を入るだけ入れようとしたんだけど入口が小さいから入らないものがちょっと多かったので大きめの食料袋にも”ペースト”してみた、大口の収納袋になると何いれても隔離空間がいっぱいにならない限り袋は膨らまないようなので入れるだけ入れてみたのだがぺったん状態だった。

 そしてそれを小物袋に入れようと思ったのだがここで疑問に思った、爺さんの創った隔離空間に”ペースト”で繋げたのか”ペースト”ごとに隔離空間が創られているのかである。

 一見似ていてどうでもいい気もしたが前者のように小物袋に大口袋を入れると、例えばカメラでテレビを撮影している映像をそのテレビに映すとテレビの中にテレビが映る映像次々に出来上がり、まるで合わせ鏡のような状態になる現象が起きる、それと似たような現象が起き小物袋が破裂とかするかもしれない、最悪何が起こるかわかんない。

 後者なら似た隔離空間が2つあるだけだから特に問題はないのだが、まぁ考えててもしょうがない!ってとりあえず入れてみたが・・・後者だったらしく特に問題はなかったようだ。

 というわけで俺とニコルは一見軽装なのだが実は大荷物を持っている状態である、ただ大体の荷物が誰かのお古なので一通り買い替えることにした。


「まずは服屋か、ニコルも好きな服を持ってこい!とりあえず汚れてもいい外着と肌着、寝間着を3着ずつくらいでいいだろう?」

「はい!レッド兄さん、では店に入ったら各自で服を選ぶことにしましょう」

 などと話しながら店に入ると店の奥から女性の店員が現れて。

「いらっしゃいませ!どのような商品をお求めでしょうか?」

 と聞いてきたので。

「普段着と肌着と寝間着を3着ほど買いに来たんだ、予算は一万ナルほどだ」

「かしこまりました、こちらのお連れ様の分もでしょうか?」

「頼めば見繕ってくれるのか?」

「はい、先にお体のサイズを魔術道具で確認させていただきますが、それでよろしいのでしたらこちらでご用意できます。

 先ほどの注文の品に何かご希望となることなどはございませんでしょうか?」

 と店員は笑顔を崩すことなく答えてくれる。

「じゃあ頼む、要望としては肌着と寝間着は特にないが、普段着の方はは今日から冒険者になるから丈夫なほうがいいな?ニコルもそれでいいだろ?」

 店に入る前の話はなかったことになったがこっちのほうが楽でいい、いやなら断ってくれればいいし。

「そうですね、僕も店員さんに頼みます」

「かしこまりました、ではさっそく寸法などを測りますので気を落ちつけて楽にしていてくださいね」

 と店員がごそごそと眼鏡を取り出し顔にかけた、あのメガネが魔道具なんだな。

「はい結構です、では数点ほど見繕ってまいりますので少々お待ちください」

 と言われたので数分ほどニコルと軽くおしゃべりをしながら待っていた、しばらくすると数点の服をもって店員が戻ってきた・・・思っていたより早くてちょっとびっくりした。

「こちらの数点になりますが、お連れ様はこれからもご成長するかと思い少しサイズを大きめのものをご用意させていただきました」

「少し予想していたが・・・ニコルは男だぞ?」

 店員が並べた品には女物の下着が混じっていた、ふっ予定調和って奴だな。

「!!これは失礼いたしました!あまりにおきれいな顔をされていたのでつい!急いで取り替えてきます!」

 慌てて店の奥に戻る店員、というか魔道具でサイズ測ったんなら性別とかもわかるんじゃないのか?まぁいいか、引っ込んでいった店員が数分後にまた戻ってきた。

「大変申し訳ありませんでした!こちらはお詫びの品としましてタダで提供させていただきます!」

 とニコル用であろう男物の肌着をこちらに渡してきたので遠慮なくもらっておいた。

「まぁよく間違えられているから気にする必要はないさ、ニコルもあまり気にしてないよな?」

「いえ、割と気にしていますよ?ですが謝っていただきましたし今回はここまでにしておきましょう」

 とにっこり笑顔を店員に向ける、まぶしい笑顔だが店員の顔には軽く冷や汗が流れているようだ。

 気を取り直して店員が持ってきた服を見る、普段着用のシャツとジーンズみたいなズボンが3着、肌着用のインナーシャツとボクサータイプのパンツ、ゆったりな寝巻用の縞模様のシャツとシャツと同じ模様のズボンを俺とニコルの分で各3着ずつ置いてある、なぜかその横に女物が並んでるのは気にしない、ワザと回収しなかったのかもしれんが。

「男の子でしたか・・・むしろそっちのほうが・・・」

 といった小声が聞こえたりするが気にしない、

「よし、これでいい店員さん値段は?」

 ここで時間をかけても仕方がないからニコルの分の肌着が被ってるのもこの際もういいや。

「ありがとうございます、こちらのシャツ6着ズボン6足合わせて6000ナル、寝間着上下セット6つが3600ナル肌着の上下セット6つが1800ナルになりまして、合計11400ナルとなりますが先ほどの失礼な言動に関するお詫びとこれからご贔屓にしていただければという期待からしめて10400ナルでご提供させていただきたいと思います」

 予算1万つったのにこの店員・・・まぁそんなもんなのかな?サービスしてもらったみたいだし、渋々全額払う。

「・・・はい、確かに!では今後ともご贔屓におねがいします、ありがとうございました!」

 といった感じで服屋での買い物が終わった。

「あの店員さんはどうしてもニコルに女装させたかったんだな、女物の肌着をいつまでも並べてたし」

 と俺なりの冗談を言ったら。

「兄さんが望むのでしたら着てもかまいません、が、兄さんもそんな趣味なんですか?」

 と笑顔で答えてくれたのに、その奥の瞳が笑ってなかったのでこちらも乾いた笑いで冗談だと告げた・・・この手の話は振らないほうがいいな。

 さて次の店に行きますかね?


 服屋で買った商品を袋に詰め次に向かった先は武具屋である。

 この世界では、よくゲームなんかにあるように武器屋と防具屋が別れているわけではなく、一つに纏めて武具屋として商売している店が多いらしい。

 理由としては武器と防具はセットで買った方が見た目がよくなるため、イチイチ別の店舗に武器を見に行って防具を見に行ってを繰り返して見た目や機能性なんかを比べる為だけに往復されるのは店側からしても冷やかしの客が増える原因になるので、じっくり1つ箇所で装備を選んでもらうようにってことで武具屋になった店が多いらしい。

 というわけで現在武具屋で物色中。


「おっちゃん!俺はこの鉄製の胸当てと脛当てのセットでいいんだけど値段はいくらだ?」

 俺はさっさと装備を決めて買うことにした、俺の場合は攻撃こそ最大のなんとやらだから装備は割とどうでもいいのだ。

「その二つなら胸当ては4800ナル脛当ては2800ナルになるからしめて7600ナルになるな、・・・よし、毎度あり」

 値段を聞いてサッサっと払う、んでさっさとつける。

「あとはニコルだが、まぁそんなに焦らないでゆっくり選んでいいぞ?俺もいろいろな武器を見てみたいし」

「はい、ではお言葉に甘えてじっくりと決めますね」

「というわけでおっちゃん!武器の鑑賞させてもらうぞ」

「おう!構わんぞ!ついでにもうちょいと買って行ってもいいぞ!」

 元気のいいおっちゃんである、見た目は額に角が生えていて、口には下顎から伸びる長い犬歯が見え肌は赤く髪と伸ばしている鼻ひげは黒い服装はタンクトップにジーンズその上に工房用のエプロンを付けている、ここにきて初めて見たがこの大陸では珍しいデモン種の鬼族と呼ばれる種族だそうだ。

 さっきまで適当に武具屋を覗いていたら、人気のない店が目に留まりそこに入ってみたらこのおっちゃんがいたわけだ。

 ちなみにヒューマン以外の種族もたくさん見ている・・・主に海賊と客船の死体なんかなのであえて触れなかったのだが。

 ちなみにここ中央大陸は多種多様な種族が入り乱れて入るのだが、それでもその大半はヒューマンが占めているといえるほど多い。

 これは勇者召喚などで召喚される者が常にヒューマンである事実がある為、中央大陸の特権階級の者や宗教的なものが、人族至上主義などを掲げて他種族を差別視していることにより、この大陸から内部に進めば進むほどヒューマン種の比率が増えてくる。

 そのため外円部であるこのような港町には、様々な種族が多くいたりするのだが、デモン族は俺にとって今回が初見であり、しかも鬼族という俺の日本人な部分を興奮させているのである。

 そんなテンションで話しかけたからか割とフレンドリーに接してくれるようになった、この鬼族のおっさんの名前はコタローというらしい。

 この世界では家名を持つ文化と持たない文化が入り乱れいるため、特につけることに関しては問題無い、無いのだがそれでも一般的には貴族など家の名前が重要になるようなものたちくらいしか家名を付けない。

 まぁ別に勝手に名乗っても問題ないのだけど、俺やニコルはすでにファルシオンで登録しているために変更手続きが面倒になっている。

 などと回想に浸りつつ武器の鑑賞をしていたら、ニコルも身に着ける装備を決めたようだ。

「決まりました!この一式でお願いします!」

 と持ってきたのは革の上着みたいなやつの中に鉄板が胸の部分に入ってるレザージャケットに、俺のと同じ鉄製の脛当てで、武器は小回り重視のためかショートソードを持ってきたようだ、まぁ前の鈍よりはいい物だろう。

「それでいいんだな?」

 正直ジャケットの方は俺も気付かなかったのが惜しいくらい着心地は良さそうだった、なので次買い替える時はこっちを買いたいなと思いつつニコルに最後の確認しておく。

「はい、これらで大丈夫です」

「んじゃおっちゃんこれらを貰うぞ、いくらだ?」

「おう!このショートソードは2500ナル、レザージャケットは5000ナル脛当ては2800ナルで10800ナルになるが嬢ちゃんはかわいいし9800ナルにまけておこう」

 瞬間・・・辺りが凍りつく・・・ような、そんな錯覚が起きた。

 このままでは何かがまずいと直感が告げてきたので、なんとかフォローを試みる。

「・・・おっちゃんニコルは男だぞ?」

 フォローが下手だったかな?と思ったが余計なことを言うとこっちに矛先が来そうなので「かわいいけど」という一言は何とか飲み込んだ。

「おっおう、すまなかったな嬢・・・坊主、一端の男にカワイイは侮辱だったな・・・お詫びとしてさっきの値段から9500ナルに値引かせてもらうよ・・・」

「そうですか、なんか悪いですね。悪気のない褒め言葉を言っただけなのにさらにサービスまでしてもらえるなんて」

 若干棘のある言い方だが、何とかニコルは落ち着いたようだ、ニコルと俺のパワーバランスが逆転してる気がするんだけどどうなってんのこれ?

 ニコルも買った武具をその場で装着して訊いてくる。

「どうでしょうか?」

 ここでかわいくて似合ってる!とか冗談でも言ったら・・・また怒るだろうから言うのはやめて。

「すこし凛々しくなって見えるな!うん、にあってるぞ!」

「ほんとですか!えへへへ」

 ニコルがはにかみながら笑う、まぶしいな。

「じゃあまたな、おっちゃん!」

「おう!また来いよ!」

 といって店を後にする、そろそろ昼前なので注文しておいたカモメ亭の昼飯を食べに戻ることにした。


 昼時となり昨日泊まったカモメ亭に昼飯を食べにやってきた、因みに昨日払った代金は食事2食分の料金が入ってるらしく、この昼食まではサービスだそうだ。

「今日の献立はうち特製の魚料理!の予定だったんですけど昨日の港の騒動が今朝の仕入れに影響しちゃいまして、申し訳ありませんがこちらのミートパスタ料理となります」

 何故か訊いてない情報も置いていった看板娘さんによると、昨日起きたレヴィアタン騒動で昨日から船を出すのを控えているらしく、魚などは当然だが海運で仕入れているものなどまでが滞っているそうだ・・・。

 これはちょっと失敗したかなぁ、まぁいいか誰にだって失敗はあるんだ、次に活かせばいいさ!

 というわけで昼食を済ます、味?普通にうまかったよ?ついでに今晩も泊まる予定だから予約をしといた。


 さて、現在冒険者ギルドにて。

「おいおい!いつからここは子守りをするようなところになったんだぁぁ!」

 なんか絡まれています、相手は見た目がそのなんていうの?頭はモヒカンで棘付きの肩パットを付けて上半身は筋肉を見せつけるようなタンクトップでジーパンを穿いているといった、冒険者のようなチンピラ・・・いえ、チンピラのような冒険者です。

 カウンター向こうの職員さんは、こちらをチラ見しているが我関せずって感じでちょっと雰囲気悪いです。

「冒険者ギルドはやる気があるなら、誰でも受け入れてくれる場所のはずですので僕達がいても何も問題はないはずですが?」

 ニコルが勇敢にも絡んできたチンピラに物申す、えらいね!

「ああん?なんか言ったか?もっと腹に力を込めてものを言わねぇぇとなぁぁんも聞こえねぇよ?」

 と馬鹿にした物言いをして手下なのだろうかチンピラの色違いが4色分増えて大笑いをして煽ってくる、因みに絡んできたやつのモヒカンが赤で左から順に青黄赤ピンク黒だ、ピンクは何か葛藤とかは無かったんだろうかね?

「聞こえないなら態々関わるのも無駄ですね?こちらは暇ではないので失礼します」

 苛立ち交じりに先に進もうとしたニコルの行き先を塞ぎ赤モヒカンがまだ絡んでくる、そろそろ鬱陶しいな・・・。

「まあ待ちなよお嬢ちゃん」

 瞬間ニコルが腰の剣に手をやりそうになったので慌ててニコルの手をつかみ。

「いいかげん邪魔なんだけど?暇ならさっさと依頼受けるなりしたら?」

 と赤モヒカンに言う、ついでにニコルに耳を塞ぐようにジェスチャーをする。

「だから声がちいさ・・・」

『邪魔だって言ってるんだよ!』

 大音量の声が響く、ちょっと建物が軋んだ気がしたがまぁいいだろう、強靭な声帯から出た声を魔力で倍増拡散させてみたのだが・・・モヒカンの他にも耳を押えてうずくまっている者が数人いたりする、まぁこちらのことを見て見ぬふりをしていた時点で同罪だから知ったこっちゃないが。

「ニコル、大丈夫か?」

「はい・・・事前に耳を押えてましたから、しかしすごい声でしたね?職員の方も驚いて倒れている方がいますし」

「聞こえてなかったみたいだからな、聞こえるであろう声を出したやっただけだ、職員も注意しなかったから聞こえるような声で話せってことだと思ってな」

 と皮肉めいた笑みを作り受付へと向かう、倒れた奴らの介抱?なんで?

「昨日登録したブレド・ファルシオンとニコル・ファルシオンだ、今日の昼頃カードを受け取りに来るように言われていたから来たのだが?」

 近くの女性の受付に苛立ち交じりで問いかける。

「はっはい、確認しました。こちらになりますのでご確認をお願いします」

 と金属片を渡してきたこれがギルドカードなんだろう、それを受け取ると。

「それと申し訳ありませんが、冒険者同士のもめ事に当ギルドは関与いたしませんが、こちらに被害を出しますとその限りではありませんのでご注意ください」

 と勇敢にも文句を言ってきた、それに対してニコルが噛みつき。

「そうですか、ですが兄さんは彼に聞こえるよう聞こえる声量でしゃべっただけですよ?いつも彼らとやり取りしていたこちらの職員さんなら気にならないと思うんですが?」

「っ!建物に被害が出かねない行為はご遠慮していただきたい!といっているんです!」

 なんか感情的な物言いの受付さんだな、ヒステリックは肌に悪いよ?

「それこそおかしいじゃないんですか?ただ彼に聞こえるようにしゃべっただけで建物が壊れるなら、いつも彼らとやり取りしている職員さんが既に壊しているはずですよ?」

「あんな声でいつもやり取りするわけないじゃない!常識で考えたらわかるでしょ!」

「常識とおっしゃるなら彼らの僕達の声が聞こえないと言って煽っていた時に止めるほうが常識的だと思いますよ?兄さんが止めていなければここで刃傷沙汰になってたことでしょう?

 その責任も取らないというあなた方に大声を上げただけの兄さんに文句を言う資格はない!」

 ニコルもヒートアップしてきたな、そろそろ止めるかな?

「ニコルその辺でいい、お姉さんも今回は俺の短慮を許してほしいんだがダメかな?」

「ですが!」

 それでもニコルが食い下がろうとしたので頭を撫でつつ。

「気にするなって、大声出したら俺もすっきりしたしニコルも大声出してくるか?外で」

 暗に出ていくか残るかを問うと。

「いえ・・・分かりました今回のことはもう忘れます。

 お姉さんも申し訳ありません、彼らが僕をダシにしてレッド兄さんに絡もうとしていたので頭に血が上っていたようです」

 ニコルも謝罪する、ていうかあいつら俺狙いだったのか、気づかなかった。

「いえ、冒険者同士の諍いなどは基本不干渉でなければいけない、という規則が裏目に出てしまったことなのでこちらからは何も言えません、が、そのあとの私の対応も少し問題があったかもしれません、なのでこれは私個人での謝罪です。

 余計なことまで言ってしまい、反論されたことに感情的になってしまいすみませんでした。

 ・・・もし昨日ギルドの規則について説明されて無いのでしたら、良ろしければこのままギルドの規則などの説明に入りたいと思うのですがいかがでしょうか?」

 そういや昨日、あの爺さんに聞いたのってギルドの歴史だけだったな。

「規則についての説明は聞いて無かったな、良ければ説明お願いする」

「はい、でしたらまずは・・・」

 この説明をきいてようやく俺とニコルは冒険者となるのだ。


「それでは簡単にですがご説明いたしますね」

 と受付のお姉さんが簡単に説明してくれた、内容は。

・冒険者各個人にはランクが付く下からF、E、D、C、B、A、Sとなっており自分のランクと同じランクの依頼を規定数達成するとランクアップの試験として試験管付きで一つ上のランクの依頼が受けられるようになる。

・依頼を受ける場合は依頼のランクと受けようとしている冒険者のランクが同じか超えて無ければいけない、パーティで受ける場合はパーティの平均ランクが適応される。

・一定期間理由もなく依頼を受けない場合はギルド側から注意が来る、それでも依頼を更に一定期間受けない場合は永久的に除名になる、この期間は各ランクごとに異なるので注意。

・依頼の失敗や途中放棄などは冒険者全体の信用に関わることなのでギルド側の不手際(依頼の調査が不十分でランクに誤差が生じたなど)以外では決してないようにすること。

・依頼を受けた冒険者などからの報告により、依頼達成が困難とギルド側から判断された場合は依頼の達成報酬が減らされるがギルド側から追加で冒険者の応援が送られる、合流した後に協力して任務に挑むこと。

・冒険者同士のいざこざはギルド側は基本不干渉であるがギルド側に何らかの損害を与えるようなことは禁止とし破れば罰則を受ける。

・冒険者はギルドを介さない依頼は受けてもいいがその場合は自己責任である。

・冒険者が犯罪またはそれに準ずることを行っており、それが発覚したら即座に登録されている個人情報などを公開の許可が出る。

・ランクS、Aの冒険者は数が少なくその依頼が高難度になることが多いのでこのランクの依頼はギルドからの指名依頼になる、この場合冒険者側からの依頼拒否は受け入れられない。

・ランクSの冒険者に限り勇者が召喚されたら即座にその手助けができる体制を整えておくこと。

 大まかにはこんな感じだった、他にも細かいことが多々あったりするのだが簡単な説明なのでこんな感じだった。

「こんな感じですね、それでは何か質問はありせんか?」

 と受付の姉さんが訊いてきたので。

「でしたら指定の魔物の討伐依頼というのが多々あると思うんですが、冒険者という職業柄、町から町に移動することも多いので不意に遭遇して、その魔物を依頼として受けていない者が倒してしまった場合は、後でギルドに報告しても報酬が出るんでしょうか?」

「その依頼を受けている冒険者がいたりすれば依頼を受けていた冒険者に報酬が行きます。

 ただ討伐報告後にギルドが設けた日数が過ぎても討伐報酬を取りに来なかった場合は討伐された方に報酬が行きます。

 これは冒険者が討伐対象に対して無駄に時間をかけることを防止するためです。

 また討伐対象が倒されていたと報告があった場合は即座にギルド側から受けていた冒険者に連絡が行くようになっているので無駄に討伐対象を探す心配は滅多にありません」

「なるほど、分かりました」

「他にはありませんか?」

「特に今は思いつくものがない、またある程度仕事をこなしてから気になったことを質問する」

「かしこまりました、ではその時にまた答えさせてもらいますね。

 では本日はもう帰られますか?」

「いや、さっそく何か仕事をしてみようと思うんだが何かいいのはないか?」

「いいのですか?そうですねFランク・・・ではこの手紙配達をされますか?」

「んじゃそれからやる、終わったらここにきてお姉さんに報告したらいいのか?」

「特に私にと限定しなくてもいいんですけどね、私がいる時でしたら指名してくれたら私が担当しますね、では改めまして私の名前はノエルと申します」

「ブレドだ敬意と親しみをもってレッドと呼ぶといい、こっちは弟のニコルだ」

「ニコルです、今後ともよろしくお願いします、ノエルさん」

「はい、ではこちらがこの町の大まかな地図と届ける手紙になります」

 とノエルさんが手紙が入ったカバンと地図を渡してくれた。

「では、大物になることを期待しています。

 頑張ってきてください」


 地図と手紙の宛先を頼りに手紙の配達を済ませていく、基本的に手紙は同じ人の家に纏めて送ってきていたので割かし早く終わったと思う、が、慣れない町で地図を見ながら走り回った為か日は既に傾いていた、報告は明日かな。

 

 というわけで現在カモメ亭で夕飯中であるどうやらビーフシチュー的なものにパンといった献立のようだ。

「今日から冒険者になるんですよね?これはサービスですよ~」

 と看板娘さんが俺とニコルにリンゴのような果実の切ったものを俺たちに配ってくれた。

「おっ!ありがとう看板娘さん!」

「あれ?まだ名前言ってませんでしたっけ?私アイナっていうんですよ?お客さん」

「おや、そんな名前だったのか、んじゃ改めて俺はブレド敬意と親しみを込めてレッドと呼ぶといいこっちは弟のニコル」

「ニコルです、今後ともよろしくお願いします、アイナさん」

「よろしくね!レッドさんニコル君!それじゃあ忙しくなってきたからまたね~」

 と手を振りながらアイナは仕事に戻っていった、俺とニコルはそのまま食事を進め食事を終えるとそのまま寝る準備をして寝ることにした。

 寝間着はいいものだと思う今日この頃だった。

 ちなみに体が寝ると意識は本体に戻るのだが剣にもスリープモードみたいな機能があった為、精神的な疲れといったとこにも特に問題ないようだ。

 まぁ”サーチレーダー”は随時発動してるんだけどね。

ファルシオン新技

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誤字脱字等ありましたら優しく教えて頂けたら幸いです

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