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新たな仲間と新たな体

15~24話です

 リゾートビーチについて初めての朝を迎えました。

 そしてこの世界に召喚されて初めての朝日を浴びています、感慨深いので何気に感動しております。

 海水に沈みながらですけどね。

 いや、べつに海水浴を満喫したくて沈んでるわけじゃないよ?

 最初沈んでた時は窒息するんじゃないかとかで若干焦ったけど、この体は酸素はいらないらしい、剣だし・・・

 ついでに見た目も変えることにした刀は目立ちすぎる気がするし、名前ファルシオンだし、とりあえず片刃で幅広い片手剣風になっといた色は普通にシルバー!黒もいいかと思ったけど悪目立ちしそうだしやめといた、普通が一番!


 そろそろ島に上陸しようかな?棘をはやして歩くとかできたらいいんだけど生やすことはできるけど歩くのはダメみたい、器用に伸び縮みを使えばできないこともないけどさ多分。

 というわけで水中から見える木に向かって返しのついた棘を一瞬で伸ばす木を貫いたら縮める!っと俺は木に深々と刺さった・・・

 さてどうしようか、角度の関係で割と高い場所に刺さったから下通ったやつが見上げないと見つかんないかもね。

 おや?アレに見えるは昨日の船じゃないかな?マストがマストとして機能するか怪しい長さの柱になっているし・・・

 その船を曳いてる船があるけど、いやに派手な船だねマストの帆は黒い布を使ってるのかな?一番前のマストについてる帆なんて真ん中にデーンと髑髏にクロスした骨のマーク!こっちの世界でもこのマーク使うんだね感激だわ。

 ふむ、海賊さん方が上陸してきたみたいね

「今回の獲物は笑えたな~」

「マストもない船が海を漂ってるんだもんな~」

「おかげでだいぶ楽に襲撃出来てウハウハだな~」

 さすが海賊語尾に締まりがない(偏見)。

「今回は金目の物も多いし女もそれなりに乗ってたからよっぽどの上玉以外は早々に俺らにも周ってくるだろうしな」

「だな!今夜の宴も楽しみだな!』

 ふむ、少しは俺のせいかもしれんから責任を感じないこともないな、な~む~。

 そういや昨日爺さんの魂とか取り込んだからこの世界の言葉とか大体わかるようになったんだ、ラッキーなことに爺さんはバイリンガルだったようだ。

 さて、俺がマスト切っちゃった船に乗ってた人たちくらい助けてあげてもいい気がするけど・・・もう少しひどい目にあってからでもいいかな?

 無理に助けるぎりはないし、マスト切っちゃったけど海賊くらい返り討ちにしてしまえばよかったのに捕まっちゃう方が悪い、自主責任です。

 それにできたらたくさんの死体が欲しいし。

 いや~爺さんの知識に面白いものがあったからそれを使ってみたいんだよね、んでそのためにはたくさんの材料がいるってことで。

 とりあえず明日俺の下を通ったやつの体を奪ってみるかな?

 ふっふっふっ爺さんの知識から人の体を自由に動かすことのできる”パペットマジック”と死体を動かす”ネクロマジック”を学んだおかげで自由になる体ならすぐ調達できる!自由になるからだ・・・素敵な表現だ。

 さて、他にも爺さんのおかげで知識が馬鹿みたいに増えたしある程度おさらいでもしてみるかな。

 この世界は一応爺さんの地元の言葉ではハモニア、地域と言葉の違いによっていろいろ違うとこもあるけど大体ハモニアで統一できてる感じ、すごいね。

 ちなみに爺さんは違ったみたいだけどこの世界の住人のほとんどが天動説な人たちらしい気を付けないとね。

 国の歴史とか細かいし国同士の主観なんかもあるからパス、この世界の大まかな歴史も国によってまちまちなんだけど爺さんの知識によると元々この世界にはこの世界と隣り合う世界その名も隣界りんかい・・・まんまだね!というのがあったらしい、隣界との接点に巨大なゲートができており、そこから多種多様な動物、植物などが流れ込んできていた、それらが今この世界おける魔物という連中らしい、つまり剣犬は外来種ってことだね、当時は。

 隣界からの侵入者によって生態系なんかが異常なまでに狂い人々に絶望が立ち込めたらしい。

 そんな時にどこからともなく神々と名乗る者たちが魔物たちに対抗するための術、魔術と呼ばれる魔法を駆使して魔力を用い戦う術をおしえたり、魔力を筋肉などに干渉させてより強い肉体になった民族などを生み出したらしい。

 ちなみに爺さんのマッチョ姿はこの魔力で干渉して作り上げられた肉体を剣の力が”解放”中のみ剣の魔力で再現していたものらしい。

 そしてここからが恐ろしいことになる、神々の助けもあり何とか落ち着いてきたころにそれが起こる。

 なんとゲートが崩壊したのだ、悪い方向に。

 そう、ゲートが閉じるのではなく崩壊したため世界と世界を隔てていた境界が無くなってしまったのだ、つまり二つの世界が一つにくっついた。

 ふむ、ここまでの歴史の流れなら天動説の考えになっても不思議じゃないな、だって丸い世界なら二つの世界がくっつくという考え自体おかしいしね。

 多分、元々元在った世界と思われていた場所と隣界のあった場所は一つの惑星でありながら何らかの理由でお互い侵入ができなかっただけなんだろうけどね、それはまぁ置いといて。

 二つの異なる世界がくっついたせいで天変地異が起きて阿鼻叫喚が起きる、それをまたまた神々さんが都合よく抑える、その方法が自分たちの神殿を各地に点在させ現地の者たちによる信仰によってこの世界はすくわれるだろうっていうここにきて力の貸し方に胡散臭さが爆発しそうな手助けを行う。

 実際に天変地異は治まり世界は滞りなく健やかに暮らせるようになりましたと、二つの世界が共にあるということを忘れないようにこの世界の名前はハモニアだそうだ。

 で、爺さんはゲート崩壊どころか世界を二つに分けてたのすらその神々だったんじゃないかと睨んで、もし神々がまたよからぬことを画策しているならこちらも無力でなく何らかの抵抗の意志を示せるように俺の今のボディーを作ったってわけね。

 まぁ宗教が絡んでくると途端に面倒なことになるだろうからいざとなるまでその辺はノータッチで行こうかな。

 大体話が大きくなりすぎて当事者になる気も起きないわ・・・



 木に刺さって一日と半分が過ぎた昼時かな?多分。

 この木の下を通ったやつに適当に襲い掛かって”ソウルイーター”に”パぺマジ(パペットマジック)”か”ネクマジ(ネクロマジック)”のコンボで自由に動かせる体を手に入れる予定でずっと待ってたんだけど・・・だぁれも来ない!

 この島ったら魔物らしい魔物もいないし安全面では割と安心できそうなもんなんだからもっと頻繁にこっちに来ればいいのに、だぁれもここまで近づいてこない!

 こうなったら自力で動くかな。

 まずは深々と刺さっている俺本体の大きさを一回り小さくします、すると抜けやすくなると思います。

 次に先端が平らになっている棒を伸ばします、この時に勢いよく伸ばすとまた海面にダイブすることになるので注意しましょう。

 無事木から抜けたので棒を戻し地面に垂直に自由落下したら木からの脱出は成功です、ご視聴ありがとう!

 とまぁ木から脱出はできたんだけどどうすっかなー、とりあえず船があった方まで移動してみるかな?

 というわけでさっき出した棒を駆使し角度を付けて跳び過ぎないように刀身の伸びるスピードに気を付けてっと、よし!ジャンプ!

 今回は傾き75度くらいで跳んだからか高さの割に距離が出なかった、え?跳びすぎないようにって何だったのかって?過去のことは気にしちゃだめさ!

 で自由落下したんだけどなんかおっさんの脳天にさっくり刺さってんだよね。

 この体使おうかと思ったけど・・・なんか汚いから嫌だな、だって下半身丸出しでいろいろびくびくしながら排泄処理が行われ始めたんだもん、”オールイーター”すら使いたくないな。

 とりあえず”ソウルイーター”で抜け殻にしておく・・・死んだようなので”ネクマジ”をかけてみる。

 うまくかかったけどイチイチ術使い分けるのもめんどいなというわけで新術開発してみよう!っていうか爺さんが既に試行錯誤してくれてたみたいだから丁度使えそうな術をちょいちょいで・・・よしこんなもんかな?

 もともと”パぺマジ”は相手の自由意思を封じて人形にして操るって魔法らしいし”ネクマジ”は魂のない死体にかける魔法らしい、じゃあ魂のない生きた体ならどうだろう?答えはかからない、爺さんの考えが複雑になりすぎてよく分かんなくなったが理由は魂はなくても生命力があるかららしい。

 生きる気力はなくても生命力はあるか・・・じゃあもう外部から魔力で疑似的に俺の魂創って埋め込んじゃえばいいじゃん!っていうのが今回創った”ソウルハック”である。

 ファルシオンから伸びる俺の魔力を体につないで疑似的に創った俺の魂を魂のなくなった体に埋め込む。

 するとその体は俺の体として違和感や支持出しによるラグも少なく動けるのです!

 創ったの俺(9割爺さんの知識とか)なんだけどこれ超便利かも♪

 まぁこの死体には使えんけどさ。

 とりあえず排泄物で汚れたみたいだから他の奴がいるとこまで歩かせる・・・下半身丸出しで・・・触りたくないし見たくないもん、こんなズル剥け。

 すたすた歩いていくと丁度良く一人のチンピラみたいな兄ちゃんが歩いてきた。

「おいっ!なんて格好してやがるズボンくらい穿け!ってかクッサ!お前クソ漏らしたのか?その頭馬鹿じゃねーのダサいんだよ?つかクッサ!お前無視してんじゃねーよ!なんだ?舐めてんのか?舐めてんだろ?やったろーかくらぁ・・・ギャーギャー」

 おおうさすがチンピラ、マシンガントークにより相手にしゃべらせることなくまくし立てて勝手に切れてケンカを売ってきおった、ほんとこういう人種ってなんでみんなこんな感じなんだろうね?話も聞かないで自分の言葉でヒートアップして勝手に切れる。

 黙って聞いてたら前の世界でも絡まれてこっちが先に手を出してしまったことを思い出す・・・あの頃は若かった。

 さてこいつも勝手にヒートアップしてきたからいいかげん黙らすかね。

 そうして刀身からチンピラの肩に刺さるように棘を一瞬で伸ばす、んで”ソウルイーター”からの”ソウルハック”っと。

 うまく乗っ取れた、今の俺は見た目チンピラの中身は好青年・・・好中年?

 ふむ、爺さんと視界を共有していた時と大体一緒だね、全周囲モニターが使えない状態なのは、まぁ使い慣れた視界に戻ったと考えたらいいかね。

 よし、爺さんの時と違って自由に動ける!

「こんにちわ異世界」

 よし声も出せる、爺さんの知識や発声の技術なんかも使えるようだ!

「ウァッチャーネーム」

 なんちゃってw

「がががgでぶううuuu」

 うお!こわっ!でもちゃんと答えたってことは剣の時にかけた術でも体からの命令も聞いてくれるみたいね、ちょっと安心。

「んじゃお前はこのまま立ってて俺が10秒以上動かなくなったら一歩ずつ近づいてこい、いいな!」

 返事はない、少し不安。

 でも俺はゆっくり離れていく、ちなみに本体である剣はガデブ(仮)の頭にまだ刺さっている。

 と5メートルくらい離れたかというときに視界が全周囲モニターに切り替わる。

 やっぱこの距離が限界かな?チンピラの体が停止している、距離が離れすぎて魔力でのつながりが切れたからだ。

 10秒たったのでガデブが歩き出す、指示どうりゆっくりと。

 そしてチンピラの目の前まで歩いたところで俺の本体からストップ指示を出す。

 ふむ、近づくだけじゃ魔力のつながりは復元しないらしい魔力を糸状になったようなイメージとともにそれをチンピラに伸ばしてみた。

 視界がチンピラの視界に戻る。

「魔力のつながりが切れても繋ぎ直すだけでいいみたいだな、イチイチ疑似魂創り直す必要はないと」

 疑似魂っていっても地味に大量の魔力を使う、量だけで言えば一回で魂一個分だ!

 疑似っていっても体にはまるようにしっかり圧縮もしないといけないのだ!

 その工程も実際は一瞬だけど”ソウルイーター”で取り出した魂を魔力に還元した後そのまま俺の魂として作り変えて疑似魂にする、つまり”ソウルハック”一回の魔力消費量だけなら人一人分の魂の総量と同じ消費量が必要となる、いちいちかけ直してたら面倒この上ないのだ!

 などの一人の体ではやりにくい実験という遊びをこなしていると辺りは既に真っ暗になっていた。

 ちなみに剣の時の視界は明るさとか関係ないけど明るくないと色とかは認識できなかったりするんだよ。

 などと考えていると少し遠くから「がっシャーン!」という気持ちのいい音が聞こえてきた。

 面白いことでも起きるのかな?


 

 闇夜の中を走る人影。

 身長は小さく、まだ子供なのか走り方も安定しているとは言えない。

 ここはこの世界ハモニアにある中央大陸ハーモニアと東側にある群島諸国との交易路の途中にあるとある島。

 そんな島を子供が何かに見つからないようにしているのか足音を立てないように気を付けながら走っている。

 子供の名前をニコル、見た目は12,3歳くらいで服装は多少砂や汗などで汚れたりしているが割ときれいなシャツのようなものを羽織っているがズボンは何故か穿いていない、彼の髪色は赤の色彩が少し強めの茶色、目は両方とも碧眼で鼻も高すぎず低すぎず丁度良く顔の形も憎いくらい整っている、どちらかというと小顔、髪が長ければ性別を間違いかねないほどの美少年である、そんな彼がなぜこの島で闇夜にまぎれて走っているのかというと。

 ニコルの見た目が気に入りニコルを買った貴族とともに乗っていた船が不運にも昨日、海賊に襲撃されて船のクルーや乗っていた貴族が雇っていた護衛などが応戦するも敗北、結果海賊たちに捕縛された後、この島にある牢に放り込まれていたのである、が、たまたまニコルが入れられた牢の中に以前いたのであろうこの牢の先輩の”いきついた”姿が放置してあった。

 その先輩の一部に協力してもらい自分を縛ってたロープを何とか切り同室にいた4人の同じ船に乗っていたであろう男たちのロープをほどき何故か用を足しに行ってから帰ってこない見張りの目を盗んで牢の鍵を破壊して脱出に成功した。

 ただ破壊する方法が悪かった。

 ロープをほどいて自由に動けるようになった彼らが力任せに牢を蹴り飛ばしたことでろくに整備をしてなかった牢屋の扉が勢いよく蹴飛ばされ派手な音を上げて倒れたのである。

 ニコルたちは慌ててその場から逃げ出した。

 さて、冒頭にてニコルが一人で走っていたがそれは逃げている間に次々と彼らが捕まっていった結果・・・というわけではなくただ彼らとは目的が少し違っていたので別行動をしていただけである。

 ニコルの目的とは自分の主の娘であり自分の憧れであるお嬢様シェーナの救出である。

 ニコルを買ってくれたのは貴族であるバドガルド卿であるがシェーナの

「見た目が気にいったからその子を買ったら?」

 という一言で自分の働き口が見つかったともいえニコルにとっては憧れとともに恩人でもあるのだ、他の働き口だと趣味の危うい紳士の方たちの家に行く羽目になるところだったのでまさしく恩人である。

 ちなみにシェーナはニコルより2歳ほど年上で日課のようにニコルを女装させては恥じらう彼を罵って楽しんでいたちょっと特殊な性癖を持っていたりする。

 そういったことからニコルはお嬢様を命を懸けて救い出すために闇夜の道を自分のできる最大限の警戒をしながら走っているのである。

 そしてずさんな見張りの目を盗みお嬢様たちなど船で捕らえられた女性たちがいるという場所の情報を得て島の中腹にある少し小奇麗に整備されている建物につく。

 そして物陰から内部を覗いたニコルの目に入った光景は・・・彼にとっては地獄に近いものだった・・・

 既にこの島に連れてこられて一晩を跨いで2日目の夜だったため手遅れではないのか?と内心では考えていたこともあったが・・・そんなことない!と自分に言い聞かせ、まだ無事でいるはずだ!と自分を鼓舞して、たどり着いた先にいたのが女の顔を惜しげもなく晒し獣のような声を上げて屈強な男たちと絡んでいる憧れていた女性だった。

 よく中を見わたしてみるとニコルの主だった者だった”物”もある。

 ニコルはショックで放心していたがしばらくして湧いた感情が言いようのない憎悪であったのはいうまでもないことかもしれない、言いようのない感情なのになのに言うまでもないっておかしい気もするがいうまでもないのである。

 すると突然何者かに話しかけられる

「少年、何見てんの?」

「!!!!!!!!」

 心臓が止まったんじゃないかと思うほど驚いたニコルが声を上げなかったのはきっと奇跡に近いのだろう。

 以上ニコルの回想。


 さっきの「ガッシャーン」という音を頼りに音がしたと思われる方向に向かう、さっき脳天貫いちゃった奴の見張ってた牢屋の方だからきっと脱走だな、もっとスマートに出ていってもよかったんじゃないかな?

 もちろん道なんかは魂の記憶頼みで進んでいる、俺の頭ってば剣になってからの方が使いやすいかも。

 そうこうしているうちに牢屋のとこについたのだが・・・とっくに片が付いた後だった、牢から脱出した連中が他の牢も開けて人数を増やそうとしたところ最後の牢にいた奴らのロープをほどいてる時に、牢から聞こえた音を聞いて駆け付けた海賊たちに残念ながら一方的に制圧されたようだ。

 何人かは他の囚人?捕虜?まぁ捕虜でいいか捕虜の事は助けず放っておいて逃げたのがいたらしい。

 らしいっていうのはこいつらの記憶を見たからさ、入ってすぐ騒ぎが収まってたようだったから片手に持った本体の剣先を奴らに向けて無数に生やした棘を一瞬で伸ばしてさっさと”ソウルイーター”で必要な情報だけいただいたってわけ。

 無数のとげとげアタックは便利だけど名前が長いので”メニードル”って名付けよう。

 この島にいる人の数は一つの牢屋に4、5人で牢屋が4部屋、牢屋って一部屋二部屋でいいのかな?まいいや、捕虜は28人、この現場についた時にいたのは15人、捕まった乗客の女性はここにおらず他の場所に連れてかれたんだけど女性客は9人まぁ場所は海賊どもの記憶にあったからいいんだけど、そういや貴族のおっさんも連れて行ったらしいね、身代金とかその辺目的なのかな?下っ端の記憶だけだからそこまでは解んないね。

 海賊の構成人数が43人、今片付けたのが10人、船に待機しているのが6人で4人が牢からにげた3人をおっているっと。

 逃げた3人のうち二人は首だけになって帰ってきた、残ってるのは子供らしいからもう明日でもいいやって4人とも帰ってきたらしい、いただきます。

 さて先に船にいる奴から片付けますかね。

 ・・・これで海賊の残りは21人かな?えーと女性は9人で・・・うわー。

 といってもさすがに6人が交代で見張りをやっているらしい、今海賊たちが肉の宴を開催している建物の周りを警戒中だそうだ、この島ではそこまで警戒する対象はいない気もするが明日の朝が早いものや港の警戒などの仕事をさぼって覗きに来る馬鹿の警戒のためだそうだ。

 で、その建物の場所に向かう途中に面白いものを発見する。

 茂みに隠れて普通なら見えない場所ではあるのだがこの体はあくまで海賊の体で海賊に対する敵対意思は俺にも該当してしまう。

 危機察知魔法”知らせる君”と脳内に自分の周囲5メートルの範囲の地図を常に浮かばせている”脳内マップ”との合わせ技で周囲5メートルの敵性反応を感知できる”サーチレーダー”が使えるようになった、これは爺さんの使っていた敵を察知する魔法だね、因みに”知らせる君”と”脳内マップ””サーチレーダー”は俺が名付けた、覚えやすいでしょ?

 まぁ要するに俺にも該当してしまう敵意を放ってた少年が茂みにいたから俺が見つけちゃったわけ。

 なんか一生懸命に建物の中を見てるんだけど・・・若い子って元気だねぇこんな時にも盛ってるんだもん、やれやれだね。

 見張りもやる気がないのか俺にすら気づいてない・・・ほぼ棒立ち状態なんだけどな?

 まいいや自分もコソコソ隠れて少年に声をかけてみる。

「少年、何見てんの?」

「!!!!!!!!」

 うんごめん、こんなタイミングで話しかけたら驚くよね。

 声出さないだけ大したもんだと思うよ?

 少年が声を押さえて息を止めてそろそろ2分が過ぎようとしている、どうやら彼は自分の限界に挑戦し続けているチャレンジャーという人種のようだ・・・。

 うんごめんね少年。

「落ち着いて聞け、俺は君の敵として話しかけたんじゃないから声は出すなよ?お互い終わるからな、分かった?」

と 小声で伝える、少年が自分の両手で自分お口を押えつつゆっくりと頷く。

「小声で喋れ、これからあの建物に襲撃をかけようと思うんだがお前は此処にいろ」

 少年は首を横に振りながら。

「いえ、僕もお供します、お願いします!」

 そうかえしてきた、当然だめだとか言ってもいいけどここはあえて

「なら別にいいぞ?まぁお前を守る気は一切ないから確実にお前は死ぬだろうけど、それでもいいか?」

 まぁ足手まといってのは守ったり援護したりするからできるわけで気にせずに戦えば何の障害にならないだろう、むしろ勝手に突入とか後から乱入とかされて何人か闇夜に逃げられる方が大変だもんね。

「それで構いません、どうせ単身突撃しても同じ運命でしょう・・・ところでお手持ちの武器にあまりはないでしょうか?恥ずかしい話なのですが僕は丸腰でして」

 と少年は何も持って無いとアピールするように両手を上げる、俺もそれにつられて少年を改めて見てみる。

 見た目は12,3歳くらいで髪色は赤の色彩が少し強めの茶色、目は両方とも碧眼で鼻も高すぎず低すぎず丁度良く顔の形も憎いくらい整っており小顔、服装は多少汚れているが割ときれいなシャツのようなものを羽織りズボンは何故か穿いていない、なんで穿いてないの?

「えっとこれは此処についたときに男かどうか調べるといわれて脱がされたんです」

と 頬をかきながら説明する。

 なるほど声を聴いても性別分からないくらいの美形だ、髪が短いから少年だと思って話しかけたけど顔を見てからじゃわかんなかったかも。

 ふむ、これだけ美形だとなんか手元においてるだけでお得な特典がありそうだな、・・・ふむこいつを育てるというのもありかな?

 そうだな、よく考えたらこの世界に来てまだ俺自身には目標がない、神々を~とかは爺さんの目標だしそんなことする気は全く無い、能力の確認とかはあくまで自分に自由な体を作るためだし、よし。

「気が変わった、お前の名は?」

 すると少年は。

「僕はこう見えてもノーマルですよ?よく誤解されて襲われたりしますから多少の護身術も覚えたんですから、それに名前訊くなら自分からなのるのが礼儀と聞きますよ?僕はニコルといいます、あなたは?」

 おっと、ここで俺も名乗ることになったか・・・さてなんて名乗ろうかな、マストブレイカーとか?別に前の世界の名前である必要もないしそうだな。

「俺の名前はブレド・ファルシオン、敬意をこめてレッドと呼ぶがいい、それから安心しろ俺もノーマルだ」

 ブレド・ファルシオン・・・まあ安直だけど刃ってことでブレード、本体はファルシオンだからファルシオンね、んでブレドっていった後に言いにくかったからレッドって愛称で呼ばせることにしたってわけ。

「ふふっ安心しました、レッドさんそれで武器のことなんですが、実のところ僕は中にいる女性の一人を解放したいと思っているのですが丸腰ではそんな事、夢に見ることもできません、どうかどちらかの剣を貸していただけませんか?」

 ふむ、まぁこんなとこまで来てたんだから助けたい奴の一人や二人いるでしょうさ、さてどうしたもんかな。

「そうだな、ではこっちを貸してやろう」

と 腰にさしていた海賊がもともと持ってたなまくらを渡す

「それから白状するがあの建物にいる連中は生きている者全員斬る予定だったんだが貴様が条件をのむなら一人二人見逃してもいいぞ、まぁ助けても心の傷はどうにもならんと思うんだがな」

 俺の目的も白状しとくどうせ騙してうまく俺の許においていてもいずればれてもっと悲惨なことになる可能性もある。

「そう、ですか、でしたか・・・それでしたら僕からもお願いいたします、僕が助けたいといった女性は僕が仕えていた貴族のご令嬢で名をシェーナ様といいます、この位置からだとよく見えてしまいますが・・・あの海賊どもの中でもひと際存在感のある男の腕の中で乱れている女性です・・・あんなに辛そうにしておいでですので、すぐにでも解放してあげたいのです」

 と視線であの女性だと示す、確かに美人だけどね金髪でスタイルもいいし顔も貴族だけあって見栄えがいい、横にいる男の子を見て無ければ是が非でも助け出そうとしたかもしれない・・・助けなかっただろうけどさ。

 ふむ、なら作戦は・・・。

 ニコルとどうゆう風に襲撃するかを話し合い段取りを決めてゆく

 時間にして5,6分くらいしか話し合わなかったのだが。

「よし、こんなとこだな・・・あとは臨機応変で行こう、それじゃあニコルお前は今から俺との契約者だ、この件が片付いたらお前は俺のもんだ、いいな」

と 聞く人次第では確実に誤解されるであろう発言をニコルに宣言する。

「はい、この件が無事に済みお嬢様を無事解放することができたら貴方に僕の主となってもらいます」

と 俺の宣言に応えるニコル・・・こら!顔を赤らめるなシャレにならんぞ!

「では行くぞ」

 俺は不敵な笑みを浮かべ闇夜の山道に歩を進めた・・・。

 

 さて踏み込む前に簡単なひと手間

「”サイレントサークル”」

 対象物の中と外に防音機能のある結界を張る。

 張ったら俺は山道に戻って宴の建物に歩きだす。

 当然、すぐに見張りに見つかる


「誰だ!何しに来た!・・・ン?お前最近はいったチンピラか?」

 まさかこの体の元の名前がチンピラだったとは驚きだ、興味もないから名前とか確かめて無かったな。

「で?何しに来たんだ?お前、今夜は牢屋番だったはずだろう?ようもないなら持ち場に戻れ」

 見張りの海賊たちが集まってきて全員で帰れ帰れと手で示す、何となく楽しそうだいつかやってみたい。

「いえねぇ、実はぁ牢にぃいたぁ連中がぁみんなしてぇ脱走しちゃったんですよぉ~」

 自分の中のチンピラの記憶に若干自分なりにアドリブを入れて話しかけてみる。

「お前、俺らを馬鹿にしてんのか?してんだろ表出ろやおら?俺ら先輩やぞ?普通俺らにそんな言葉使わねーだろうが!・・・ギャーギャー」×6

 めっちゃキレられた・・・ま~計算通り、てか沸点低いな~所詮屑どもってことだな、で数も多いからすぐさま暴力で押さえつけるためにこっちまで来ると、アホダナァ。

「なんだよその眼は?馬鹿にしてんだろ?お前、馬鹿にしてんだろ?お前俺ら先輩やぞ・・・ギャーギャー」×6

 うるさいなーどんだけ馬鹿にされることに敏感なの?自意識過剰過ぎじゃないかな?馬鹿にする以前に意識に入れる価値もないから無関心なんだけどな?てか無駄に先輩先輩言うなよ、言葉が安くなんぞ?

 まあいいやこんだけ惹き付けたら充分だろ。

 あと一歩で先頭を歩く海賊の右手に持つ武器、さっきニコルに渡した鈍よりまともそうな片手剣の間合いに入るかな?って距離に着いたときに、先頭の海賊の肩口から腰に抜けるように剣を振るう。

「なんの真似だぁぁぁ!くらぁぁぁ!」

 先頭の海賊は激昂する、まぁこいつだけ魂吸ってないし・・・なんでって?さすがにこいつらイラついたからさ、こいつには八つ当たりしようと思ったからかな?どいつでもよかったけど一番近くにいたし。

「ああん?何とか言わんかい!ギャーギャー」

 にしても元気だな?徐々に滑り落ちてるのに気づかないし・・・どんどん斜めに滑っているさまはちょっと引くかな?

 ちなみに後ろの連中は剣振った時に全員に届く長さに一瞬で伸ばして”ソウルイーター”で片付けてます。

「いいかげん切られたのに気づけ馬鹿!話が進まんだろうが!」

「あんだくらぁ!お前の剣なんか届いてねんだよ!馬鹿にしてんのか?馬鹿にしてんだ・・・」

 ・・・もういい聞きたくない、なんでこんなに元気なの?首だけでもしゃべるんじゃないこいつ?

 とりあえずうるさかったから首を飛ばすように切る、んで空いてる左手で髪をうまくつかんでキャッチ成功!何本か抜ける感触が癖になりそうだ・・・ならないけど。

「さて次はっと」

 死体はそのまま、掴んだ首を片手に建物に向かう。


 「ドンっ!」扉が派手に鳴る少しして「ガチャッ」っと音とともに寂しそうに扉にこびりついた血を見ながら扉を開くチンピラ、足もとにボールのようなものが転がっている。

「なんの真似だ?」

 海賊どもの記憶にある「お頭」が怒気をはらんだ声で問いかける。

「わかるでしょ?」

 俺は右手の剣を左から右に軽く払う

「なっ!?」

 「お頭」の首が飛ぶ

 ニコルのお嬢様は寝た体勢だったが立った状態や運悪くその高さで絡んでたものたちが男女問わず肉塊になる、因みに「お頭」はこちらの確認のためにかこちらに向けて立ち上がる最中だった・・・ていうかさ、ただでさえ男女の匂いでクサいのにこの部屋はもう、吐きそう!嗅覚遮断したいなぁ、ありゃ出来た。

「てめぇ!どうゆうつもりだ!」

 と声を荒げて近くの武器を手に向かってくる海賊たち

 何を見ていたのかねぇ~逃げればいいのにねぇ~逃がす気は、ないけどね!

「死ーねーやーぁぁぁ!」

 海賊の動きがひどく遅く感じる気がする、まぁ気のせいじゃなく実際遅くなってんだろうね、敵対者との戦闘行為に入ったら俺の必要に応じて体感時間が伸びたり短くなったりするみたい、今までは”ソウルイーター”とかで一瞬で終わってたから何となくそうなってるんだろうなぁ程度に考えてはいたけどこれで実感したな。

 とりあえず恐怖を与えてやろうかな。

 海賊たちの攻撃を紙一重で逸れるように躱しつつ手前にいる奴から武器ごと切っていく。

「ひぃ!化け物!」

 最後の二人になると武器を捨てて逃げだそうとする。

 まぁ遅いよね、そういえば返り討ちにしたのが5人だから最初の一太刀で海賊は8人切ったみたいね。

 何とか裏口から逃げようとする二人だが裏口のドアノブに触れた瞬間木製のドアの真ん中から刃物が飛び出し勢いがついていた海賊の一人は腹に刃物の侵入を許し背中から剣先がこんばんわをしてしまう、その出来事に怯んだ最後の一人の首をはね騒動は治まる、さてとここにきて少し気になったんだけどこんだけ血だらけの部屋になったのに悲鳴1つ上がらないとかこの世界ってなんかその・・・すごいな、俺としてもうるさいのは嫌だったからいいけど。

「お嬢様!」

 ニコルがなんかいろいろな体液が付着したお嬢様の許に駆けよる。

 ボーっとした表情のお嬢様は起き上がりニコルの方を向き、

「ニコッッッ」

 言い切る前に首をはねられる

 ・・・ニコルに。

 あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

 お嬢様を解放するといったニコルがお嬢様の首をはねた・・・

 な・・・何を言っているのか、わからねーと思うがおれも・・・うん、気が済んだからもういいや。

 まぁ助けてじゃなく解放してあげたいって言ってたし雰囲気的にこうなるかもって思ってはいたんだけどね。

「ご協力していただき感謝します、無事に僕の手でお嬢様を解放して差し上げることができました」

 ぺこりと頭を下げるニコル。

 やっぱ最初に会った時にネジが抜けてたみたいだな・・・。

 そして時間とともに正気を取り戻し始めた女性たちが悲鳴を上げるまでのカウントダウンが始める、数は4人か・・・剣を掲げて

「キャァァァァァ!」×4

「”メニードル”」

 残っていた女性たちの額を貫いて静かになってもらった。


 そして次の日

「さてニコル、最初の仕事だ!」

「はい!ご主人様!」

 ニコルは次々と建物内に転がっている死体や破片を立てものの横に置いてある台車へと積んでいく、もちろん俺も死体を積んでいく。

 昨日の夜に運ぼうとも思ったんだけど夜中の作業は絵的にちょいと嫌だったんでマストのない方の船で休むことにした、俺は別にこの体を休ませる必要はなかったんだけどね。

 で昨日の建物に台車ひいて今着いたわけ。

 ちなみに台車をひいてきたのはガデブだ、昨日大きな音の方に向かった時こいつ放置してきちゃってたのを台車見つけてニコルにひかせるのもなんだかなぁって思ってた時に思い出したんだ。

 その後ろ姿を見つけた時は、なんというか言葉に困った。

 ズボン穿いてない上にお尻に茶色いものがこびりついていた・・・もちろん海水でいいから体を洗って来いと命令したら洗って帰ってきたよ、裸で・・・。

 俺の実年齢より若そうだけど何が悲しくておっさんに服着せなきゃいけないんだ!って怒ってたら服着るように命令したらいいということに気づいてそう命令するとちゃんと服着ようとしたんだ、ニコルの服脱がして自分で着ようとしたから急いでほかの服探して持ってきたけど・・・

 ニコルはニコルでボロボロにされた服を着てあの顔で半泣きになりながら、

「・・・グスッ・・・ごしゅ・・・じんさま、今日は何を・・・グスッ・・・なさるんでしょうか・・・エグッ」

 下手に美系でまだ小さいのも相まって事案発生した風にしか見えなかったんでニコルにも服を持ってきてあげた。

 そんなこともあったがとりあえず死体をまとめて台車に積み終わる。

 次に港の海賊たちが使っていた広めの倉庫を空にしてから運んできた死体を詰め込んでいくもちろん牢屋にあった死体なんかも回収してある。

 さて、俺がしようとしていることは簡単に言うと自分に都合のいい体を作ることである。


「あの、ご主人様はこの大量の遺体で何をしようとなさっているのですか?」

 疑問と興味がついに口に出たニコルに俺はこたえる。

「先にニコルお前に言っておくことがある」

 その言葉にニコルはゴクンと喉を鳴らす。

「俺はブレド・ファルシオンだがこの体は昨日壊滅した海賊の一員である下っ端のチンピラの物だ」

 俺の衝撃の告白にニコルは。

「は?ご主人さま・・・まさか頭を・・・」

 なんか失礼な心配をしてきた・・・こいつめ・・・改めて考え直してみたらさっきの一言はいらなかったかな?

「まぁ細かいことはいい、どうせ後で分かることだしニコルは俺の指示に従ってくれればいい」

 俺の言った余計な一言で無駄な混乱が起きたので仕方なく弁明しつつ指示を出す。

「えっ?あっはい!かしこまりました」

 困惑していたのか間抜けな声を出して返事をするニコル、

「取り敢えずニコルはそこの死体を積んだ山の横に立っといてくれ」

と 指示を出しておく

「はい、かしこまりました」

 疑う様子もなく指示通りに山の横に立つニコル・・・少しは俺の言葉に疑問持ってもいいと思うけどな、言ってる事が怪しい自覚はあるし。

 まぁいいか、さっさと始めよう、

「”スキャン”」

「”クリエイトゴーレム!”」

 と二つの呪文を唱える細かい詠唱とかは魔力でゴリおす。

 今回創るのはフレッシュゴーレムとか言う生き物の肉を使ったゴーレムだ。

 ホムンクルスとかでもいいかなとか思ったけどなんかいろいろ器具とか設備とかいるらしい。

 こっちは術式だけで簡単便利!禁術の類らしいけど知ったこっちゃない!この世界できられるキップなんざ無いからな!

 術式の発動に伴い死体群が一か所に集まり溶け合うように混ざっていくその様はまるで生き物を丸ごとミキサーにかけて粗びきを作っているようだ、うんグロイ。

 横に立つニコルも血の気が引いた顔をしている、なんかゴメンね。

 とりあえず体の機能とかは横にいるニコルをベースに作っていく・・・というかマルっとコピー。

 そう、ニコルを生かしておいたのは美形の男ということで丁度いい感じの見本としていいタイミングで出会ったからである、ハモニアに来る前にモテたことなかったから男でも美形だなって思う顔ならこっちでモテると思ったのだ!浅はか?何を言われても知らんな、美形になってから出直してくるがいい!・・・この返し方だと整形に手を出したみたいでいやだな、いや整形が悪いわけじゃないけどさ。

 数十人分の死体を凝縮していく勿論魔力に物を言わせてね。

 そこには俺の前の体と同じ!ではなくニコルを大人にしたような凛々しくたくましい体を持つ紅蓮の髪に赤い瞳の美丈夫が立っていた。

 細かく言うとニコルの身長が150ちょいで今作ったからだが175ぐらい元の俺と同じくらいの身長に合わせたんだ、あと顔もちょいといじった、っていっても眉毛を少し太くして体に合わせて不自然にならない程度に顔の大きさを大きくしたくらいだけど・・・ニコルはちょっと小顔すぎて女装したら普通に女性と見分けがつかないくらい可愛いいから・・・そんな体はちょっと遠慮したいのでいじったのである。

 それに美形の弟に頼れる兄貴ってなんかいい感じがしてそんなシチュになるように創ったんだよね。

 さてとニコルに簡単な説明しとくかな

「ニコル、今作った体に今から俺の精神を移す・・・それからはその体がお前の主になる、よってその体からの指示に従うことにしろ、いいな?」

と 簡単に支持を出しておく・・・あれ?説明になってない気がするけどまぁ言いかな。

 支持を終えてから作られた体の元に向かう。

 一応ゴーレムなのかこちらの指示を聞こうと俺が近くまで歩くと膝まづくフレッシュゴーレム。

「手を」

 短く指示を出す、フレッシュゴーレムは両手をこちらにあげて次の指示を待つ、

「片手でいい」

 フレッシュゴーレムが左手を下した、俺は本体であるファルシオンを左手に持ち形状を果物ナイフに変える、できるとは思っていたけどまさかここまで小さくなるとは・・・まぁいいか後にしよう。

 果物ナイフになった本体をフレッシュゴーレムの手の甲に軽く突き立て試しに”ソウルイーター”を発動してみる・・・結果は不発、まぁ魂はないしね。

 ”ソウルイーター”はあくまで魂を奪い魔力と情報に還元して吸収する術だからか魂自体は宿していないゴーレムには効かないらしい、気になってたからついでに試しちゃった。

「”ソウルハック”」

 自分の中にある昨日吸収した人数分の魂を還元した分の魔力を圧縮して疑似魂を作ってみる・・・圧縮するだけで自分の中に残った魔力の大半を使用してしまったようだ、ファルシオンの形状がぶれ始める。

 急いでチンピラの体からフレッシュゴーレムに意識を移す、視界が一瞬暗転すると目の前にチンピラがいた。

 チンピラから形状がナイフから別の何かになろうと刀身がゆっくり伸びていたファルシオンを奪いチンピラを貫く、

「”オールイーター!”」

 急いでいたせいか少し語気が強くなったようだ。

 チンピラが跡形もなくなる、すると。

「これは・・・どうなったのでしょうか?」

と ニコルが俺に質問してくる。

「この体が手に入った以上あの不愉快な屑の体なんかいらないから俺の糧にした」

と 俺は簡潔に答えるが

「ご主人様の敵!」

と 昨日渡した鈍で切りかかってくる・・・あれぇ?説明した気がするんだけどな?

「おい!何をするんだニコル!お前の主は俺だろうが!・・・こらっ!いったん止まれ!」

 だが止まらない、ニコルから距離を取るために外に出て、ついでに入口にいたガデブも吸収しておく。

「おのれ!ガデブさんまで!許さないぞ露出狂!」

 とニコルが怒りの形相をこちらに向ける・・・ちなみに今の体は裸だ、立派なものがブルンブルン跳ねている、癖になりそうでやばい。

 あくまで素材にしたのは死体の肉であるが死体が着ていた服なんかは死体が混ざり合う段階でボロボロに破れたりしてただの布屑と化していてとても着れるような物じゃない。

「まず聞けニコル!そしてさっきの俺の説明をちゃんと聞いていたのかを訊かせろ!」

と ニコルに叫ぶ

「お前の説明なんか聞いてない!いきなりご主人様を殺して屑呼ばわりしたお前の言葉なんか聞きたく無い!」

 ・・・なるほどそうなるか、そうなっちゃうか、そういやそうだよなぁ。

 ニコルからしたら自分の主人がよくわかんない術を使って、死体があった場所に現れた得体のしれない男、主人がそいつにナイフを刺したらそのナイフを奪い取って主人を殺しちゃった・・・やばいこれは言い訳効かないんじゃないかな?

 


 少年は激怒していた。

 目の前のナニを盛大に揺らして走っている変態にだけじゃなく主人の奇行を止めることができなかった自分にも怒っていた。

 目の前の男は主人が使った魔術の名前からすると恐らくゴーレムだと思う。

 一晩で、しかも短時間で10人以上の海賊を倒してしまうような自分には計り知れない見た目はまさにチンピラの若干残念な人だったけど、まさかゴーレムを呪文1つで創ることまでできる魔術師とは思ってなかった。

 そんなすごい人なのだから自分には分からないすごいことをするんだと思って言われるがままに指示のとおりに動いた。

 ゴーレムが出来上がりその光景に放心していた僕を横目にご主人が不用意に近づいた時も何か重要なことをしないといけないんだろうと黙って見守った・・・それがいけなかった。

 ご主人は何を思って行動したのかは凡庸な僕の頭には分からない。

 いきなりゴーレムに「手を」とか「片手でいい」とか言いだしてその手に対しておもむろにナイフを・・・あれ?ご主人が持ってたのって片手剣じゃなかったかな?まぁあの時手に持っていたのはナイフだったしいつの間にか持ち替えたんだと思う、とにかくそのナイフをゴーレムに刺した。

 聞いた話にはゴーレムに防衛機能があるって前の主の護衛をしていた冒険者から聞いたことがある。

 その防衛機能が働いたのかゴーレムはいきなりご主人様からナイフを奪いあろうことか・・・あろうことか・・・ご主人様を刺殺し、その体を消し飛ばした。

 そのことに一瞬頭が追い付かないで現状把握の言葉が漏れました「これは・・・どうなったんでしょうか?」と。

 その言葉を拾ったゴーレムは僕に似た顔で「この体が手に入った以上あの不愉快な屑の体なんかいらないから俺の糧にした」と自分を作ってくださったまさに親ともいえるお方に対し「不愉快な屑」と言い放ったのです!

 それは許されざることといえるでしょう!

 そのうえ奴は!「おい!何をするんだニコル!お前の主は俺だろうが!」などと世迷いごとを言いだし僕の神経を逆なでにしてきたのです!

 そして僕の攻撃に手こずったゴーレムは逃げ出し入口で見守っていたガデブさんまで消し飛ばしたのです!

 正直に言えばあんな変態のことはどうでもいいのですがご主人の仇のついでに仇を取れたらいいくらいには思ってもいいと思います。

 「まず聞けニコル!そしてさっきの俺の説明をちゃんと聞いていたのかを訊かせろ!」

 露出きょ・・・ゴーレムが何か叫んできました。

「お前の説明なんか聞いてない!いきなりご主人様を殺して屑呼ばわりしたお前の言葉なんか聞きたく無い!」

 僕も叫びます、露出・・・露出狂は僕に似た顔でしわを作りまるで困ったとでも言わんとしているようです露出狂のくせに!・・・違いましたゴーレムのくせに!

「なぁまずは順を追って話させてくれないか?」

「露出狂の言葉なんか聞きたくないです!」

「いやっ好きでこんな格好してるわけじゃないけど、しょうがない!」

と 一瞬で僕の視界から消える露出狂、服だけじゃなく姿まで消したら何て呼べばいいのだろう?

 そんなことを考えながら辺りを探してみると後ろから

「服着たぞ?これで話を聞いてもらえるな!」

と いった言葉が聞こえた

「何を馬鹿なことを!露出狂が服を来たら露出狂じゃないじゃないですか!」

「いや・・・お前は俺をなんだと思ってるんだ?」

 返事をしながら振り返る露出狂が何か言っているが僕の視界にはありえない光景があったために耳に入ってこなかった・・・奴が・・・露出狂が・・・服を着ていたのです・・・。

「そんな・・・ばかな・・・」

 僕は脱力して膝をつきました、彼は自分の主人どころか自分の存在意義までも否定してしまった・・・そのことがあまりに悲しくて・・・。

「え?なんで?」

 露出狂がうろたえます、いえもう服を着ているため彼はもうただのゴーレムというべきでしょう、ただのゴーレムが僕を見ながらこう言いだしました。

「まぁいいや、話を聞いてくれそうだし、まずは改めて自己紹介をし直そう俺の名前はブレド・ファルシオン、敬意をもってレッドと呼ぶがいい!、それと安心しろ俺はノーマルだ!」

「何を言うんですか?僕だってノーマルです!あれ?今の名前って・・・えっ!」

 ただのゴーレムが僕に急に自己紹介をしてきました、それは昨日の夜に聞いた僕が忘れることがないと思えたご主人様との初めての邂逅の言葉でした。

 そういえば一度もレッドと敬意を込めて呼んでませんでしたね・・・。

 以上ニコル回想。


 俺が服を着てくるとニコルがなぜか悲痛な顔を浮かべて膝をつく・・・何があったの?

「え?なんで?」

と 声に出てしまうほど驚いた、が、まぁなんにせよこれで落ち着いて話を聞いてくれそうだ。

「まぁいいや、話を聞いてくれそうだし、まずは改めて自己紹介をし直そう俺の名前はブレド・ファルシオン、敬意をもってレッドと呼ぶがいい!、それと安心しろ俺はノーマルだ!」

 とりあえず昨日の自己紹介のところからやり直そうと思い昨日の自己紹介に沿ってしてみる、こちらから話しかけているため若干変えているが、まぁ大丈夫じゃないかな?

「何を言うんですか?僕だってノーマルです!あれ?今の名前って・・・えっ!」

 とうろたえながら返事をするニコル、うん・・・ほんとにノーマルだよね?

「ようやく会話がでいるくらいに落ち着いたようだな・・・先に誤解を与えるような言動をしていたようなので謝っておこう」

 と俺は謝罪の言葉を贈る。

「どうゆうことでしょうか?」

「お前がブレド・ファルシオンだと思っていたさっきのチンピラ風の男とその男が作り出した俺は同じ精神でつながっていたんだ」

 と俺は説明をしだす、まぁ細かいことは全然違ってたりするけど・・・そうでもないのかな?ファルシオンを通して精神はつながってたようなもんだし、うん!俺、ウソツカナイ。

「え~と?その・・・よくわからないんですが?」

 とニコルは俺に上目づかいで聞いてくる・・・気を付けろこいつはこれでも男だ!

「簡単に説明すると俺があのチンピラを操っていたってことさ」

 と簡単に説明する。

「嘘つかないでください!あなたはゴーレムでしょう!主人に創られたばかりのあなたにご主人様を操ることなどできません!」

 とキレられたなかなか鋭いなニコルよ・・・しかたないか。

「仕方ないから俺の秘密を話そう、俺の弱みにもなるから言いたくなかったんだがな、実は俺の本体は今俺が持っているこの剣だ!」

「は?何を言ってるんですか?世迷いごとが言いたいなら死んで詫びてからにしてください」

 再びニコルが殺気立ち始める、思った以上に気難しかったんだねこの子は。

「疑うなら俺の持つ剣をもってそうだなさっきの倉庫の前まで歩きそこに剣を置いてから俺を観察しに来い、そうしたら俺は魂の抜け殻のような状態になるから」

「そんな事言って不用意に近づいたらその剣で僕も殺す気でしょう?そんな手には乗りませんよ!」

「なら分かった、こうしよう」

と 俺は剣先を地面に突きたてて自らが倉庫まで歩き出した・・・んで体は前のめりに倒れた、痛そう。

 今の俺の視界は剣から見える全周囲モードだ、ニコルがフレッシュゴーレムに駆け寄っていく。

 そして思いっきり蹴った!蹴る蹴る蹴る蹴るキックキック最後に足を高く上げて腰のあたりを思いっきりふんづけた!・・・心が痛い・・・。

 そしてフレッシュゴーレムを蹴り転がし顔を覗き見る。

「ここまでしても無抵抗ということはこのゴーレムには防衛機能はついて無かった?つまりさっきご主人様を殺したのは防衛機能が働いたからじゃなく自分の意志で殺したということ?でもゴーレムに意志があるなんて聞いたことがないですし、そういえば会話を交わすこと自体がそもそもおかしいですよね?」

と 一人納得しだしたニコル・・・調べるためにそこまでするとは・・・ニコル恐ろしい子・・・。

 まぁなんだか納得し始めたしとりあえず声をかけてみる。

『納得したかニコル?』

と 剣状態のため魔力で空気振動を起こして話しかける、

「だっだれですか?」

と 当然の質問をしてくるので。

『後ろ後ろ、そう振り返って~ハイ!ストーップ!』

 ニコルがこっちを向き丁度いいタイミングでストップをかける。

「えっ誰もいませんよ?」

 ニコルが不思議がりながら言葉を出す。

『言っただろう?俺の本体は剣だって、今目の前にいる俺がブレド・ファルシオンだ』

「はい?だれだか知りませんがからかうのにその名前を使う事は許しませんよ!」

 やばいめんどくさくなってきた、さっきまでのちょろさはどこ行ったんだろう。

 もういいかなめんどいしこれで最後にしとこう。

 俺はニコルがみている前で棘を伸ばして縮めてを繰り返して仰向けにされたフレッシュゴーレムの許に移動する、ニコルの目が驚きに見開かれ驚愕で体は硬直している。

『はい、魔力接続完了』

 そんなニコルを横目にフレッシュゴーレムの許に着き魔力のつながりを復活させる。

「これは・・・だいぶボロボロにしてくれたようだなニコル・・・主に服をだが」

 体は何十人分の死体を凝縮してつくられたためか異常な強度を持っていることは分かっていたた傷とかは気にしてなかったけど服は埃なんかでだいぶ汚れていた。

「本当にその剣がご主人様の本体だったんですか?」

「疑い深いのはいいけどいいかげん信じてもらえないとめんどくさい、別に無理に一緒に行動する必要もないからさっさと殺してもいいんだぞ?そっちのが楽だしな」

 苛立ち交じりの声が出てしまう。

「ではなぜ殺さないのですか?説得などと面倒なことせずに一思いにされればよかったのに・・・ハッ!僕の貞操が目当て何ですか?でしたら僕は自ら死を選びます!この身は主にささげた体ですので!」

「いや・・・俺は最初からノーマルって言ってんだけどしつこいなぁ、一思いに殺さなかったのは1人より2人のほうが楽しく旅ができそうだったからだよ、話がここまでこじれたらもうめんどくさくてしょうがないけどな!」

 もはや俺自身もう無理かなーって諦めがかなり入っている、そこにニコルが

「分かりました、数々の非礼お詫びいたします・・・申し訳ありませんでした」

 急に納得した!なんで?

「え?急に何言ってんの?」

「そうですね、まず普通のゴーレムがこのように意志を持つかのようにふるまうこと自体無いと僕は思います、また先ほどの剣でありながらしゃべり自ら動いていくさまを見て本体という話も頷けなくもないかなと思いました」

 とのニコルの言葉に唖然とするが疑問もあったので質問する。

「んじゃ最後の貞操の下りは?」

「悪ふざけです」

 とまぶしい笑顔をこちらに向けて非道な一言を放つ美少年・・・どうやら途中から単にからかわれていたようだ、子供にからかわれるとはね。

「これからもよろしくお願いしますね、ご主人様」

 とまぶしい笑顔で挨拶してきたので俺は悔しさ交じりに。

「違う!これからはレッド兄さんと呼べ!」

 と返す、どうだ!これなら反撃になるだろう!なんない気しかしない・・・。

「はい、よろしくお願いします、レッド兄さん」

 やれやれまぶしい笑顔だぜ・・・。

この時点でファルシオンの使える固有の技は

オールイーター

ソウルイーター

ソウルハック

ニードル、メニードル

サーチレーダー

です。

誤字脱字ありましたら優しく教えてくれると幸いです

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