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復讐と解放

12~14話分です

『どういうことじゃ?』

 ワシは研究室にて錬成魔剣ファルシオンの状態を確認しておった。

 理由は先ほどの戦闘中に突然形状が不安定になりブレードドック(剣犬)の角のような形状になったり全く知らんが伝え聞くところの日本刀という刃物の特徴を持つ剣になったりしたからだ。

 これはもしかしたら剣の魔力容量が飽和したから暴走を始めたのではと思い急ぎ研究室まで来たところなのじゃが。

『飽和どころか0.01%にも達しておらんぞ?』

 そう、予想とは全然違い容量は飽和どころかむしろ空に近い状態であった、既に2匹ほどの魂を吸収しているというのに。

 ちなみにワシの持論でもあるが一般的に魂を構成している魔力は大気中に漂うマナと同じものではあるがその密度、質が別次元に高い存在だと考えられている。

 それを留め圧縮し続けているのが肉体、個人で保有している魔力の違いなどは圧縮している魔力量の差や圧縮している圧力の違いなどにある。

 また、個人で使用できる魔力量に限界があるのは魂が原形をとどめていられるギリギリの魔力量が決まっていてそれを超えて使用することも、まぁある程度はできるが魂に障害が起き体に様々な障害が起きたりする。

 その場合魂に素早く魔力を補充するなどの応急処置で体や魂への障害は回避できることもあるが・・・一般的には魔力を無理に使ってはならないとされておる。

 また、使用された魔力も無茶をしなければ大気中のマナや食物などから摂取した魔力などで魂が生成することで時間とともに補充される。

 話がそれたがつまり魔物だろうが少し強力な野生動物だろうが魂を構成している魔力量は数値にしたら膨大であるというわけじゃ。

 それゆえ魔力が飽和したと落胆していたのじゃが。

『小物とはいえ2匹分の魂を吸収してこの程度しかたまっていないとは、いや?溜まったともいえんな、だがこれならこの剣の所有者は戦闘中延々と魔力を使えそうじゃな!まぁそういうコンセプトで創ったのじゃが』

 それにしてもこの容量はすさまじい。

 以前召喚された異世界人から聞いた話では一定の年齢に達し貞操を守ってきたものは魔法使いになるらしい。

 つまり魔力を使える器に作り替わるということじゃ、だが聞いた話では実際に魔法などを用いることのできる人間はいないらしい。

 ということは異世界人の魂は常にマナを欲している状態にあるということじゃないのかと考えた、そしてそんな状態でも体に何の障害も起きていないという奇跡的なバランスを維持しながら本来異世界では使うことも機会もない魔力を使える体に作り替えるなんて狂気にしか思えん。

 錬成魔剣の材料になった今回の男を含めて4人ほどこの研究所に召喚したが今回の錬成魔剣は素晴らしい出来ともいえるのう、それゆえに今回の形状の暴走は謎が付きまとう。

 最初の錬成魔剣のように素材の男が若すぎたために容量が人一人分よりちょっと多いだけというのが原因なら魔力量の飽和、そういえば前々回の素材の男は魔法使いになっておらんただの中年の器だったため容量はひどいもんじゃった怒りに任せて叩き折ってしまったのは反省じゃの、そして前回はなかなかの出来で容量も今回の最高傑作に比べては大したことはないと言えてしまうが小さな町くらいなら食い尽くせただろうの、金策のために質に入れてみたら面白い額になったんでそのまま売ったが、あの時の商人の顔は忘れられんのう・・・どんな顔じゃったか?

 話がそれたようじゃ、結局原因がわからんというより前例がないせいで予測しか立てられん。

 簡単に考えつくのが、まずは容量が足りな過ぎて存在維持に最適な形になった・・・だが、これだと昨日の時点で形状が変わらない理由がない、次に魔力を吸収するために最適な形になった、こちらも昨日の時点で起きてもおかしくはない、そして最後にワシがブレードドッグの角を意識しすぎたためにその形状を模写したか・・・一番可能性があるがそのあとの形状に知識でしか知らない刀の形状になる要素がない。

 いや、もしかしたらあの時は角の形状では使いにくいという思いにより使いやすい形状になれと念じたからあの素材に使った男の中にあった最も使いやすい形状に変わったのかもしれん、これなら話も通るのう。

 ・・・もしかしたら剣に意志が宿っておるような気がするが、まぁそれは置いておくか、敵性反応もないし、まぁ大丈夫じゃろう。

 以上ジジイの回想でした。


 さて、この世界に来て3日目となりました!

 とまぁテンションを俺の中で寂しく上げているのですが現在爺さんは山のふもとの森の中を歩いておりました。

 なんで過去形かって?

 説明中に爺さんが敵性反応を感知したんだよね、で突然”解放”されたわけですはい。

『数が多いが昨日の奴の仲間かの?』

と いって視線を向ける、すると視線の先には7、8匹ものワニがいた。

 内心なんでだよと突っ込む、ここは森なんだから”昨日の~”ってフレーズなら剣犬だろうが全く。

『まぁ近くに川もあるし昨日の奴の敵討ちといったところじゃな、畜生の分際で泣かせるのう』

と いうとクックックッと爺さんは笑う。

 近くに川があるならワニがこんなとこにいても納得かな?納得する気ないけど。

 ちなみに剣の形状は元のまっ黒なロングソードじゃなく昨日の刀っぽい形状になっている。

『ではゆくぞい!』

と 爺さんはいきなり駆け出して扇状に囲んでいたワニの右サイドから切りかかっていく。

 大きく口を開けて、どうやってんのかわかんないけど大きくジャンプして跳びかかってくるワニ・・・どうやって跳んでんのマジで?

 的確に下あごを薙ぎ払う爺さん、跳んでくる順に顎がなくなっていく、なんでみんなわざわざジャンプしてくるんだろう。

 そして最後の一匹の顎がなくなった時に爺さんはそれに気づいた、

『おかしい、顎を切り落としただけでワニどもがみな死んでおる?いや息はしておるようじゃが痛みにのたうつ事もせんのはおかしいぞ?』

と。

 やっぱ気づくよねぇ全部昨日の要領で魂抜いちゃった、テヘ♪

 でも死んではいないな?魂って何なんだろうね?ちなみに記憶情報は取捨選択できるみたい「見る気ないから記憶とかいらね」とか考えてたら走馬灯見ないで済んじゃったみたい。

 魂ってあれかな?高密度の魔力ではあるけど情報、つまり記憶もある・・・意識とか意志とかなのかな?ということは”ソウルイーター”は”マインドイーター”とかでもあるんだねきっと、うん、魂とは何なのかって?精神的なもんとかどっかで聞いたね、難しいことを考えるとイメージがうまく湧かなくなりそうだしそういうもん的に気楽に考えとこう。

 さて、爺さんもさすがに怪しんでいるかな?

『どうゆうことじゃ?”オールイーター”で喰らっておるのに魔力の流れてくる量が少なすぎる?魂がない?だがアンデットというわけでもないようじゃし』

 ふ、爺さん犯人はぁこぉこぉでぇすぅよぉ♪

 さて、ここで気づいたことなんだけどね。

 今この爺さんの体に俺が入ってるような感覚になっているのはあくまで剣と魔力的に爺さんが繋がっているため俺が無意識に視覚と聴覚を共有していたからのようだ。

 まぁ何が言いたいかというと

 俺は自分の中にある魔力の操作をしてみる、

『ん?何事じゃ?』

 爺さんもさすがに反応するが驚愕で思考が追い付いてないようだ。

 それで魔力を操作して大気を振動させてみる、ちょいと難しい

「アガザダナバマヤラワ」

『な、なんじゃ!?』

「アエイウエオアオ」

『これは暴走か?い、いかん!』

「オソイ、ソウルイーター」

 機械的な声が響く、爺さんが膝から落ちてうつぶせに倒れる。

 倒れる時も前のめりとか爺さんやったね!まぁどうでもいいが。

 魔力的な繋がりが元からあるため爺さんの魂を掴み取るのは簡単すぎた、というか常に握ってた状態なんだよね、わざわざ魔力操作で音声作って教えてやったのは誰に殺されるかちゃんと知ってもらうためだ。

 これは、ジジイに与えられた理不尽に対する復讐だったんだけどうまく魔力操作できてよかったね!てか音声になってよかったよ。

 まぁ気が晴れたかは別だがね。

 さて、無いとは思うけど爺さんの死体とかから俺の情報とか漏れても面白くないし、知らん奴にいきなり”封印”を使われてもかなわんから爺さんの体も喰っておこう、文字だけ見たら最悪だけどね!

 そして、当面の問題は此処からどうやって移動するかかな?爺さんの死体はもうないけどワニの死体は今まさに4体ほど出来上がりつつあるし(失血死)血の匂いで他の生物が寄ってきてるし(多分)誰かに拾われる前にこの体(刀状態のファルシオン)のできることとか調べておきたいし・・・移動手段から考えて爺さんに天誅するべきだったかな?

 ・・・まぁ移動手段の候補はないこともないんだけどね。

 とまぁ考えてたら来ましたよお客さん、ワンワン吠えててかわいいですね!

 別に無視してもいいような奴らでもあるんだけど、ちょっと絡まれるんじゃないかなぁって心配もしております。

 だって無機物の俺にイチイチ絡んでくる犬もいないと思いたいけど犬って棒投げたら追っていくじゃん(偏見)。

 俺ってば見方によっちゃ棒じゃん?

 噛まれるじゃん?やばいじゃん?

 というわけで昨日思いついた緊急脱出法を本邦初公開するしかないようだ。

 まず刀身を曲げて剣先を地面に少し深めに埋めます、まっすぐに戻ります、ここで気を付けておきたいのがにぎりの方向に木などの遮蔽物がないことをしっかり確認して何もないこと確認しておきましょう!確認は大事です!あと剣先が鋭すぎてただ沈んじゃった、とかないように埋めた剣先は気持ち平らになってもらいましょう。

 ここでワンポイントアドバイス!剣の傾きは45度くらいがよく飛ぶとか昔理科の実験で言っていた誰かがいた気がする(勘)。

 俺に気づいて一匹の剣犬が噛みついてくる、ははっこいつめ~噛まれてるところから鋭い棘を一気に伸ばすイメージをする、犬の串刺しができる動物愛護の人に訴えられるような攻撃方法だなと考えてるとこちらに気づいた他のワンちゃんたちが次々にこちらにかけてくる。

 とりあえず仕留めた剣犬は”オールイーター”でまるっと食べてさっさと逃げますかね?というわけで刀身を昔見た西遊記の如意棒みたいに一気に伸びるようにイメージしたんだけど、ちょいと予想外なことが起きた。

 伸び続けるつもりだったんだけど結果は一気に伸びた・・・つまり途中で伸びるのが止まって勢いよく飛んじゃった。

 これで分かったんだけど、とりあえず限界まで伸ばしても5メートルくらい、つまり”封印”されていた時に剣を中心に視界を飛ばせる範囲と同じ長さまでしか伸びないらしい。

 あと、形状もイメージ通りには変えられるけど羽ばたいたりってのはできないらしいね、せっかく飛んでいるからついでに試してみたんだよ?


 というわけで現在グライダーみたいに翼を出して飛行中、途中で空飛んでる鳥みたいのに絡まれそうになったけど近づいてくる前に返しのついた棘を一瞬で伸ばして突き刺して元に戻しつつ”オールイーター”で跡形もなく食べればスピードの勢いが戻り滞空時間が伸びると。

 ちなみに視界なんかに関しては剣を中心の全周囲モニターみたいに見ることができてる、目がないのに不思議な気分、よくファンタジー物に出る魔力感知みたいなものってこんな感じなのかな?


 さて、高度も低くなってきたのはいいんだけどやばい事態が起きた。

 下を見たら地面がない・・・

 調子に乗って海に出ていたようだ、だって飛んでるんだよ?調子にも乗るってなもんだよ。

 とか考えてるうちに海面が近づいてきた。

 錆びるとかない気がするけどそんな保証ないし・・・錆びても大丈夫な気がするけど。

 と俺の視界に船らしきものが入る!助かった!

 翼代わりの刃を微調整して船の真正面に周る。

 そしてまっすぐ突っ込み。

 船のすべてのマストを切り飛ばしてすれ違った・・・

 恐るべし我が切れ味!ってかどうすんだよこれ!

 落ち着け!船があるなら陸地が近いかも!さっき上空から見たら一面海だったけどきっと慌てている間に陸地にちかづいていたに違いない!それか島とか!そうだ島だよ!上空からだと見えない大きさの島だったに違いない例えば目の前に見える島とか!

 ・・・あったー!ギリギリ行けるかな?届け俺!やばい着水する・・・

 何とか着いたかな?思いっきり水中だけどさ・・・ここは浜辺付近の浅瀬みたいだな、ここなら下手に見つかりそうもないし少し落ち着いても大丈夫かな?錆びそうだけど・・・

誤字脱字がありましたら優しく教えてもらえたら幸いです

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