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悪ふざけ

~56

「いや特になんも?ただ食事を独りで済ませてただけさ」

 と言った俺の言葉にうるさいおっさんのガデムがなんか微妙な顔をする、確かに面と向かってサボった宣言は無かったかもな。

「おいおいおい!ほんとにここで何もなかったのか?戦闘痕みたいのがちゃんとあるぞ?」

 ほう、なかなか鋭いおっさんだな、いかにも人の上げ足を取ることが生きがいみたいな絡み方をしてくるだけはある。

「おっおっおっ!」

 と盗賊がなんか言いそうだ、いや嗚咽かもしんないけど。

「お頭の斧が転がってる・・・」

 と呟く盗賊・・・えっ?拾い忘れてたかな?まぁいいか。


 時間は少し戻りワン太郎と丘の向こう側に向かった俺は丘という死角に隠れている武装した40人くらいの集団を見つけた。

 どっかの金持ちの私兵かなんかかな?っと考えとりあえず接触することにした、多少ガラが悪くてもある程度統率のとれた動きをしていたのでうっかり勘違いしてしまった。

「よう!アンタラこんなところで演習か何かか?」

 と聞くと集団で一番偉そうなやつが。

「あん?なんだてめぇ?」

 と聞き返してきたので自己紹介をしてやる。

「俺はガデム、今は冒険者として商人を護衛してシーフォートに行くところだ」

 素直に偽名をかたる・・・だってガラ悪い奴らに名前覚えられても嫌じゃん。

 と偉そうな奴に部下っぽいのが耳打ちをする、すると。

「ああ!今から襲う獲物の1匹だったか!おい!このガキを軽く片付けとけ!」

 と言った瞬間に偉そうな奴が手に持ってた斧を無駄のない動きで投げつけてきた。

 一瞬のことだったので俺もさすがに飛んできた斧の柄を掴み投げた相手の頭に投げ返すことしかできなかった、しかもちょっと加減を間違って頭ごとどっか飛んでっちゃった。

「かしらぁぁぁ!」×たくさん

 突然、武装集団が叫び出す後方で魔力の高まりも感知した、まぁ最初からこっちに敵意丸出しだったから正体はともかくこうなるだろうことは何となく分かってたんだけどね・・・スキル未来予測でも手に!入ればいいね・・・。

「しぃぃねぇぇぇぇぇ!」×たくさん

「初対面でそれは失礼じゃないかな?」

 一斉に飛んできた魔法の数々を飛んでくる順にファルシオンで斬り取っていく、大した魔力量量じゃないな。

「な!?魔法がかき消された!?あの剣マジックキャンセラーが施されてるぞ!」

 盗賊のインテリ担当っぽい出っ歯が叫ぶ、が一々対応させてあげるほど俺は易しくない!

「ワン太郎!足を狙え!魔法使ってくる奴らは遠慮せずに殺してもかまわん!」

「ワン!」

 とワン太郎に指示を出しながら自身も駆け出す。

「来るぞ!」

「へっ!この人数差で死にに来たかよ!」

「こいつの手足をもいでいたぶりつくしてあげましょう」

 武装集団が思い思いになんか言ってるが気にしない、アイシャドウっぽい物塗ってるおっさんがウィンクしてきたが無視!

 前衛と接触する直前にファルシオンを低めの相手の前衛たちの膝の高さで横に一薙ぎする、

「ビビッて間合い間違っちゃったかぁぁぁぁ!僕ちゃぁぁぁっ!ぎゃぁぁぁぁ!」

 俺を馬鹿にしたやつから順に膝から上が滑り落ちる、剣士相手に範囲攻撃を警戒する必要なかったもんな?油断しちゃったかな僕ちゃん。

「あいつ得体のしれない技を持ってるぞ!」

 一振りで15人ほどの前衛がほぼ戦闘不能になったのを見て後詰めに待機していた前衛職が叫ぶが、前衛だけで事は済むと後衛は弓や魔法の準備すらしていなかった・・・魔法職は最初の時点で無効化されてたので自分たちの出番は無しかなって思って準備してなかったんだろうけど。

「遅すぎない?」

 そういって後詰めに待機していた前衛職との間合いを一足で詰めると後ろに置いてきた膝無し共のように処理する、

「バッ!化け物!」×たくさん

 うつぶせた連中も呻くように叫ぶ。

「俺だけ見ててもいいのか?」

「ひっ!ぎゃぁぁぁぁ!」

 俺の言葉と同時に弓を構えた後衛が横から回り込んできたワン太郎に強襲される、ワン太郎に一瞬視線が集まる。

「よそ見一瞬事故一生!だったかな?」

 と昔聞いたうろ覚えの標語を言いながらファルシオンでワン太郎にあたらないよう注意しつつ纏めて薙ぎ払う、そして。

「”オールイーター”!」

 思いついた楽しみのために後衛には初撃から”オールイーター”俺の糧になってもらう。

「消えた?お前何をギャッ!」

 何をしたのか理解ができずに混乱していた者からワン太郎が仕留めていく、その様を冷静であろうとする者たちは無視できずにそちらを見てしまい。

「だから~よそ見一瞬事故一生だって!・・・もしかしてこの標語、間違ったの言ってたかな?」

 と俺が呑気に残りの後衛たちの首をはねていく、まぁはねても”オールイーター”使うと死体も残んないけどね。


 前衛を欠いた後衛の蹂躙劇は一瞬で終わり突っ伏している前衛たちをワン太郎と共に一か所に纏め無造作に並べてみる。

「てめえ!何するつもりだ!・・・なんか言え!」

「そうだ!俺たちをどうする気だ!」×たくさん

 こんな状態で・・・元気な奴らだな。

 俺はとりあえず端に置いた盗賊の右腕にファルシオンの剣先を刺し”オールイーター”を使う・・・それを直視した盗賊の青ざめていく表情が楽しくて満面の笑顔が浮かび上がってしまう、一人の盗賊が恐怖に振るえた声で。

「いっ今何をしたんだ?あいつはなんで消え、消えたんだ?」

 と訊いてきたので正直に教えてあげた、正直は美徳だと昔の偉い人が言ってたっぽいし、多分。

「え?この剣が体から何から吸収したんだぞ?」

 何?知らないの?って感じで応える、知るはずないのにね。

「きっ吸収?」

「分かりやすく言うと、この剣が食ったんだよ」

「なっ!」

「んじゃ次は自発的に自分たちの行く末を訊いてくれたきみにしよう」

 ふざけながら今会話を交わした男に剣先を埋める。

「ひっ!やっやめ・・・」

「”オールイーター”」

 悲鳴を上げる暇なく吸収するファルシオンに少し不満を抱えながらも、まぁ無駄に時間かけなくてもいいかな?と残された盗賊の表情を見ながら考える、

「あああ悪魔!」

「人でなし!」

「人の感情がないのか!」

 などと叫び始めた盗賊たち、中には這ってでも逃げようとする奴もいるがそいつにはワン太郎にひきずり戻してもらう。

「悪魔?人でなし?人の感情がない?大いに結構!まともな頭ではお前らのように人の命で遊べないからな!」

 何を言ってるんだ!などの声も聞こえるが俺は知っている、というより知った、こいつらがどんな手口でどんなことをして来たのかを。

「この間の中の良さそうな家族を捕まえたお前たちはその家族に何をした?その前に襲った冒険者パーティには?その前の兄弟には?お前たちには俺から永劫の苦痛というプレゼントをくれてやる、剣に喰われたら終わる、そんなに甘い事だと思うな!」

 適当に言葉を並べてこいつらがしてきた事に憤慨している風な雰囲気を出す、盗賊たちの絶望している顔や諦めている顔、悔い改めたいって顔いろいろだ、できれば諦めてる顔の奴を後に回して。

「まぁ俺の心は貴様らほど腐っちゃいないから気が済んだら見逃してやるかもな」

 ちょっと希望を与えといてやる、叶わない希望をね。

 そして諦めから一転、助かるかもと少しの希望がともった奴の前に立ち、堪えられない笑い顔で剣先を右腕に刺しそいつらの叫び声を上げようとした瞬間に本体に吸収する。


 悪ふざけが終わってからそろそろみんなと合流しなきゃな~と思い馬車と別れた道に戻った後、道に沿って少し行ったところですぐ止まってる馬車が気づきそういやこっちにも盗賊が配置されてたよな~って思う出しながら近づいていくとニコルがツー太郎の背中に載せてるおっさんを殴ってる場面に遭遇。

 うちの弟がバイオレンスになってる!と驚きながら話を聞くとそいつが来ることのなくなった別動隊のことで脅してたらしい。

 せっかくなのでその自信を折ってやろうと俺の犯行現場まで案内する。

 

 そして今にいたり・・・お頭のお頭を処理してないうっかりをやらかしたと発覚・・・。

 まぁあんなもん放置しててもいいでしょと思っていたんだが、あーあガデムのおっちゃんが見に行っちゃった・・・。


「おいおいおい!こいつは確かギルドで賞金首になってたやつじゃないか!」

 ガデムが興奮して脳天に斧がめり込んだ首を拾い上げる・・・じかに持つのは俺も嫌ではあるけど斧使って持ち上げるのって人としてどうかな?って思う。

「へー、ラッキーじゃんおっさん、楽して賞金ゲット出来て」

 あえて知らぬ存ぜぬで通す、金銭面なら別に普通に食っていける分にはあるし。

「おいおいおい!お前の手柄じゃないのか?」

「俺はあの辺りで景色見ながら飯食ってただけだぞ?」

 と適当にここいらが一望できるようなところを指さす。

「おいおいおい!・・・まぁそれで通したいならそれでいいが、こいつはもらうぞ?」

「好きにしろよ、先に拾ったのはあんただろ?」

 とおっさんに首を譲る。

「んじゃあルベロさんと合流してさっさと出発しよう・・・こいつはどうする?」

 と言って盗賊を親指で指しながら聞いてみる。

「おいおいおい!この首が落ちてたから別動隊がいたとしても大した脅威でもないだろ?こんな奴にもう生かしとく価値もない、これから数日の移動もあるんだぞ?こいつを連れていく余裕はないな!」

 と無慈悲なことを言う、まあ確かに連れていく余裕はないかな?

「んじゃあこいつの処分は俺がしとくよ、先帰ってていいぞ」

「おいおいおい!ずいぶん偉そうな言い方だな!っまぁいいが・・・じゃあ先に戻っておくから後から来いよ!」

「おう!あっとついでにツー太郎も連れていってくれるか?でみんなと合流したらワン太郎にこっちにこいって言ってくれ」

「おいおいおい!何かするつもりなのか?まぁいいが、ワン太郎でいいんだな?」

 割と素直に聞き分けるガデムに、割と素直に聞き分けたな~と感想を持ちつつ後姿が見えなくなったところで盗賊に、”マインドハック”を使う。

「これでお前は俺の部下だ、名前はなんだ?」

 と質問する、まぁこいつの名前ならとっくに知っているんだがね。

「ファイルと申します、私を眷属にしていただき感謝の言葉もございません」

 盗賊のファイルがそういうと片膝をつき左手を胸に当て頭を軽く下げる・・・まさかこんなポーズを盗賊にされるとはというか言葉使いとかどうしたんだこいつ?

「まぁいいや、お前のいたアジトにまだ数人の盗賊がいただろ?」

「はい、留守を任された頭の娘と若いのが数名ですね」

「そいつらを今からくるお前の先輩と協力して捕まえて来い、あーいや違う捕まえとけ、数日したら俺たちが帰ってくるからそれまで捕まえとけ、なるべく殺すなよ?ついでにアジトにまだお前たちが捕まえてた奴らがいるだろ?まだ生きてるようならそいつらも死なないようにお前で面倒見とけいいな?」

「かしこまりました!この身命に変えてもその命令に応えて見せます!」

 ・・・なんだこいつ?眷属にしといてなんだけど、なんだこいつ。

 白目になっていたらワン太郎が来たのでファイルのフォローを命じる、これで数名程度なら瞬殺だろう・・・いや殺すのはなしの方で、だって数日も放置してたら腐ってクサくなるじゃん。

「ああ、ついでにこれも渡しとく、アジトにため込んでる宝なんかを詰め込んでおけ」

 といって道具袋を取り出して”ペースト”を使い大容量収納袋に作り替える。

「このような物までいただけるとは光栄の至りにございます、ではアジトに向かいます」

 と上機嫌でワン太郎を連れだってアジトに向かっていく、さて。

「戻るかな?」


 馬車に合流するととコリンから小言が降ってくる正直五月蠅いが俺の下手な言い訳の結果だししょうがないかな?って思うので仕方なく目つきだけで殺しかねないニコルにSTOPをかける・・・これが有名な目で殺すって奴なのかな?

「ワンちゃんはどうしたのかにゃ?」

 とニナがコリンの前で聞いてきた、こいつは間の悪い奴だ。

「しばらくこのあたりで盗賊の残党がやけくそになって暴れないか見張らせることにした、あの盗賊は処分を与えておいた」

 まぁ嘘は言ってないしいいよな?ただ適当な情報を付け加えただけだし。

「それだと~これからの警戒に~穴があきそうですね~」

「ライカの言うとおりね、どうする?配置を変えるのかしら?」

 と意見も出たのだが。

「まぁツー太郎とサン太郎がいたら大体は大丈夫だろう?俺もいるし、何かある前には俺の方で終わらせるさ」

「まぁ兄さん一人でも十分ですものね」

 とニコルが無理くりまとめに入る。

「では、話も纏まったようなのでそろそろ出発しましょう、遅れはまだ出てませんが日が落ちる前にもう少し進んでおきたいところですし」

 とルベロさんが先に進もうという意思を見せる、まぁさっさと進みたいよね、タイムイズマネーだもんね。

「そうですね、後方兄さんの配置場所が少し薄くなりましたが兄さんがいるので何も問題はないですし”ファルシオン”は問題ありません」

「”ハモニアの剣”も問題はない、いつでも行けます」

 ニコルとケインがそれぞれルベロさんにそう告げる。

「では隊列などはさっきまでと一緒ということでいいですね?ではさっそく出発しましょう」

 こうして日が落ちるまで街道を走り今回の依頼で初めての野営が始まる。

 といっても今日はほとんど戦闘に参加しなかったなどの理由から今日の寝ずの番は先輩方が率先してしてくれることになった、俺も寝ずの番をさせられたのは・・・まぁ今日は途中でサボってたって自分で言ったんだからしょうがないかな?別にこの体も俺の本体もしばらくは寝なくても行動に支障が出ることはないいんだし・・・。


 昇格依頼の一日目が終わり二日目の移動が始まった。

 といっても昨日と同じ隊列を組みながら危なげなく街道を馬車が走って今日は特に何も起きないかな~とさえ思えた、実際何も起きなかったので今日の寝ずの番は昨日と違い”ファルシオン”も含めたローテーションだった。


 二日目が終わり三日目もこれと言った以上もなく魔物の襲撃すらない平和な一日だった、この日も昨日と同じ寝ずローテである。


 四日目にそれが来た、現在走っている街道は広大なケイベル森林近くに広がる草原に道を引いたような簡単な道なのだが俺の乗る馬車ゴーレムに並走しているツーサン太郎が突然吠え出した。

 何事かと思いここ3日飽きもせず俺の耳もとで説教を延々続けてたコリンを改めて無視して外の2匹を見ると2匹とも森の方を向いていた、なんか出てくるんかね?などと思いながら後ろでギャーギャー言ってるコリンに視線を送り・・・改めて無視をした。

 と遊んでいると森から獣たちの鳴き声が響き大量の鳥が飛び立ち逃げていく、こんな光景見れてラッキーなんて思っていると、何やらでかい何かが森の木々に激突しながらも外に向かってきてるようだ、規則的なズンズンって音も聞こえてきたし。

 他の馬車の方もこの音に気づいたらしく1つ前の馬車に乗っているニナがこちらに止まらず走るように伝えに来た・・・ジャンプして、まぁ前が止まんなきゃこの馬車ゴーレムは止まんないように命令しているから問題ないんだけどね。

 そして音の正体が姿を現せる!

 そいつは出てきた森の木々よりは背が低いがそれでも大きく大体3メートルより大きいくらいの人型の魔物、確かとロールだったかな?・・・が森から飛び出した瞬間にそいつに跳びかかった。

 その大きな口はワニのように大きく、いや巨大なトロールの頭にガッツリ噛みついているところを見るとそれ以上かな?その巨大な口でトロールの頭を2回3回と噛みつける、その強靭な爪が逃げようともがくトロールをがっちりつかみ離さずめり込んでいる箇所にジワリと出血させている、また巨大な体のトロールに覆いかぶさるようにのしかかり体全体を押さえつけその巨大な翼を広げてうまくバランスをとることでもがくトロールに大きな動きを与えない。

 そしてトロールが弱ってきたのか動きが緩慢になってきたらそいつは噛みつきをやめ首を上げてトロールの顔に大きな口の中を見せる、瞬間に背骨を守るように生えているまるで背びれような鱗が立ち上がり稲妻を纏うように光りだし、稲妻が流れるように頭に生えた2本の巨大な長剣のような角に到達するとその大きく開いた口からとてつもなく圧縮された魔力の塊を撃ち放つ、口から放たれたそれは雷のようなモノに変わりながらトロールの頭を焼滅させた・・・一瞬で、どんだけ熱量あんだろう?

 そして獲物を仕留めたことを確認するとそいつは高らかに雄たけびを上げた。

 ・・・俺らのはるか後方で。

 

 いやーすごいモン見た怪獣映画みたいでちょっと興奮したなー。

 え?戦わないよ?襲われてたのトロールだし魔物だし弱肉強食だし、うん自然って大変だよねー依頼終わってもっかいここ来てもあいつ、暫定ネーミング「ドラゴン」がいるようなら眷属にしてみよう、魔力足りると思うけど上手くいくといいな~。

 そんなことを思いながら死闘を演じた2匹を後に馬車はそそくさと走り去る、よく考えたら帰りに遭遇したら面倒な気がするということに気づいたのは町に着いてからのお話し。


 その夜。

「アレっすごかったね~!」

 と興奮気味に俺に話すのはニナである。

 あの場面を見たのは最後尾を走っていた俺の馬車に乗っていたコリンと俺、そして伝言を伝えようと馬車ゴーレムに飛び移ってきたニナの3人である、ツーサン太郎はあのドラゴンにマジビビりし出てきた瞬間に猛ダッシュを始めたためあんまり見てない。

「あれはおそらく上位竜の一つ「雷刃竜」の2つ名を持つサンダーエッジというドラゴンでしょうね、丁度獲物をしとめるところだったのは幸いでしたね」

 サンダーエッジってまんま雷刃ですな、2つ名考えた奴のセンス、嫌いじゃない、まぁそれはそれとして。

「丁度仕留めるところだったのが幸いってどゆこと?」

「仕留める時に雷刃の由来であるあのドラゴン特有のブレスが見れたからですよ!」

 興奮しまくりのコリンに若干引きつつ話を聞く。

「ドラゴンのブレスはドラゴンにとっては奥の手にあたります、確実に仕留めるためのトドメにしか大概使いません、また消費する魔力などの問題から連射どころか1日数発撃てないんですよ!」

 とドンドンテンションの上がるコリンにニナも同調し始め。

「そうだったんだ!それじゃあドラゴンのブレスって他に見れるチャンスがあったら自分が食べられる直前に撃たれるぐらいにゃんじゃにゃい!」

「いえいえ人間を仕留めるのにブレスなんて使ってくれませんよ!あの力強い腕に生えていた爪やあのしなやかな尻尾で簡単に片づけられるでしょう、ああなんて僕ら人間は無力なんだ!」

 俺はコリンのテンションが正直ウザくなってきたのでニナに押し付けて先ほどから浮かない顔をしているニコルとサラの元に行く。

「どうしたんだ?二人して難しい顔をして」

「兄さん・・・兄さんならあのドラゴンと戦闘しても勝てますか?」

「ニコル、いくらレッドでもそれは難しいと思うわ・・・」

 なんか俺があのドラゴンと一戦交えたらって話題でテンションが下がってるようだ、直接見てないからより恐怖が沸いてるのだろうな。

「変な質問だな?戦う必要もないならそんな質問もいらんだろうに、勝ち負けなら多分敵じゃないな。俺はあいつを見てティムできるかどうかを考えてたからな」

 と二人の不安を払うように告げる実際はどうなるかわからないけどね、怪獣に挑む俺!・・・想像しにくい。

「かっ簡単に答えるわね・・・悩んで損したわ!大体帰りの心配なんていましてもしょうがないわね!」

「そうですね、いつまでもあそこにいるとは限りませんしね」

「そうなんだよな~この依頼が終わったらあそこに行ってまだいるようならティムっちゃおうって思ってたんだけどな~」

 と俺が呟くと二人が堪えきれず噴き出し。

「そうですね、依頼が終わった時にはもういないかもしれないですから兄さんの配下にするのは難しいですね」

 とニコルがサラと一緒になって笑い始める、なんだ?仲がいいな・・・っ!まさか2人は!ニコル!君はまだ子供なんだから清い交際しか認めませんよ!

 などと思いながらも夜は更けていく。

 因みに今日の寝ずローテは先番が俺らで後番が先輩がただ、別に俺一人でやってもいいから寝ててもいいぞ~って言ったのにライカ以外寝なかった、ニナは興奮しすぎて寝れないからと、ニコルとサラはなんだか悪いのでって言って起きてた、コリンは・・・どうでもいいやあんな奴。

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