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ファルシオンの野望

~45話分です

 朝、5人で食事を終えてこれからこの町から東の方にある港町ケイベルに移動しようと準備をしていると。

「ちょっと待って、実は昨日森で大切なものを落としちゃって、拾いに行きたいから一度向かってくれないかしら?」

 というサラの提案に特に急いでいるわけでもないと俺は了承した・・・ニコルは不満なのかブツブツ言っていたが・・・。


 というわけで昨日3人娘がゴブリンどもから裸にひんむかれた現場である。

 小春潮の時の体の時なら興奮しまくっていただろうな、この3人が・・・ごくんって感じで。

「にゃーに見てるんだレッド~」

 どうやらガン見してたみたいだ・・・若いな俺も。

「いやぁここで若い3人がひん剥かれたって思うとちょっと興奮するなって思ってね」

 と素直に白状する、素直なのは大事だと昔から偉い人たちが言っているのである。

「相変わらず言ってくることはサイテーね!当事者の気持ちも考えなさい!」

「兄さん・・・僕もさすがにそれはないと思いますよ・・・」

「そうだよ~どうせならちゃんと好きな人に剥かれたかったよ~」

「ライカちょっとそれ違くにゃい?」

 どうやら昔の人も大したことないようだ・・・。

「どうやら昔の人はデリカシーがなかったようだな、謝るよ」

 すまんと続けて会話を区切る、ほとんど襤褸切れとかしか残ってないけど3人娘が俺の言葉を無視して回収しはじめる。

 その間ちょっと暇だったので・・・まあ警戒はしているが俺の場合はついでに何かやっていても問題ないためニコルに俺が温めていたプランを告げることにした。


「僕の強化プランですか?」

「そう、俺の目的にはお前がSランク冒険者になってもらう必要があるんだ」

「そんな、こう言いたくはないのですけど僕にそこまでの器はないと思いますよ?」

「そこは俺に任せればいい・・・お前の器が小さいなら大きくすればいいだけだしな」

 そう俺はある方法でニコルの規格を底上げしようと思っていたのだ、ついでにとはいえせっかく森に来たのだからそこらの魔物で実験がしたいのだ。

「それって・・・もしかしてあの3人に稽古をつけてもらうって話ですか?

 そんなことでSランクになるのは不可能だと思いますよ?」

「稽古だけじゃ当然無理だろ?まぁその辺はまかせておくといい、それじゃあちょっとここから離れるからしっかり警戒しといてくれよ?」

「え?あっ!兄さん!」

 突然俺が持ち場を離れたためにニコルが俺を制止しようと声をかける、が俺は無視してその場を離れる。


 魔物を適当に探していたら丁度いいタイミングで赤い鹿を見つけた。

「魔物見ーっけ!」

 とふざけていたら赤い鹿に見つかったらしくその鋭くとがった角をこちらに向けて突進してきた、まぁその角掴んで動きを止めれちゃったけどね。

「さてまずは”マインドハック”」

 魔物で実験するにしても、暴走されるて強くなっても、こっちの眷属なら命令したら隙ができて処分しやすくなるだろうとの考えである。

「んじゃあ新技”ソウルブリーダー”」

 再び眷属となった赤鹿にファルシオンを浅く刺し技を使う。

 ”ソウルブリーダー”俺が創った技シリーズ、魂に魔力で情報を刻み込む”マインドハック”と似ているがその効果は対象に俺の魔力を流し込み相手の魂の絶対量を増やすことで対象を強制的に強力な個体に押し上げるといった荒業であるが・・・。

「やっぱ調整が難しいのかな?」

 目の前にいるのはさっきまで角のついた赤い鹿ではなく、体の大きさが倍に膨れ上がり体の至る所にボコボコとした瘤ができた肉の塊である。

「んーこれなら多分次はうまくいきそうだな・・・悪いね赤いの」

 といって赤鹿だった物の首らしきものをはね”オールイーター”で丸ごと喰らう、近くにもまだ数匹いそうだが、どうやら別の魔物の群れが湧いてきたようで逃げていった。

「久しぶりに見たな剣犬!」

 それはこの世界に来て初めて見た魔物と同じ魔物の群れだった・・・。

 ワニは魔物にカウントしてないからね。



「ふむ、こんなもんだな」

 異形な肉塊が多数転がっている、俺の前にはお座りしている3匹の剣犬がいる。

「だいたいコツは掴めてきたしこれならニコルにも使えるな、肝は魔力を入れすぎないことってことかな」

 10匹を超えるほどに剣犬を眷属にして”ソウルブリーダー”で無理やり強化する実験で原形をとどめたのは最初の黒色の被験犬と最後の灰色二匹、この”ソウルブリーダー”をうまく成功させるには流し込む魔力量をその個体ごとの魂が生成する余剰魔力量くらいに抑えるといいらしい。

 説明が難しいので簡単に説明すると魂をSP余剰魔力がMP、SPが20でMPが20の場合魔法行使で使えるのはMPの20だけだこれは使っても時間経過で回復する、他にSPを1消費したらMPがすぐ20に補充される、ただしSPは使うと基本回復しない、そのため体は魂とのバランスを崩し体に異常が起こる。

 SPは基本的に増えないのだが、唯一増える場合がある、その方法が体の成長に合わせて増えるというものだ。

 俺の”ソウルブリーダー”ならそのSPを+1してSP21MP20にしてやることができる、が調子に乗って一気にSPを+3とかしてしまうと体が異形化してしまうようだ。

 ちなみに次のSP+1のタイミングはMPが自然に21になった時になる、つまり魂の成長と共に体が作り替わるのを待たねばならないのだ。

 まぁこの場合は体が大きくなるってわけじゃなくって体が魔力になじむ最適な構造に変わるんだが。

 だから別に筋肉だるまのニコルにはならないはずだ・・・見たくないし。

「さて、そろそろ合流しようかな?お前たちも来い!」

『ワン!』×3


「なんで魔物に懐かれてるの?」

 合流すると開口一番にサラにキレられた、なぜだろう?

「サラさん兄さんはモンスターも使役出来るんですよ、”テイミング”が使えるんです」

 テイミングってあるんだ、ならいるかもね魔物使い・・・俺も部類的には魔物みたいなもんだし気を付けよう・・・。

「一度に3匹もティムするにゃんてさすがレッドだにゃー」

 素直にほめてくれるニナには俺の好感度も上がっていくぜ・・・心の中で言ってても寂しいな。

「三匹とも従順ですね~ちゃんとお座りしてますよ~」

 キャッキャッと騒ぎ出したライカ、無邪気だね。

「で?探し物はあったのか?そろそろケイベルに戻りたいんだが」

「それは大丈夫よ、私の杖もみつかったし、二人の装備も」

 といって杖をブルンと振るう他のモノもブルンと弾む、こいつぁヘビーだぁ!

「どこ見てるんですか~?」

「胸!」

 昔の人が正直者はむくわれるって言ってた!

「最低ね!お金取るわよ!」

「そうだよ~!昨日も私のをじっと見てましたし~」

「そうだったの?二人とも」

「ニナなんて裸で寝転がってたから全身くまなく見られてるでしょうね」

「レッド-!」

「兄さん、さすがにちょっと」

 ちょっと、なんだね?弟よ・・・なぜだ昔の人よ?むくわれるどころか足元すくわれてる気がするぞ?

 サラが胸を隠しライカがダメってジェスチャーしニナが跳びかかってきた、華麗に躱して喉をこちょこちょしてみた。

「にゃー」

「勝った!」

「いや、兄さん勝ったって・・・」

 ワイワイしながらケイベルへと歩を進めた。

 

 昼過ぎ頃に到着した港町ケイベル、町の入口でひと悶着あったが・・・通行税を余分にとらせて無事中に入れた。

 そのまま先に宿に向かう。

「いらっしゃーい!あーお兄さ~ん昨日は来なかったと思ったら今日は綺麗どころに囲まれちゃってどうしたの?」

「昨日の依頼でいろいろ起きてね」

 とニコルが2部屋予約しながら俺はカモメ亭の看板娘アイナに大まかにあったことを話す、ついでに3人娘が軽く挨拶する。

「んじゃあ新しいパーティの人なんだね!ケイベルにいる間はうちをよろしくね!」

「よろしく!」

「よろしくね」

「よろしく~」

「兄さん、手続きも終わったのでギルドに薬草を持っていきましょう」

「おう、んじゃあアイナ、またあとで」

 と宿を後にする。


 ちなみに昨日の時点で俺とニコルは薬草採取の依頼は達成して報告もしている。

 だが3人娘が森で自分たちが回収していた薬草を見つけたので、せっかくだからと提出しに行くことにしたのだ。

 ギルドに着いてから3人が報告に向かったので適当に空いてるテーブルにつく、隣にニコルも座る。

 ついでだからニコルにニコル強化のプランを簡単に説明して拒否させないようにうまく説得する。

「誰だ~?汚い犬をこんなところに置いてんのはよ~!」

 聞き覚えのある声の聞き逃せないフレーズがギルドの入口から聞こえた・・・。


「おいおい!いつからここは犬小屋になったんだ?あぁぁぁ!」

 なんか絡まれてます・・・うちの犬×3が、まぁ俺に似て躾が行き届いてるから無視でいいか。

「あの、兄さんあいつらが言ってるのって?」

「ムシムシ、ここが犬小屋だと思ってるみたいだしそのうち帰るだろ」

「え?あっはい」

 ニコルも納得したようだ、表の馬鹿もギャーギャー言ってるが俺には聞こえない、聞こえないったら聞こえない。

「お前の犬じゃねーのか?あぁぁぁ!」

 寄ってきてた、やめてよめんどくさい・・・。

「うるさいクサい触るな汚いどっかいけていうか大地に還れ」

 一言に纏めて要望と苦情を伝えてみた届いたかな?

「あぁん?聞こえないぞぉぉぉ!」

 届かなかった、またアレをくらいたいのか?マジか?マゾか?

「ん?ああぁぁお前はぁぁぁ!」

「聞こえなかったんならこないだより聞こえやすい声で答えてあげようか?」

「ちっ!いくぞ」

 絡む相手くらいちゃんと確認してから絡めよ、チンピラどもはそのまま建物から出ていった・・・依頼とかいいのか?マジで何しに来たの?

「今回は職員に文句言われないで済みましたね」

 皮肉を言うニコル、そうだなせっかくだし何か依頼を受注しておくかな?

 あいつらと同類は嫌だし。


「こんにちはノエルさん」

「はい、今回はどのような御用でしょうか?」

「何か特に急ぎでない依頼とかある?」

「かしこまりました、現在ある依頼の確認と受注ですね・・・あの冒険者に対する苦情とかではなく?」

 と聞いてくるが。

「どうせ何回も注意自体はしてるんだろ?

 今更俺がグダグダ言ってもノエルさんが困った顔をするだけじゃん、あぁでもノエルさんが困った顔に自信があるっていうならあえて言ってのいいぞ?」

「ふふっそんな顔に自信なんか持ってませんよ、では現在のブレドさんたちのパーティで受注できそうな依頼は・・・こちらになりますね」

 といってこないだ見せてくれたファイルを開いて見せてくれる、因みにこのファイリングされてる依頼は優先度が低い依頼がほとんどで優先度が高い依頼はギルドに入ってすぐの掲示板にピン留めされているのでそれをもって受付に持っていけば受注できる、まぁほとんど朝方になくなるので今のような時間にはほとんどない。


「で、今度はゴブリン討伐を受けたのね?」

「いや~この数で実入りがいい依頼ってそれくらいしか無くってさ~」

「まぁそうにゃんだけど少しくらい相談してくれてもよくにゃい?」

「そうですよ~しかも昨日巣を一つ潰しちゃったから暫くは見つけにくいかもしれないですよ~」

「兄さんなら何か考えがあるんですよ、何かいい方法とかが」

「まあな、って言うかこの中にさ森の住民がいるだろ?」

 などと話しながら宿に向かう、何者かが聞き耳を立てているということに気づかずにってこともないけど、まぁ気づいてたの俺だけだしいいか。


 翌朝、食事を済ませて早々に森に発つ、日が真上に届くころには各自に受けさせておいた薬草採取の規定量採取も終わりお昼にする。

「こんな場所で全員でゆっくりお昼ができるってすごいわね」

「そうだねー普通は誰かが警戒してにゃいといけにゃいもんね~」

「しかも何かにびくびくしながら食べる訳じゃ無いしね~」

「そういうもんなのか?今までこんな感じだったよなニコル?」

「どうやら兄さんが強すぎるおかげで出来てたみたいですね」

 ふふっと苦笑するニコル、美少年は苦笑も絵になるね~まったく。

「まぁ手早く食べるさ、今度から」

 と飯に手を付けようとしたときに、ワン太郎たちが唸りだす・・・面倒出し無視して食べ始める。

「兄さん?」

「あームシムシ別に近づいてこないならこっちから絡まなくても・・・」

「てめぇ何無視してくれてんだこらぁぁぁ!舐めてんのか?舐めてんだろ?・・・ギャーギャー」

「ムシムシ」

「いいかげんにこっちくらい向きやがれこらぁぁぁ!馬鹿にしてんのか?

馬鹿にしてんだろ!・・・ギャーギャー」

 それでも無視して食事中、なぜなら奴ら。

「いいかげん離せやこの木偶人形がぁぁぁぁ!」

 カラフルチンピラーズは俺が見張りとして置いといたウッドゴーレムに捕まっているからである。

 こいつらほんとに何しに来てんの?

新技

ソウルブリーダー

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