7 別れ
今日の天気は悪い。
どんよりと灰色の分厚い雲。今にも雨が降り出しそうに感じる。
こういう日って気分も落ち込むんだよね。
退院してから一か月。
出掛けた隙に仕掛けられる盗聴器に隠しカメラ。
全部瑠璃が取っ払ってくれたけど、瑠璃がいなかったらどうなっていただろうか。
想像するだけでもゾッとする。
彼のストーカー男は余程暇らしい。
先日から名前だけで呼ぶことを許してくれた瑠璃は、昨日から三日留守にしていた。
一昨日のうちに食材や日用品を買い込み、部屋から出ないようにしてから二日目。
両親に電話をして、変わりないことを伝え、ゆっくりしていた。が。
ガチャ
「……だれ」
鍵は、両親にしか渡していない。
彼氏もいないし、瑠璃は鍵なんて必要ないから。
重い足音が聞こえて、姿を現したのは、
――刃物を持った、ストーカー男。
「っ!きゃああああああああああ!」
イタイイタイイタイイタイ………!
その思考が頭を占めて、目の前は真っ暗になった。
「えーここで速報をお伝えします。午後0時ごろ、○○市○○町にて殺人事件が発生しました。犯人は現在逃走中です。注意してください。繰り返します。午後0時ごろ、○○市○○町にて殺人事件が発生しました。犯人は現在逃走中です。注意してください。なお、被害者は若い女性ということです――――――…」