2 魂の輝き
瑠璃視点
僕の名前は瑠璃。金髪に瑠璃色の目のヒトならざる存在、神の一員として生まれた。
母上が神、亡き父上が人間であるハーフなのだけど、この身に宿る力は母上の血を濃く引いたらしく、父上の血が混じっているとは思えないほど強い。
ちなみに年齢は既に100を超えている。それでも無限に近い寿命を持つ神としてはまだまだ若輩者だけど。
今、僕は母上から管理を任されている世界に来ていた。
この世界の寿命はまだまだこれからなのに、人間の手によってどんどん汚されて重症になりかけている。
だが、僕ら神はそれらに干渉することはない。
僕達神が堂々と干渉するときは、世界が崩壊しかける時、理が崩れようとする時だけ。汚れたぐらいでは干渉しない。
そんなことが起こるなんて滅多に無いから、平常時は世界が崩壊しないようちまちまと世話を焼いてやり、理が崩れないよう輪廻を守り続けるのだ。
たまに世界へ遊びに行ったりしてね。
……というわけで、僕は今地球にいる。
人間やその他の動物に僕の姿は見えないから、ふよふよと空に浮かんでいた。
瑠璃色の地球、なんて呼ばれるけど、本当に瑠璃色だと思う。
瑠璃色がどんな色か知ってる?
ラピスラズリっていう宝石の色が元となったらしいんだけど、まあ、紫がかっている青、とか、ちょっとくすんだ青色、というところかな?
母上は紫みを帯びた鮮やかな青、という解釈をして、僕にこの名をつけた。らしい。
そもそもラピスラズリ自体、ものによって大きく色が異なるから、一概には言えないんだけどね。
話がずれた。
動物には僕の姿は見えないし、神にとって物質が障害になることもない。
魔力とか、そういう力が大きな影響を及ぼすことができないこの世界では、正に自由自在といえる。意識すれば触れるけどね。
さて、最初の目的地は『日本国』。
最近、この国で変な輝きを放つ魂が出たらしい。
変な輝きを放つ魂というのは、大体世界を狂わせてしまうことが多い。そのため、神が出向いてその輝きが放たれないよう封印を施すのが決まりなんだ。
神々の遣いである天使は、あくまで遣いでしかなく、神の力が揮えるわけではないから。
今回封印を施す魂は、正午ごろに仕事を抜け出して病院へある女性の見舞いに行くのが日課なのだという。
もしその女性が対象と体を繋げているような事があれば、女性にも変化が起きていることが予想される。
幸いにも天使達にはその変化が感じられなかったようだから、心配する必要はないだろう。
「くーるーくーるーくーるくるー」
本日はお日柄も良く。
柔らかな日差しが水に濡れた草花を照らしていた。