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王子の待て

王子のターン

汚れ一つ見当たらない王宮の廊下。

二人の人物がある扉の前で揉めていた。


「身支度みもあるのですから、ルッツ王子は別所で連絡を待たれるのがよろしいですわ」

「しかし、責任者は私だし、勇者殿に説明義務もある」

「王子」

「な、何だ。トゥリパ」

「女性の身支度、及び軽食。心地よく過ごして頂くためには初期の印象が大切になるんです。嫌われてもよろしいのでしたら危険を犯すことを止めませんよ」

呆れたように王子を嗜めるメイドトゥリパ。

最後には軽く突き放す。



き、嫌われたくはない。

トゥリパの眼差しは冷たい。

しかし、私としても彼女の姿を早く確認したいのだ。

この世界への嫌悪を持ってほしくない。

しかし、召喚者たる私が嫌われるというのも困る。

思考がぐるぐると空回る。

一息つく。

トゥリパは譲らないであろうし、尤もであり、最善なのだろうと判断をしておく。

「テラスで待とう」

私は妥協した。


「あら。王子様、ごきげんよう」

テラスで見るでもなく庭を見下ろす私に少女が声を掛ける。無礼とも言える挨拶に私は苦笑する。

「ありがとう。ミスビアンカ。ご機嫌いかが?」

「上々ですわ。勇者様もお目覚めになられましたし、お美しくお優しげな姫君でお世話をつとめさせて頂けるのが嬉しいことですわ」

ひらりとスカートが揺れる。

「宰相さまのお言葉で私がトゥリパと共に勇者様の世話役を務めるようにとのことですわ。異界からこられた以上、説明しなくてはならない事情、情報は多岐に及びますもの。トゥリパだけでは手に負えないであろうとのお言葉でしたわ」

「会いに行っても構わないだろうか?」

「まだですわ。お茶を飲んでお待ちくださいませ」

私の希望はさっくり切り捨てられる。

その言葉と共に、侍女がお茶と軽食の乗ったワゴンを押してきた。

侍従がテキパキとテーブルをセッティングしていく。

「トゥリパが呼びにくるまでは勇者様のお部屋にはいかれませぬよう」

そう言ってミスビアンカは一礼し、何処かへ行ってしまった。




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