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Bullet Returner~遺産回収部隊~  作者: ライオット
第二章 魔都戦乱
29/35

第十一話 Dream of permanent



背表紙的、まえがき


ミスカトニック大学付属高校制服男子編



この学校ではブレザーと学ランの二つから選べ、更に自分に合ったコーディネートが可能。


例えば、真之助はブレザーで動きやすいように防弾繊維と形状記憶の防弾合金を編み込んだ物。


対するビックブルは、学ランで物を入れられるように内ポケットが左右三つ有る。


そのため様々な形の制服となっている。



戦闘時では、ブレザーや学ランではなく、ミュージアム製のタクティカルベストや防弾コート等を羽織る。


中身も体温充電による冷暖房機能搭載(冷房は強すぎると凍傷になるから気をつけて)など。



崑崙タワーのロビー。


大量の構成員達は顎を砕かれ、首をへし折られ、燃え上がって消える。


腕を太い丸太のような変異や、足をバッタのように変異させた構成員もいたが、なす術無く命が尽きる。


ラキリーウォーカー達を襲った"完全体"と呼ばれるN.C.S.達やトカゲ型のN.C.S.も己の武器で貫かれていれば、厨房で使われるアイスピックや肉刺しのフォーク、中華包丁で頭を叩き切られていたりもしていた。


和彦はエレベーターのスイッチを押し、すぐに扉が開かれると、静かに入り、上に向かっていく。





屋上にはヘリポートがあり、VIP客が其処に自家用ヘリでやってくることもある。


其処には中国の民族衣装である漢服、もしくは華服を優雅に着込み、狐のような顔つきの男がおり、その後ろのクレーンの先には、気を失い、ロープで縛られた立華が吊されていた。


「…来ましたか…」


男は呟き、屋上の扉からやってくる人物を待ち望む。


突然ドアが吹き飛び、男の横を掠ってから落ちていった。


「…全く、あの時からお変わりないですね…二宮和彦君」


「…ハッ…その狐目面も変わってねぇな!劉・王染!!」


和彦は劉にM93Rコンバットカスタム二挺を向け、怒りを見せる。

劉は笑みを崩さないままヘリポートから降り立ち、和彦の前に立つ。


「…また…君に会えて嬉しいな」


「ああ、それは同感だ」


劉は服の袖からFN five-sevenピストルを二挺抜き、和彦に向ける。


「今までの恨みつらみを晴らさせて貰うぞ!」






オフィスのデスクが一閃によって斬り裂かれ、あらゆる物が破壊する。


風魔とドレカヴァクの斬り合いは台風の如く暴れまわり、遂には床が抜け落ちる。


「くっ!?」


「…!!」


二人は足場を失うが、風魔は空気の流れを作り出し、鳥のように飛び立ち、ドレカヴァクは空間の歪みに入り込み、そのまま消え去る。


足場に到着した風魔は、ストライクガンの空弾倉を抜き、新しい弾倉を込める。

ドレカヴァクは刃同士を這わせ、火花を散らし、刀の刃を整える。


「………」


「………」


ドレカヴァクは赤い仮面を揺らし、横に向けながら両手を伸ばし、走り出す。

風魔も対刀とストライクガンを構え、両足に力を加え、雄叫びを上げながら駆け出した。


「…ハァァァアアア!!」



二つの刃がぶつかり、両者の蹴りや拳が受け流され、どちらも譲らない。


しかし一瞬中の一瞬、まばたきやボタン連打よりも短い間隔の中で、一つの事が起きた。


ドレカヴァクの拳が風魔の頬に当たり、風魔の掌底がドレカヴァクの腹にめり込む、所謂クロスカウンターの状態となった。


「ガハッ!?」

「………!?」


お互いの喰らった威力と反動により、反対側に吹き飛ばされる。

風魔は立ち上がり、軽く咳をすると唾液混じりの血が出てきたため、口元を拭う。


一方のドレカヴァクはスクッと何事も無かったように立ち、顔を左右に動かしながら刀を回転させる。


「…タフさは其方が上か」


吐き捨てるように答えると、ドレカヴァクはぴたりとパントマイムの術者のように動かなくなり。


「キサマモ"大概"ダガナ」


口と思わしき場所から声を発した。


風魔は目を丸くし、驚いていると濁声でドレカヴァクは話し続ける。


「ワタシハソコイラノ悪魔トハ違ウ。レッキトシタ"上級悪魔"ダ。人ノ言葉ヲ話シ、理解モ出来ル、知的生命体ノ一ツダ」


「その顔でよく喋れるな…」


「コレハ仮面ダ。コノ下ニハ口モ鼻モ目モ付イテイル」


「ああ、そう…」


第一印象でいいイメージの無い風魔には有ろうが無かろうが、関係はない。

するとドレカヴァクはため息をつくように頭を下げ、口を開く。


「ドウヤラ、コレマデミタイダ」


「…?」


「人間ヨ、我ハ貴様ヲ敵トシテマタ相対シヨウ…サラバダ!!」


そう言い、ドレカヴァクは空間の歪みに入り込み、その場から消えていった。



「ハァ…」


勝手に現れ、勝手に消えた相手に自分の気持ちが散るように無くなる。

戦闘狂とまではいかなくとも、苛烈していた状態を無理やり止められると、意気消沈し、苛立ちがこみ上げてくるもの。


風魔は八つ当たりをする性格ではないが、内心腑(ハラワタ)が煮えくり返っていると思われる。


「…フンッ!!」


一回地団駄を踏み、鼻から息を吐き、スタスタ音を立ててこの場を去っていく。






ライカンの頭が地面にめり込む。


叫び声を上げさせず、足を除け、動けない状態のライカンの頭を右手で素早く掴む。


それは黒い金属で覆われた腕であり、ライカンの頭はミシミシと音を立て始めていた。


「ギャ…ギァァァァアアア!?」


「スーマン!?」


「貴様ーーーーー!!」


二体のライカンはスーマンを助けようと、駆け出し、太い腕を振り上げようとした時。


「…ヌンッ!!」


「ウギャァアアア!?」


何処から出せるのかと言わんばかりの野太い声で掴んでいたスーマンを振りかぶり、二体のライカンをまとめて叩きつけてから近くの壁に投げ飛ばした。


「ガギャッ!?」

「キャウン!?」


コンクリート製の壁を突き破り、隣のビルに転がっていく。


「ガッ…ギァァァァアアア!?」


其処は何処かのレストランの厨房で、ライカンの顔を火を切り忘れ、油が煮えたぎったフライヤーの中にダイブしてしまう。


体毛や目等が揚げられ、もがき苦しむ中、黒い金属の腕が振りかぶり、ライカンの後頭部をフライヤーごと叩き割った。


「ガボッ!?ガヒャァァ……」


油が加熱部に入り、辺りから火がつくが、黒い金属の腕の持ち主である有村は隣の水道をへし折り、その火を消し去る。


ライカンは微弱な痙攣を繰り返した後、事が切れたように動かなくなる。


「……ウィリアム。なんて惨いことを…」

一体のライカンは死んだライカンを慈しむように口を開く。

それに腹を立てた有村はライカンに指を差し問いかける。


「テメェ等は一体幾つの子供を食べてきた?」


「貴様に言われたくはない!!」


問いかけを終える前にスーマンは己の強靭な顎を開き、有村の首にかじりつこうと飛びかかった。


が、有村はそちらに顔を向けず、素早く両手で両顎を掴み。


「そんなに口開きたいなら開いてろ」


顎を外し、一気に引き裂いた。


スーマンは上顎から上を裂かれ、絶命する。


「ああ…スーマン…」


最早嘆きに近い鳴き声で崩れ落ちる。


戦意喪失と思い、有村は背を向け、その場から立ち去っていく。

しかし、ライカンは諦めることはしない。


「…ウォォォォオ゛オ゛オ゛オ゛!!」


限界を超えた力を出し、有村の首元を狙い、腕を振りかぶった瞬間。


「悪いな、向かって来たら容赦はしない」


そう言いながら後ろを向いたままライカンの首を掴み、投げ飛ばす。


「グハッ!?」


アスファルトに叩きつけられ、脊椎から鈍い音が響く。


有村はそのまま手ぶらな腕を振りかぶり、一発ライカンの顔を殴りつけ、弾き飛ばす。


「ガッ!?」


そして。


「ブレイクインパクト!!」


有村の腕から発せられた音速を超える衝撃波がライカンの身体を包み、先程の立体駐車場を突き破っていった…。



「…ざっとこんなもんか」


肩を回し、ゴリゴリと音をさせる。


腕はそのままスタスタと歩き、ハイウェイに戻っていく。





ハイウェイに降り立った風魔は頬に手を当て、痛みを和らげようとさする。


一方、有村は一回のジャンプでハイウェイに辿り着き、スタスタと歩く。


「随分ボロボロだね、服」


「っん?うおっ!?」


着ていた防弾チョッキやら迷彩服は細切れ状態となり、何処ぞの七つの玉を集める格闘マンガの終盤戦みたいな格好である。


「意外と筋肉あるね。ベ○ータくらい?」


「野菜王子は死亡フラグだから止めてくれ…」


「分かったよウ○キ」


「中の人ネタはやめれい」


「ソロモンよ…私は帰ってきた!!」


「ガ○ー!!」



只今、放送を中断しております。この内容を見られた方は、SANチェック。

成功したら1D10を、失敗したら1D100をさらにダイスロールしてもらう。



ピンポンパンポ~ン♪


「…とにかく、こんな茶番してる場合じゃない」


「…だな」


改めて、二人は先にある崑崙タワーに向けて走り出していく。





five-sevenから放たれる5.7mm×28弾とM93Rコンバットカスタムから撃たれる9㎜パラベラム弾がお互いぶつかり合い、ともに砕け散る。


まるでビリヤードをしているように当て続け、両者のバレットフィールドは誰にも立ち入れられない空間となる。


大量の弾が撃ち出され、二人の拳銃のスライドが後退した。


「チィ!?」


「…フッ」


両者投げ捨て、真之助はウェンチェスターM1887を抜き、コッキングを素早く行い、撃ち放つ。


「おおっと!?」


フレシェット弾が撃ち出され、劉は驚きながら滑るように鉄矢の散弾から回避する。


約二十もの矢は、後ろの壁に当たり、粉砕するようにえぐり取る。


その威力を目の当たりにした劉はすぐに腰のホルスターから銃剣を取り付けた拳銃のCZE CZ75を二挺抜き、蛇のように駆け出し、和彦の懐に潜り込む。


「まずは首を掻き斬りますかな?」


「グッ!?」


拳銃に付いたナイフが和彦の頸動脈を狙って突き放つが、間一髪で首を捻り、腕と膝を回して動きを止める。


「おやっ、これはっ!?」


和彦はそのままウェンチェスターのグリップをハンマーのように劉の頭部を殴りつけ、組付きを解いた。


すぐさまウェンチェスターを持ち替え、倒れ込んだ劉に向け、トリガーを引こうとしたときに気づく。


「危なかったですね、そのまま引いてたら貴方がお陀仏でしたよ」


「くっ!!」


それは一瞬の出来事であろう。


ウェンチェスターの銃身にCZE CZ75の銃剣が突き刺さっていた。


「いけすかねぇ奴だよ…テメェは」


「お褒めの言葉ありがとう」


「チィ!!」


すぐにノベスキーN4を手に取り、構える。


劉はCZE CZ75を構え、二人は同時に撃ち放った。






クレーンにぶら下がっている立華は己の縛っているロープの締め付けによる痛みで目を覚ます。


「…ウッ…イタッ!?」


意識が覚醒すると、左二の腕が赤く腫れ上がり、熱を帯びていることが分かる。


それは崑崙タワーのロビーにいるとされた味方を探していたとき、突如漢服を着た男が銃剣付きの拳銃を使い、一緒に来ていた兵士達をかっ捌き、死に追いやった。

彼女もダネルで初撃を防いだが、それすら予期し、左二の腕を手刀で打たれ、顎を掌底で叩かれたのだ。


チャイニーズであった男は流れるように立華を倒した所、よほどの武人であると考えられる中、彼女はある事に気が付く。


「…ヒャアッ!?」


自分の置かれている状況だ。


彼女は下から吹き付ける風に若干スカート(中にはスパッツを履いている)が持ち上がる感覚を覚え、下を覗くと…。


「………うああ…」


六十階建てのタワーから見る街並みは百万ドルの夜景と言うのであろう。

しかし、地上から三百メートル以上の高さを宙吊りでは楽しめたものではない。


顔を青ざめ、どうしようも出来ない状況に思わず尿意を来しかける。(無論そんな事はない、エロい人たちよ)


とりあえず紐が切れて落ちるだとか無いか調べてみると、当然そんな物はない。


「こっ…こんにゃところで…しし…死にたくない~」


呂律の回らない状態の中、ある事に気が付く。


「……何これ?」


両手を合わせるように縛られているが何故か後ろで無く、前に縛られている。

しかも、左手の平に両面の粘着テープが貼られ、何かが一緒にくっついている感覚もある。


試しに開いてみると、何やらリモコンらしき物が付いている。


「…リモコン…」


四つのボタンが縦に並び、上下左右の矢印が彫られている。


試しに上を押す。


と、ガチャンと音が鳴り、徐々にクレーンが上昇をし始める。

とりあえず、ボタンを離すと、直ぐに止まる。


他のボタンを押してみると、下はそのまま下に降り、左右はクレーンの元が回転してその方向を回るようだ。


大体使い方を理解した立華は左のボタンを押し続け、足場に到着すると、降りられるように下のボタンを押す。


すたりと金網に降り立ち、服の袖から小さな糸鋸を抜き、少しずつ縛ってあるロープを切っていく。


上腕部を切り、胸のロープを解いていく。


「ハァ!苦しかった!!」


圧迫感が取れ、深呼吸をする。


人並み以上に胸囲のある彼女にはよほど苦しかったらしく、呼吸を整えるのに少し時間がかかった。


そして直ぐ、彼女は和彦の事を思い出した。


「…そうだ!二宮君!?」


立華は左腕の痛みを堪えながら、近くに置かれたダネルを担ぎ上げ、走り出す。





下の階のVIPフロアは弾丸の雨あられと化している。


劉はかつての部下たちの武装であるMP7を手に取り、それで迎撃を行う。


和彦はMP5Kをフルオートで撃ちながら、手榴弾を二つ、ピンを引き抜き、劉の進行方向に投げ入れた。


「フォッ!?」


劉はそれを想定しておらず、爆風を受け、数メートル飛ばされる。



パラパラと破片が飛び、土煙を上げる。


和彦はMP5Kを弾倉が空になるまで撃ち放ち、手応えを感じないことを判断した。


「………」


MP5Kを投げ捨て、ノベスキーN4を抜く。


「………」


気配を感じる事が出来ない。


「………」


まるで自分だけしかいないように。


「………」


そして、土煙が消え失せると、其処には多少の血痕のみしか無い。


「!?」


すぐさま後ろを向き、ノベスキーN4を構える。


「………」


其処には誰もおらず、劉は何処かに隠れてしまった。


「…チッ!!」


思わず舌打ちをする中、和彦はある事を気が付いた。



血痕のみ残されたのに、多少たりとも去った後が無かった。


「其処に気が付くのはOKです。しかし爪が甘かった」


和彦の首にワイヤーが巻かれ、一気に絞められた。


「ガウッ!?」


「スカウトが使用するワイヤーです。抜けるには一苦労ですよ」


和彦は特殊繊維のワイヤーに指を入れ、少しでも防ごうとする。

しかし、マウントを取られた格闘家のようにいくらもがいても外れることはない。


次第に顔が鬱血し、徐々に命の灯火を掻き消そうとしていた。

劉は舌なめずりしながら、口を開き、詩を綴るように言葉を発した。


「…さて、もうすぐ…"妹たち"と再会出来ますよ。和彦君」


「…!?」




『…っちゃん~、お兄ちゃん~!』


「…ハッ!?」


和彦は目を覚ます。


上体を起こし、自分の体を見始める。


それは先程の戦闘で着ていた防弾コートに包まれた戦闘用制服であった。


どういう状況なのか、見当が付かないまま和彦は立ち上がり、その光景を目の当たりにする。


其処はカーネーションが咲き乱れる花畑であった。


和彦は先程から聞こえていた声を頼りに辺りを見回し、有る物を見つける。


其処には、亡くなった上の妹と、未だ昏睡状態の下の妹であった。


『お兄ちゃん~!こっちこっち!』


「あっ…琴音?静葉?」

和彦は産まれた時に自分で名付けた二人の名前を呟く。


姉の静葉は地面に座り、何かをしている。

妹の琴音は和彦を呼びかけ、此方に来るようにしていた。


彼女達はあの時に着ていた白のワンピースで、時間が止まったのかと思うくらい、幼いままであった。


和彦はその呼びかけに何の疑問にも思わず応え、カーネーションの花を潰さないように歩き出し、二人の元に向かう。


もう、黄泉の国からお迎えが来たと思うほど。

二人の元に辿り着くと、琴音が頬を膨らまし、両手を腰に当て、怒っていた。


『お兄ちゃん!もう、いっつもお昼寝して~お目目が腐っちゃうよ』


「はっはは、お兄ちゃんの目は頑丈だから腐らないんだよ。何せ防虫剤入りだからな!」


『凄い!流石琴音のお兄ちゃん!!』


和彦は嘘はったりで琴音を騙し、内心大笑いしていると、静葉が照れながら両手を後ろに回し、和彦に話しかける。


『にっ…兄さん?』


「んっ?どうした静葉?」


『ちょっと目を閉じてしゃがんで?』


照れくさそうに笑う静葉に、和彦は笑いかけ、ゆっくりと目を閉じてしゃがみ込む。


彼女はそのまま両手で持ち、有る物を和彦に被せた。


「…ん?何かな?」


目を閉じながら、それを静かに触れてみる。

それは蜜の香りと土草の香りを放ち、柔らかい花びらの感触がする。


「分かった!花の王冠だ!!」


和彦が高らかに答えると、静葉は笑顔で両手で丸を作る。


琴音は言い当てた和彦を称える言葉を贈り、和彦はこの上なく幸せな気分を得た。



あの日から…心から笑うことは無かった。


いつか、高校生となり、短いスカートで怒ったり、喧嘩したり、彼氏を作って拗ねたり。

結婚式で涙を流しながら見送ったりする事はもう無いのだろう。


しかし、これが夢ならば醒めなくてもいい。


そう思っていると、二人は意を決した様に語りかける。


『…お兄ちゃん』


「んっ?どうした琴音?」


『…私達は大丈夫だからね』


何を言っているのか分からない。


『兄さん。これからも兄さんを見守っています…だから兄さんは生き抜いて下さい…』


静葉も琴音も覚悟を決め、後ろを振り向いて歩き出す。


「あっ…琴音!静葉!?」


『…頑張ってね』

『…信じてます』


和彦は手を伸ばし、二人の手を掴もうとするが、スルリと抜け落ちる。


「琴音!!静葉!!行かないでくれ!?俺を一人にしないでくれ!!」



和彦の瞳から涙が溢れ出る。


二人は手を繋ぎ、歩いていった。



そして…。


『…また…会えるよ…』



和彦は目の前が真っ暗になり。



「ウォォォォオオオオ!!」


目を覚ました。





「!?」


「ウォォォォオオオオ!!」


和彦の腕に力が込められ、首元のワイヤーを引きちぎる。


それに驚いた劉の腹を右ストレートで殴りつけた。


「ガハッ!!」


弾き飛ばされたのはガラス張りの窓で、勢い良くヒビが入り、そのまま割れて下に落ちた。



しかし幸運であったのか、すぐ下には橋があり、上部の強化ガラスの上に落ち、事無きことを得るが。


「…幸運…とは言えないですね…」


腹部を押さえ、吐血をする姿は最早満身創痍と言わせる。


和彦はそのまま飛び降り、手に持つノベスキーN4を劉に向ける。


「…これでチェックメイトだ…」


「……復讐…それを遂行するのだね?」


「…ああ、しなきゃな…」


「…さらばだ、二宮君」


劉は目を閉じ、和彦はノベスキーN4のトリガーに力を込め。



一発の銃声が響いた。





背表紙的、あとがき



ミスカトニック大学付属高校制服女子編



女子の制服はブレザーとセーラー服の二種類。


両方とも男子同様の素材と機能があり、コーディネートも可能。


スラックスもあるが大概はスカート。


凛湖のみ動きやすさを考え、スラックスを改造したホットパンツになってる。(尋常じゃないローライズ)


他はスパッツを履いたり、ちょっと長めにしたりしているらしい。



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