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調理部の恋愛事情  作者: 春隣 豆吉
Recipe-3:長谷川 志保の照準
8/33

-2.

 大学生活にも慣れた頃、私はアルバイトを始めた。

 場所は泰斗の最寄り駅にあるカフェで、高校生の頃に親友の瑞穂とたまにお茶をしていた店だ。お茶もお菓子も美味しくてほっとする雰囲気がすてきな店なんだけど、高校生のお小遣いじゃ毎日通える値段じゃなかったため、私には特別なお店だった。

 大学生になって、たまたま用事ついでにカフェの前を通ると“アルバイト募集”の張り紙がしてあって、ラッキーとばかりにすぐに申し込みをした。

 最初はメニューを覚えられなかったり接客に戸惑ったりもしたけれど、オーナー兼店長さんやバイトの先輩たちの指導のおかげで、なんとか“長谷川ちゃんに任せても大丈夫だね”と言ってもらえるレベルまできた。

 今でも、このお店は大人が集まる雰囲気なので高校生はあんまり見かけない。たまに泰斗の制服を着た子達がお店に入ってくると、まだ卒業してそんなに経っていないのになんだか懐かしくなる。どの子もちょっと緊張した面持ちでお茶を飲み静かに話していくのが、高校生の頃の私を見ているようだ。


 今日は土曜日で学校は休みだ。アルバイトに出かけるため、家をでたところ、 珍しく実家に帰ってきていた恭ちゃんにばったり出会った。

「おはよう、恭ちゃん」

「おはよ、志保・・・どうした。いやに早いな」

「早い?9時30分じゃ普通だよ。恭ちゃんこそ珍しいね。こっちに来てるなんて」

「俺は休みで、ちょっと親父に用事があってな。どっか行くのか」

「バイトだよ。」

「・・・バイト?」珍しく恭ちゃんが不機嫌な口調になる。どうしてだろう。

「そうだよ。私、一度バイトしてみたかったんだ。・・・じゃあ、そろそろ行くね」

「ちょっと待て。志保、バイトってどこで?」

「泰斗の最寄り駅近くのカフェだよ。“Bonne table de”って名前の。」

「ああ、あそこか・・・バイトは何時まで?」

「えーっと、今日は閉店までだから、夜の8時。どうして?」

「別に。気をつけてな」

「うん。いってきまーす」私は、恭ちゃんの態度を不思議に思ったけどあんまり気にしないことにした。


 週末のせいか、開店と同時に店は混雑し始めた。私もせっせと接客したり裏で食器を洗ったりと動いていたせいか気がつくと、閉店30分前になっていた。

 さすがに閉店まぎわになると、店内も落ち着いていて平日の雰囲気に近い。

「今日は忙しかったですね~」などと話しているとカランとドアベルが鳴った。

「いらっしゃいませ・・・・え??」私は入ってきた人物に驚いた。

 そこには恭ちゃんが立っていた。しかも不機嫌な顔つきで・・・・


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


この「どベタ」は物語につきあってくれる皆様、ほんとうにありがとございます。


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