2.偶然が重なりすぎ
「唯ちゃん、ひさしぶり~!」
「聡ちゃん、元気だった?」
違う大学に通う私たちは泰斗高校の最寄り駅で偶然の再会を果たした。そこで、どこかでお茶を飲もうと駅前にあるカフェに入ろうとしたら、店の脇から現れたのは長谷川部長だった。
「え。部長??」
「え。川田、木下?あらー、久しぶりだね」
「部長、ここで何してるんですか?」
「私?この店でアルバイトしてるんだよ。今日はもう終わりなんだけどね」
すごい、偶然ってこんなに重なるものなんだ。
3人でお茶をしようってことになり、バイト先では恥ずかしいと部長が言うため別のカフエに入る。
「それにしてもびっくりしたよー。店の前に二人がいるんだもの」
「こっちも驚きました。脇から部長が出てくるなんて、誰も予想してません」聡ちゃんが水を飲む。
「そうですよ、部長」私もそれしか言えなかった。
いろんな話をしているうちになぜか恋愛話に発展していった。
「部長、唯ちゃんの彼氏は年下なんですよ。泰斗の3年生なんです」聡ちゃんが楽しそうに部長に告げる。
「いやーん。年下の彼かあ」部長も楽しそうに私を見る。
「ちょっと、聡ちゃん、部長!ぶ、部長の彼氏はどんな方なんですか?」聡ちゃんの彼氏は知っているため、私は思わず部長に話をふる。
「か、彼氏??と、年上だけど」すると部長は、そりゃあ恥ずかしそうにつぶやく。
私と聡ちゃんは、部長の意外な一面に驚いてしまう。
長谷川部長といえば、予算審議会では当時の生徒会長である平田先輩に一歩も譲らず、希望額をもぎとるまで交渉し続け、最後にはたいてい勝ち取る豪腕として有名で「平田会長vs長谷川部長」は節目の名物でもあった。
「わたしのことはいいのよ!!川田の彼氏は年下で、木下の彼氏は?」
「ええっ?今度はわたしですか。・・・同じ歳で、中学生の頃から付き合ってるんです。」
「「すごい」」今度は私と部長が驚いた。
丸山くんのことは知っていても、そんなに付き合いが長いなんて知らなかったよ。
「木下・・・純愛ね」長谷川部長がしみじみ言う、
「そ、そうでしょうか。なんか気がついたらずっと一緒でした。あ、でも部長だって幼なじみなんですから付き合いは長いんですよね」
「え・・・うん、まあ。付き合いはね・・・でも彼氏になったのは最近だよ」
「そうなんですか。10歳上ってことはもう社会人なんですね。どんな仕事をしてるんですか?」
「え。医者だよ」
「「おぉ~~」」
「でも、いつも忙しくてなかなか会えないよ。仕事柄しょうがないけど、まあ、私のことはいいじゃない。私は川田の彼氏がどんな子なのか気になるわ~」
いきなり長谷川部長に指名された私は、お茶を吹きそうになった。
「わ、私はまだつきあいはじめたばかりで、部長の期待するような話はないです!!」
「そうなの?木下は見たことあるんでしょ」
「ありますよ。唯ちゃん、私が話していいの?」
聡ちゃんに言われて、私は観念した・・・・。
「バスケ部の男の子かあ、じゃあ広瀬の後輩ね」
私はその名前を聞いてどきっとした。そういえば広瀬先輩は部長に告白ってしたのかな。でも、ここで私が聞くのも変だし・・・。
「そ、そうです。」と私が答えたときに、部長の携帯が着信音を知らせた。
「あ、ごめん。ちょっと出てくるね」そういうと、部長は外に出て行った。
数分後、なぜか部長は一人の男の人を連れて店に入ってきた。スラリとしたクールな感じの眼鏡男子・・・
「さ、聡ちゃん。もしかして・・・」
「部長の彼氏じゃないの?うわー、かっこいいねえ」
私たちの困惑をよそに部長は「ごめんね、二人とも。途中で抜けちゃって。恭ちゃん、二人は私の後輩で木下さんと川田さん。えーっと、こちらは・・・」と部長が紹介しかけたところで、男の人が自己紹介を始めた。
「こんばんは。吉村 恭一です。志保がお世話になってます。」
その後は吉村さんも交えて、部長が調理部だった頃の話で盛り上がった。
吉村さんと部長を見送った私たちは二人で駅まで歩いていった。
「なんかさー、吉村さんって部長のことだいすきだよね」
「あ。わかる!すごーく大事にしてるよね」
「あの二人に入り込む度胸のある人っているのかな」
「あの二人に??ないないない」
「だよねー」と、ひとしきり盛り上がる。
「「それにしても、吉村さんってかっこいいよね~!!」」と思わず声を合わせてしまったのはお互いの彼氏には内緒である。
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これも「ガールズトーク」とアイデアをいただいたので。
赤裸々ではありませんが・・・彼氏はいてもイケメンをみて
かっこいい~って思ったりしてもいいですよねww
そのイケメンがこの人でいいかどうかはともかく(汗)




