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長文になります。
ご了承ください。
新学期になって2週間たった。
放課後、彼氏と一緒に帰る涼乃と別れて図書館へ行く。
涼乃と彼氏である早川くん(早川 圭吾:あだ名は早川王子)は、3年生になって選択コースの違いからクラスが別になった。ちなみに私と涼乃は同じクラスになった。
涼乃たちは、2年生のときに、王子の押しに涼乃が根負けした感じで付き合い始めた。
二人が一緒にいるときは、特に早川王子が周囲に甘い空気を撒き散らしているので、すっかり3年生の間では「あまあまカップル」として本人たちの知らないところで暖かく見守られている。
図書委員会と調理部は交流があるので、顔見知りばっかりのためちょっとカウンターに顔を出す。
「あ、唯ちゃんじゃない」カウンターには新しく図書委員長になった松尾 恵ちゃん。
「今日はめぐちゃんと誰が当番なの?」
「そのぽんだよ。今、あそこで返却作業をしてるけど・・・あら珍しい。男の子と話してる」
めぐちゃんの見た方向に私も顔を向ける。確かに図書委員の武内さんが背の高い男の子と楽しそうに話してる。
「あの男の子はもしかして彼氏じゃない?」
「さあ・・・。でもさあ、私の独断と偏見だけど、そのぽんって年上の彼氏がいそうな気がしない?」
「どっからそんな憶測が生まれるのよ」
「なんかさ、そのぽんって守ってあげたくなるじゃない。保護欲をそそるっていうか」
「保護欲ってなにそれ。それにしても、よりによって料理本のコーナーにいるのか。本見たいんだけど、今行ったら邪魔よね。馬にけられたらどうしよう」
「骨なら拾ってあげるわよ。いってらっしゃーい」めぐちゃんがニヤニヤしながら手をふった。
めぐちゃんの叱咤激励(?)を受けた私は、しぶしぶ料理本のコーナーへ歩いていった。それにしても、世の中私以外はみんな春なんだろうか。
ぶらぶらとレシピ本の棚に行くと、武内さんが「あ、川田先輩。こんにちは」と声をかけてきた。
「こんにちは、武内さん。えーっと、ごめんね?」
「え?何がですか?」きょとんとする武内さん。
私は内藤くんと武内さんを交互に見たあとに「ごめんね。邪魔しちゃったよ」と言う。
すると、武内さんと内藤くんがほぼ同時に「「違います」」と小声ながら焦った感じで言ってきた。
「え?」
「武内は、2番目の兄の彼女です。あ、俺・・・僕は内藤 裕介です。バスケ部の2年で、彼女はいません。」
「私は川田 唯です。3年生で、調理部なの」へえ、もてそうだけど彼女いないのか。ま、私には関係ないわね。
互いに自己紹介し終わると、私は武内さんのほうをむいた。
「武内さん、彼氏いたんだね。もー、いつの間にっ。先輩たちにはバレてないの?」
「はははいっ。いいえ、内緒にしてるわけじゃなくて、その・・・恥ずかしくて」真っ赤になる武内さん・・・かわいー。
「そっか。じゃあ、私も今聞いたことは涼乃やめぐちゃんには言わないよ。」
「す、すみません。」
武内さんは私に頭を下げると返却ワゴンを押しながら棚を離れたため、私と内藤くんだけになる。
内藤くんのお兄さんというと、少なくとも1つは年上なわけだ。
すげー、めぐちゃん。年上の彼氏で大当たりだよ。
「内藤くん、料理するんだ?」
「うちは父親の転勤に母親がついていっているので今は兄二人と3人暮らしなんです。家事もローテーション組んでやってるんで、料理もそれなりに」
「へー、偉いんだね。バスケ部じゃ帰りも遅くて大変なのに両立してるんだ。」
「そのへんは、部活の休みの日に割り当ててもらってます。」
「そうなんだ。それで、今日の夕飯のおかずでも探していたの?」
「それもあるんですけど。ちょっと武内に相談があったんです。」
「もしかして、私が邪魔しちゃって中断した?だったら、ごめんね」
やっぱり、めぐちゃんに骨を拾ってやると言われても、行くんじゃなかったよ。
「いえ・・・その、実は」
内藤くんは赤くなって私のほうを見た。今度は私に相談か?夕飯のおかずなら相談にのるぞ。でも、どうして顔が赤いんだろう。
内藤くんはちょっと深呼吸をした。
「俺・・・・見てたんです」
「はい?」
「あの・・・川田さんが広瀬先輩と、その・・・」
最後まで言われなくても分かった。まさか、あの状況に目撃者がいたなんて。しかもバスケ部の後輩かよ~。
「見たの。・・・そう。」
「すみません。俺、追い出し会に来ない広瀬先輩を探し回っていたときに、遭遇してしまって。あ、でも、誰にも言ってないです。」
「言わないでくれて、ありがとう。」
「あの、川田さん。」
「なに?」
「俺・・・あのときから川田さんが忘れられなくて・・・誰だか知りたくて。あのとき長谷川部長っていうのが聞こえたから調理部かなと思って。図書委員は調理部と仲がいいから、特徴を言えば武内なら分かるかなって・・・」
ということは、さっきの光景は恋人同士のラブラブトークじゃなくて、人探しの相談かよっ。そこに該当する私が現れたってことか。
黙ったままの私を見て、内藤くんは話を続けた。
「武内にショートカットで調理部の3年生でって言ったら、すぐに川田先輩だって教えてくれました。あの、川田さん」
「はい?」
「・・・・最初は友達でもいいです。俺と付き合ってもらえないですか。年下はいやですか?」
ここが図書室じゃなかったら、私は今頃「えええええっ!!」ってでかい声を出している。
とりあえず、ここから出よう。そうしよう。
「内藤くん・・・その話は外でしない?」
内藤くんも、場所のまずさに気づいたらしい。料理本のコーナーの周囲は地味なので人がめったに来ないのが幸いだ。
「そうですね・・・すみませんでした」
内藤くんは、顔を赤くしながら本日2回目のすいませんを言った。
読了ありがとうございました。
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内藤くんは作者初めての「年下男子」ヒーローです。
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内藤くんのお兄さんの話はシリーズ第二弾
王子と涼乃の詳しい馴れ初めは第一弾です。
暇な方は、通して読むとさらに楽しめるかもです。