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調理部の恋愛事情  作者: 春隣 豆吉
Extra recipe-2
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1.尾行大(?)作戦

 その日、内藤家では俺と次男・駿介がのんべんだらりと過ごしていた。

 末っ子・裕介は「彼女とデートなんだ~」と買ったばかりのカットソーを着ていそいそと出かけていった。

「裕介、浮かれて出かけたな」俺はテレビをみながら遅めの朝食を食べている。

「そうだね」駿介がパソコンをさわりながら、返事をする。

「駿介、暇か?」

「暇だけど」

「俺も暇なんだ・・・そうだ。裕介の尾行してみるか」

「・・・・兄さん。また突拍子もないことを」駿介が呆れている。

「おまえさー、デート初心者の裕介が心配じゃないのか?俺は兄として心配だ」

「・・・どの角度から見ても、兄さんの暇つぶしじゃないか」

「駿介。二人で買い物にでも行こうじゃないか。そこで“偶然”に裕介たちとばったり会うなんてことはよくあることだ。付き合ってくれたら、伊織にお前のいい話を吹き込んでやるからさ」

 駿介は、自分と苑子ちゃんとの間に立ちふさがる最大にして最強の壁の名前を出すと渋々と出かける準備をするために部屋に行った。



 裕介が出てそんなに時間がたっていないので、程なく裕介を発見。

 少し間をあけて、裕介の後ろをのんびり歩く。

「どうやら、改札前で待ち合わせのようだな」

「見つかったらどうすんだよ。兄さん」

「この人混みだぞ?見つかるわけないだろう。なんか言われたら暇だから買い物に来たって言えばいいんだ」

 俺は、そ知らぬ顔をして改札を通ると駿介もあとに続いた。

 俺たちが通ってしばらくすると、唯ちゃんが到着してまっすぐ裕介のところに歩いていく。

 二人で何やら楽しそうに話しているのをみると、俺って何やってるんだろうかと心によぎるものがあるけど、それを無視して二人のあとを歩いていく。

 すると、予想どおりモール内のシネコンに入っていく。裕介たちはチケットを買うとさほど待たずに中へ入っていく。俺はチケット売り場の上部に出ているプログラム一覧を見て裕介たちの見る映画を予想した。

「裕介たちが見る可能性があるのは、ロマコメかアニメか、サスペンス物だな」

「・・・兄さん、まさか映画まで見るのか?俺、兄さんとロマコメやアニメはパスだからな。と言うか、映画じたい勘弁してほしい。」

「・・・俺だって映画はパスだ。どの映画も2時間ちょっとだから・・・この時間だと次は昼飯だと思うんだよな。ちょうどいい、俺ちょっと服を見たいんだよ。お前どうする」

「俺は、ちょっと本屋に行きたい。」

「・・・じゃあ、2時間後にここで待ち合わせな。ここなら裕介たちが出てくれば分かるから。何かあれば携帯に連絡するってことで」

 俺と駿介はそういって、その場で別れた。


 2時間後、合流した俺たちは裕介が出てくるのを待った。すると、ほぼ予想どおりの時間に裕介と唯ちゃんが出てくる。

 裕介は唯ちゃんと楽しそうに話しながら、彼女をさりげなく人とぶつからないように誘導している。

「裕介、どこであんなエスコートを覚えたんだか。俺なんて最初のデートのときなんて緊張しちゃってあんな行動はできなかったな」

「さあね・・・兄さん。昼飯食べたら帰らないか」

 駿介が俺のほうをみて、もういいだろうと促す。まあ、このままいいムードになったときにこっちが困るからそろそろ退散するか。

 前のほうでは何も知らない二人がレストランマップなんか見ちゃってランチの相談をしている。俺たちは見つからないように、その場を離れたのだった。



「っただいま~。」

 裕介が足取りも軽く帰宅。

「よお、おかえり。楽しかったか?」俺がさりげなく聞くと、裕介は「当たり前じゃないか」とドヤ顔で言う。

「・・・・映画、楽しかったか?」

「ええっ!なんで駿介兄ちゃん、俺が映画見たって知ってるの?」

 裕介がびっくりしてる様を俺たちはばれないように目をあわせて楽しんでいた。

 それにしても兄ちゃんは、一番下でまだまだガキくさいと思っていた裕介が意外とちゃんとしているので驚いちゃったよ。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


ありがたくもアイデアをいただいたので

それを何とか作品にできないかと

頭をひねってみました・・・・


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