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調理部の恋愛事情  作者: 春隣 豆吉
Extra recipe:内藤 孝介の軌跡
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1.現状

 思わず小野に告白してしまったあの日から1ヶ月、小野の態度は・・・・ぜんっぜん変化なし。

 もしかして、全然本気にされてないとか??あの動揺っぷりは何だった?

 俺は構内のベンチに座りながらぼんやり考えていた。

「・・・とう。内藤?」

「ん?う、うわああっ、小野」

 小野が心配そうな顔をして、目の前に立っていた。

「ちょっと、人の顔見て何をそんなにあわてているのよ。」

 そういうと、小野は「隣、座っていい?」と聞いてきた。

 小野が俺の隣に座ってる。前は全然なんとも思わなかったのに、今はとてもどきどきしている・・・まるで、末の弟・裕介の初々しい恋愛みたい。

 裕介といえば、あいつが彼女である唯ちゃんと(下の名前でよぶと裕介が怒る。それが面白くて下の名前で呼ぶ俺であった)歩いているところにばったり出くわしたことがあった。

 そのときの裕介の顔に「やっかいなのに出くわした」と書いてあって、お兄ちゃんはちょっと悲しかったので、家に戻った裕介が嫌がるのを承知で彼女のことを根掘り葉掘り聞き出したのは言うまでもない。


「ちょっと、内藤。大丈夫?ぼーっとしちゃって。今日、授業も上の空だったでしょう。珍しいことだからちょっと心配してたのよ。」

「ん?あー、ちょっと考え事しちゃって」

「何か悩みでもあるの?」

 悩み・・・・いろいろあるけど、一番難しいのは目の前にいるきみのことだ。俺の告白をどう思ってる?

「な、なに?私の顔になんかついてる?」

「別に。いつものようにきれいだよ」

「はあ?内藤、やっぱり変だよ。早く家に帰ったほうがいいわ」

 本心からきれいだよって言ったのに。やっぱり全然俺の告白を本気だと思ってない。

 これって、やっぱり以前の合コン三昧、お持ち帰り三昧の行いのせい??

「私、先に行くわよ。」そう言って、小野はさっさと席を立ち去っていく。俺は何も言えずに見送ってしまった。

 どうしたら、あの告白が本気だとわかってもらえるんだろう。俺がベンチから立ったそのとき、甘ったるい声が俺を呼んだ。


「内藤せんぱぁ~~い。合コンがあるんですけどお、いかがですかあ?」

「・・・当分忙しいから、合コンは行かないよ」

 すると、声のトーンが急に変わった。

「へえ。“合コンにこの男あり”の内藤が本当に断ってるわ。うわさは本当だったのね」

「はあ?」さっきの甘ったるい声とは違う、びしびしとしたトーン。まさか・・・と思って振り向いた俺は思わず「なんで、お前がここにいるんだ」と後悔した。

「お久しぶり~。内藤。元気だった?」

 立っているのは170はある身長と華やかな容姿の美人・・・見た目は美人だが、中味はそこらの草食男子なんか蹴散らして歩く鋼鉄の女。

「内藤。暇ならちょっと顔貸してくれない?用件は分かってるわよね」

 男子学生がにっこり微笑むこの女にうっとりして通り過ぎていくけど、本性をよーく知ってる俺としてはちっとも笑えない。

 俺の目の前で、7センチはあろうかというヒールを履いて微笑んでいるのは(でも目は笑ってない)、工藤歩実・・・現在は出版社に勤める小野の親友だった。

「工藤。仕事はどうした」

「土日ずーっと仕事してたので代休をいただきましたの。さあ内藤。私につきあってもらいましょうか?」


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


ネタにつまったときに現れる男・内藤 孝介の番外編です。

あのまま小野と決着つけないのも気の毒なので

ここで集中させて結末をつけようと思っています。


番外編でこんなの読んでみたいなあ...というのが

あったらぜひぜひ教えてください。

妄想も可(笑)。

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