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調理部の恋愛事情  作者: 春隣 豆吉
Recipe-4:川田 唯の夏休み
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2.補習のあと

 夏休みになり、私は涼乃やめぐちゃんと一緒に予備校の夏期講習に通い始めた。

 朝から夕方までみっちり勉強して終わる頃には正直へろへろだ。

 予備校のほかに、学校で行われる受験対策の補習授業にも通っているため、まさに勉強漬けの夏である。

「どうにか現役で合格したいよね~」授業を終えた涼乃が伸びをする。

「そうだね~。そういえば、涼乃。」

「なに?」

「王子は夏期講習一緒じゃないの?私と夏期講習来てるけどさ」

「圭吾くんは理系だから、予備校は同じでも受ける講義が違うんだよ」

「あ~、そうなんだ。」

「唯ちゃん、王子と涼乃は受ける講義は違っても、終わる時間が同じ場合もあるよ」

 めぐちゃんがにやりとした。

「め、めぐちゃん!何で知ってるのよう!!・・・めぐちゃんだって、土屋先輩帰ってきてるらしいじゃん」涼乃が反撃に出た。

「・・・なんだかんだいって、二人ともらぶらぶだよね」私がぼそりと言うと、二人は私のほうを見た。

「何言ってるのよ。旬の人が」めぐちゃんが肩をすくめて、やれやれというしぐさをする。

「旬?なにそれ」

「唯ちゃん、バスケ部のカレに決まってるじゃないの~」涼乃が楽しそうに言う。

「だーかーらっ。違うって」

「図書委員会と調理部では既に内藤くんは唯ちゃんの彼氏扱いだよ?ねえ、めぐちゃん」

「そうそう。」めぐちゃんが涼乃の発言受けてうなずいた。

 なんか、否定すればするほど「内藤くん彼氏説」が確定していく気がする・・・・。

 私はもう反論するのをやめた。



 今日は学校で補習授業だ。

 夏休み前の進路相談で、先生からはこのまま成績を持続していけば合格圏内だと言われたので、少しでも苦手分野をなくしておきたいところ。

 補習授業は私服通学OKでよかった~。この暑いのにローファーはやだ。足が蒸れる。

 ワンピースとサンダルという格好で学校に行き、教室の窓からぼんやりと外を眺める。

 昨年は、部活がない日の放課後にバスケ部・・・正確には広瀬先輩がランニングしてるのを見てた。告白して振られたのは今年の春だ。それがきっかけで内藤くんと出会った。

「・・・・唯ちゃん。なに見てるの?」いつの間にか来ていた涼乃に後ろから声をかけられた。

「へ?あ~、運動部を見てた。暑いのに大変だなあって」

「あ~、確かにね。圭吾くんも今日はテニス部で練習してるよ。ストレス発散なんだってさ。・・・・ん?ランニングしてるのは・・・・やだ~、唯ちゃんったら」

「はあ?」

「ランニングしてるのバスケ部じゃない」

「そうなの?・・・・あ、ほんとだ」

「しかも終わってこっちに歩いてくるじゃん。唯ちゃん、ここは手をふるんだ!さあ!!」

「誰がふるか!ほらっ、そろそろ補習が始まるよ!」

 都合よくチャイムがなった。



 補習が終わる頃、早川王子が顔を出し涼乃は王子と一緒に帰っていった。私も教科書をバッグにいれて教室を出た。

 廊下を歩き、階段を下りる。すると、踊場で階段を上ってくる内藤くんと出くわした。

「唯さん!」

「わ!内藤くん?びっくりした」

「よかった~。行き違いにならなくて。さっき、岡崎先輩から唯さんがまだ教室にいるって聞いたもんだからあわてて来たんです」

「えーっと、何か用事あった?」

 私の返答に内藤くんは苦笑して「用事じゃなくて。俺も部活が終わったの。一緒にかえろ?」そういうと、私の手を引っ張った。

「へ?」内藤くんに急に手を引っ張られ、私はよろけた拍子に内藤くんにしがみつく形になってしまう。

「わわっ。ごめん」私はあわてて離れようとしたけど、動けない。

 いつの間にか、内藤くんの手が私の背中にまわっていた。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


内藤くん、ちょっと大胆。



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