第27話 守るべきもの
その日は急に来た。
メルージェが破水し、苦しみだしたのだ。
王宮医と、もしもの事を考えて、別荘で働いていたメイド二人を連れて来ていた。
「メルージェ様!」
「うぅ…うー…」
「まだいきんではダメです!
呼吸を整えて!」
「はぁ、ふー、ふー…
無理です!産みたい!」
「まだですよ。赤ちゃんとタイミングを合わせて。」
「はー、、ふー、ふー……」
一人のメイドがメルージェにタオルを握らせるが、体が動く程に力が強く、壮絶な事なのだと思い知らされた。
「いい感じですよー
……今、いきんで!」
「う、んーー」
数回繰り返すと、王宮医が赤ちゃんが取り上げた。背中をトントンとすると「ぅぎゃぁー」と、声を上げ、その声を聞いて、廊下で待っていたアルフレッドが勢いよくドアを開けた。
「産まれたか!?」
「アルフレッド様。大きい声と音を出したら、赤ちゃんがびっくりしますよ…」
「あ、すまない…」
「ふふふ。毎回怒られてるのね。」
アルフレッドがメルージェの元へ近づき、額に口付けする。
「メル…お疲れ様。ありがとうな…」
「うん。それで、お医者さま…」
「はい。かわいい姫様です。
幸い狐の耳もしっぽもありません。
ですが、瞳が青色なのと、髪の色が橙です。
「……そうか…」
アルフレッドは愛しそうに赤ちゃんを見ているが、肩を落としてるようにも見えた。
「どうしましょう…陛下はアルの子供じゃないとわかれば…」
「およしください、そんな事!」
思わずメイドが口を挟む。そのくらいメルージェは言ってはならない事を口にしようとした。
「……瞳が空色のアルフレッド様、紫色のメルージェ様。混ざって青色…と言う事にしますか…?髪の色も…」
「父上たちがそれで騙されてくれればいいのだが…」
「帽子を被せていれば、わからないのでは?」
「髪が伸びたらどうしましょう…」
色々な案が出され、この事はここに居る四人の秘密事とした。
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アルフレッドたちは初孫を会わされるため、国王陛下夫妻の部屋へ来ていた。
「名前は【エレン】にしたんだ。」
「そう!可愛いじゃない。」
皇后は大変喜んだが、女の子と言うのが国王には喜びを半減させた。
「陛下、私はまだ若いですから、王子も産んでみせますわ!」
「いや、すまない。そんなつもりじゃ…」
「いやねー、陛下ったら顔に出てるのよ!
メルージェごめんね。良いのよ女の子だって!とっても可愛いわ!」
アルフレッドの子だと思って喜んでくれる皇后に、嘘をついているのが心苦しかったメルージェは、国王陛下に言った事だが、自分にも言った言葉だった。
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月日が流れるのは早く、1年と少しが経つと、みんながエレンに対して疑問を持ち始めた。
1歳を過ぎても、声を発するが言葉にならず、座りはするが立つことは出来ない。
体も小さい。
王宮医が診てもわからなく、発達障害なのかと思っていた。
「それなら、それで人目に触れないように育てましょう。」
と言う事で、城の離れに移り住み、月日が過ぎると、エレンは喋れるようになった。すると、ニコニコしながらメルージェのお腹をさすった。
「どうしたの?お腹痛くないよ?」
「ママ、おなか、なか、いる」
「え?」
まだ無自覚ないメルージェは王宮医に診てもらった。
「まだ早くて断定は出来ませんが、おそらく…」
「まぁ!すごいわエレン!」
「獣人の耳なのでしょうか…」
数週間後、懐妊が国王陛下夫妻にも知らされていた。
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二人目は金髪に紫色の瞳の王子だった。
名前は【ブライト】にした。
城の中のみんなが喜び、メルージェたちも一安心の様子だった。
王子が産まれると、国民にお披露目するしきたりがあるため、3ヶ月後に城のバルコニーから国王が挨拶する事になった。
「エレンも参加させる…」
アルフレッドは、不安気にメルージェに言った。
「国民がこの子を見たらどう思うかしら…」
「帽子を被せ、メイドに抱っこしてもらい、後ろの方に居てもらおう。」
「そうね…」
「みんなブライトに気がいって、気づかないだろう。」
「そうね。バルコニーは高いし、見えないわよね…」
アルフレッドとメルージェは、お互いを落ち着かせるように抱き合った。
つづく。
挿絵はAIが作成しています。




