第26話 告げられた事実
王宮医は少し重苦し雰囲気で口を開いた。
「…では、メルージェ様は貧血です。
それと、――お子がおられます。まだ日数まではわかりませんが…」
「え!?」
三人は同じ言葉を放ち、驚きを隠せなかった。
「そうか!メル!やったな!」
喜ぶアルフレッドをよそに、メルージェはその後ろにいるヒューリと、目が合っていた。
「これからは沢山食べて、仕事も程々にしませんと、メルージェは細過ぎます!母子共に危険ですからね!」
「わかりました…出産は、先生が立ち合うのですか?」
「ええ、もちろん!」
なんでそんな事を聞くのか?と王宮医は不思議そうにメルージェを見ながら答えた。
するとメルージェは体を起こして、俯きながら話し始めた。
「もしかしたら、アルの子じゃない…
ヒューリの子の可能性があるの。」
「なん、だと!?」
「お城に来てから、体を重ねた事があるの。」
メルージェの告白を聞いたアルフレッドは、ヒューリの胸ぐらを掴んで殴ろうとしたが、ヒューリは微動だにせず、むしろ殴られようとしていた。
「アル、待って!私はあの時伝えたわ。ヒューリが好きだって。」
それを聞いて、アルフレッドは拳を下ろし、ヒューリから離れてソファに腰を下ろした。
「いつだ?」
「式をあげる、少し前…
それからは何もないけど。」
「大体症状が出る時期と合ってると思われます…」
王宮医が居た堪れず、口を挟む。
「アルフレッド様のお子の可能性も…産まれてみないとわかりませんよ?…」
アルフレッドは頭を抱えて考えていた。
アルフレッドの子供を、王族の子供を殺したとなると、メルージェと王宮医が死罪になる 。ヒューリの子供だとしても、愛人でもないのに王太子妃と体を重ねたとして、ヒューリとメルージェが何かしらの罰が与えられるだろう。と。
しばらくの沈黙のち、メルージェが口を開いた。
「それでね、ヒューリには公爵家の別荘へ行っててもらいたいの。」
「は?俺はメルージェ、さまから、離れる気はない…」
「でももしヒューリの子だったら、陛下が貴方を処分するかもしれない。
サラさんと結婚するって事にすれば、お城から出られるでしょ?
生きていればまた会えるわ!」
そう言ってヒューリに微笑む顔は、母親になる覚悟が出来てるようだった。
「その方が良いかもしれないな。
獣人の子じゃなければ、また戻れる機会もあるだろう…」
アルフレッドも続けて賛同するが、内心では邪魔者が居なくなってせいせいする。と言った感じだった。
「わかりました…」
メルージェの体を思い、困らせなくて承諾したヒューリは不安になりながらも、別荘ならば良いか。とも思っていた。
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間もなくして、ヒューリとサラは城から別荘へ移り、お腹が目立つ頃に国民へ発表した。
お世継ぎか!と国王陛下夫妻は大喜びし、メルージェはつわりに耐えながら我が子の誕生を待ちわびていた。
「名前を考えないとなー。」
アルフレッドは、メルージェの大きくなったお腹に、さすりながら話しかけた。
「アル…もしも、」
「待て!先に言わせてもらう。
――あいつの子でも愛してる。メルージェの産んだ子供だし、日に日に大きくなるお腹も見てる。そもそも好きな人が居るのに、無理に結婚を進めたんだ。
結果、俺はメルを手に入れて、幸せだよ…」
アルフレッドの目には涙が溢れていた。
「アル…」
アルフレッドの手に自分の手を重ねると、
お腹の中の子も聞いてるかのように、お腹を蹴った。その様子に二人は驚き、笑顔になった。
つづく。




