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王子に嫁いだ公爵令嬢ですが、愛したのは獣人奴隷でした  作者: 白 月虹


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第16話 舞踏会にて

休憩するようにと、メルージェをソファへ腰掛けさせると、アルフレッドは心配そうにしていた。


「飲み物でも取ってこようか。顔色が優れないように見える。」


アルフレッドが飲み物を取りに行こうとした時、少し恥ずかしそうにヒューリがすっと果実水をメルージェに差し出した。


「メルージェサマ…果実水、です」


「!…ありがとう…」


挿絵(By みてみん)


ヒューリが感情を出した以来、言われた事以外を自分から率先して動かなった彼が、自分のために何かしたのがメルージェは嬉しかった。

程なくして執事がアルフレッドを貴族の挨拶へ行くよう促す。


「アルフレッド様。」


「……あぁ。

ここで休んで居るといい。私は皆に挨拶を続けるから。」


「うん、ありがとう。」


「メルージェを頼む…」


「……はい。」


アルフレッドが貴族達の元へ戻ると、ヒューリがメルージェの隣に腰掛ける。


「スーツ、似合うね」


「……どうも。姫も、綺麗だ」


潤む瞳でヒューリを見つめると、ヒューリは頭の上にポン手を置いた。

それだけで二人には十分だった。


そんな様子を見ていた他の貴族の犬の奴隷獣人がたどたどしく話しかけてきた。


「王太子妃殿下に、ごあいさつ、もうしあげます?」


奴隷獣人が王太子妃に話しかけてくるなんて。とメルージェの周りだけザワついたが、メルージェの使用人も獣人だから。と、気にしない感じで対応し始めるが、ヒューリは警戒を解かなかった。


「何でしょう?」


「殿下は、獣人と仲がよろしいようなので、良かったら俺、あ、私も買ってくださいよ。とても良い待遇そうだ!」


その物言いと態度は無礼極まりなかった。ヒューリが「てめぇ!」と言って胸ぐらを掴み詰め寄ると、メルージェはヒューリの腕に手を添えて制止し、犬の獣人に向き直った。


「貴方の態度によって、家紋にも他の獣人にも傷がつきます。

そんな貴方を闇市で見つけても、決して買いませんわ。」


周りがザワついている事に気づいたアルフレッドが駆け寄ると、メルージェの凛とした佇まいに、また惚れ込んでいくようだった。

アルフレッドが間に入ると、瞬く間にその場鎮圧され、犬の獣人は衛兵に連れて行かれた。


「色々会って疲れただろう。メルは先に戻って休むと良い。」


アルフレッドのはからいで、メルージェとヒューリは部屋に戻って行った。

誰も居なくなった頃合いにヒューリは黙ってメルージェの手を繋いだ。


「なんか、色々ごめんね」


「なんだそれ。それにお前が謝る事なんてひとつもない。……あと、悪かった。」


「…うん」


メルージェの部屋の前に、メイド長達が立っているのが見えて、手をパッと離す。


「メルージェ様のお休みの支度に参りました。」


有無を言わさずメイド長達は、メルージェとヒューリを離し部屋に戻って行った。

そこへ一部始終を見ていた丸い耳の熊の獣人メイドが、ヒューリに駆け寄って来た。


「あの!ヒューリ様?

私、メイドのサラと言います!良かったらお話ししたくて!明日休憩の時お伺いしますね!」


それだけ言うとサラは戻って行った。


「え?あ?、おい!」


なにがなんだかわからないと言った様子のヒューリだけが取り残されたのだった。



次の日、本当にサラが来て、ヒューリは少し戸惑ったが、同じ獣人でもあり、ヒューリの性格的にもすぐ打ち解けた。

話を聞くと、主家の没落により、一時は路頭に迷ったところを王城の雑用係として拾われた。獣人であるが故に決して良い扱いは受けてないそうだ。

そんな彼女が初めて見た、メルージェとヒューリの姿。主が奴隷に見せるにはあまりに優しい眼差し。奴隷が主に対して、臆することなく軽口を叩き、時折見せる親密な雰囲気。その理想の関係性に心を奪われたらしい。



つづく。


挿絵はAIが作成しています。

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