第12話 ヒューリの決意
性的描写があります。
彼女の穏やかな寝顔を見て、先ほどまでの激情が嘘のように冷めていくのが分かった。
早朝、まだ日が昇る前だが、水を貰いに厨房へ行ったアルフレッドは、狐の獣人が手伝いをしているのを見て、目の前に立つ。
「お前か…」
怒りと嫉妬が混じった低い声で、ヒューリだけに聞こえるように呟いた。
「はっ、これは王子様…」
ヒューリは顔をあげると、挑戦的な目でアルフレッドを見つめた。
アルフレッドもまた、ヒューリを上から下へと見定めていた。
「メルージェの部屋の片付けと、彼女の体を綺麗にして欲しい」
それがどういう事かヒューリにはすぐわかった。が、動揺は見せず静かに立つと、何も答えずメルージェの部屋へ向かった。
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次の日の朝、アルフレッドは結婚の準備をすると言って早々と別荘を後にしていた。
メイドたちがアルフレッドが帰った事で緊張が溶けたのか、廊下で無駄話をしているのが聞こえる中、メルージェが目覚めると、ヒューリが片腕頬ずえついてメルージェを見つめていた。
「……。」
ずっと待ち望んだヒューリの顔があるのに、手が伸びなかった。メルージェは掠れた声で言う。
「殿下と、ベッドを共にしたわ……」
「……知ってる。」
ヒューリは表情一つ変えずに答えた。彼の青色の瞳は静かで、何を考えているのか全く読ませない。
「殿下と結婚する事になったわ…
結局何も変えられなかった。ごめんなさい」
「……そりゃ、ショックじゃねぇと言ったら嘘になる。正直、めちゃくちゃキツい。心臓、今にも潰れそうなくらい。」
その口調はどこまでも平坦で、怒りも嫉妬も感じられなかった。ただ、どうしようもない諦めのようなものが滲んでいる。
「あのね、貴方を使用人として連れて行っていい。って、どうかなぁ?」
「はっ…飼い犬はいつまでも飼い犬だな。」
メルージェは、はっとすると顔を背ける。1番望んでいなかった事を、これからもヒューリに押し付ける事になる。
それが辛くて悲しくなった。
「ごめんなさい…ここに残っても良いわ。
ヒューリも気にいってたでしょ?」
務めて明るく振る舞おうとするメルージェをヒューリは抱き締めた。
それは離れるより飼い犬でも良い。と覚悟したからだった。
「…あー無理だ!お前から離れられねぇわ!…居る場所がアイツの隣だったとしても。」
「ヒューリ…嫌になったら辞めて良いから。」
「あー、そうだな!
それくらいに思っていれば気も楽だわ!」
メルージェが顔を上げると、いつもの飄々とした青年ではなかった。飢えた獣のように爛々と輝く瞳で、じっとを見下ろしていた。
「で、我慢出来ないんだけど…」
メルージェをベッドへ押し倒すと、彼は乱暴に自分の着ているシャツのボタンを引きちぎると、露わになった鍛えられた上半身を晒した。
「良いの?私、殿下と…」
「だからだろ?アイツの匂いがするのが気に入らねぇ。……全部、俺で上書きしてやる。」
宣言すると同時に、ざらりとした舌がメルージェのうなじを舐め上げ、アルフレッドが付けた赤い痕の上から吸い上げた。同時にメルージェの服は剥がれあっという間に肌が顕になり、隅々まで舐め回した。
「んっ。はぁっん」
「舐められただけでぐちょぐちょだな。」
そう言うと、ヒューリは濡れた入り口に己の先端をぐりぐりと押し付ける。まだ挿れはしない。じらすように、入り口の何度も擦り上げ、互いの熱を確かめ合う。
「んあ!あっ…
いじわる、しないで……」
擦られるとほしくなり、腰を動かすが、ヒューリは中々挿れない。
腰を動かしてねだるメルージェを見下ろし、ヒューリは愉悦に歪んだ笑みを深めた。愛液で光る入り口を指でなぞり、わざとらしく指を舐め、その味を確かめてみせる。
「そんな、の汚い…」
「汚くない…お前の全部が甘いし愛しい」
「うぅ…もう、お願い…うずうずするの…」
赤くなったメルージェは涙目で足を軽く広げて懇願する。
その言葉と仕草に彼はご褒美を与えるように、広げられた足の間に膝をつき、すでに限界まで昂った自身をその熱い入り口から一気に根元まで押し込んだ。
「ん、んっ!んーー!」
口付けのため達した声は声にはならず、ヒューリの口の中で溶けた。
「ん……っ、はぁ……」
口内に響く甘い喘ぎに煽られ、ヒューリは一度唇を離した。息も絶え絶えなメルージェの顔を見下ろす。完全に蕩けきったその表情に、征服欲が満たされていくのがわかった。
「すげぇ、きつ…」
ニヤリと笑うと、今度はゆっくりと腰を揺らし始めた。子宮の入り口を抉るように先端を回転させる。そして、また少しだけ引き抜き、また深く。その繰り返しがじわじわと快感を増幅させていく。
「あ…俺ももう……ぅぐ…」
激しい律動が止まり、静寂が訪れる。ヒューリは繋がったまま、メルージェの上に倒れ込んだ。
つづく。




