第11話 夜中の訪問者
性的描写があります。
長い沈黙とぽつりぽつりと昔話をする夕食が終わり、各々が部屋へ、メイドたちは後片付けを。と自分の時間を過ごしていると、メルージェのドアを誰かがノックする。
「ヒューリかなぁ?」
沈んだ心が浮上するような気持ちで、ドアを開く。
「……アル」
そこに立ってたのはアルフレッドだった。少し話したい。と言って中に入ると、間接照明だけの明かりに照らされた2人はソファに腰掛けた。
少し沈黙の後、アルフレッドが口を開いた。
「この婚約は、君の意志など関係なく、既に盤石なものになっている。むしろ、こうして君が私を拒絶すれば周りは君を『王家に逆らう女』として見るだろう。……それでもいいのか?」
「そんな……アルの事嫌いじゃない。でも結婚は…」
「……考えたんだ…その獣人をメルの専属使用人として迎えよう。行く行くは、あ、愛人にしてもいい…それでもダメか?
メルがその獣人と一緒に居たいと思うのと同じに俺もメルと一緒に居たいんだ…」
アルフレッドの心臓は軋み、声は震えて、懇願するように俯いた。
ただメルージェと一緒に居るにはどうすればいいかと模索して、この答えが出たのだろう。
「アル…そこまでして…」
メルージェも薄々はわかっていた。
国にとって最良の婚姻相手が自分だと言うことに。それでも自由な恋愛に憧れていた少女が初めて自分から好きになったのが、獣人のヒューリだっただけの事だった。
「わかったわ。でも本当に彼を使用人として連れて行くのを約束して」
「ああ……約束は守る。」
アルフレッドは席を立つと、メルージェをいきなり横抱きにし、ベッドの上に降ろした。
「な、なに?」
「宮廷医が君の体を調べたら、処女じゃ無いのがバレてしまうだろう?
だから先に別荘で愛し合った事にしようと思って。」
「そう、かもしれないけど、それなら嘘で良くない?本当にしなくても…」
「あぁ…これは嫉妬だよ…
少しでもいいから、俺も見て欲しいんだ…」
アルフレッドはメルージェに覆いかぶさると、肩に顔埋めた。首に残る微かな痕跡に目を留めると、おそらく、あの獣人の男がつけたものだろう。それを消し去るように、彼はそこに強く吸い付き、新たな所有の印を刻みつけていく。
「んっ。アル、待って!こんな事…」
「嫌いになっても良い…ただの幼なじみより、俺に感情をぶつけてくれた方がマシだ…」
揺れる空色の目から涙が零れるのを見たメルージェは、自分も悪いから嫌いにはならない。とアルフレッドを抱きしめた。これからも彼を傷つけるのだとわかっていたから。
「ごめんメル、愛してる…
君の全てを、俺のもので満たしたい。」
深い口付けから、彼の手は大胆になり、豊満な胸を揉みしだき始めた。
「あ!はっ、んっ」
ヒューリとは違う手つきにビクリとなると、声を出さないように手で口を覆うが、それも意味をなさない。紛れもなくヒューリに調教された体になっているとメルージェ自身もわかっていたから。
「……っ、いい声だ。」
メルージェから零れ落ちた甘い喘ぎ声に、アルフレッドは満足げに口角を上げた。その反応が、自分以外の男によって教え込まれたものだという事実に嫉妬心が燃え上がるが、それ以上に今この瞬間に彼女を自分の腕の中に組み敷いているという優越感が心を満たした。
「かわいいな…」
彼はそう言いながら、指先で硬くなった突起を弄び、舌でその先端を舐め上げる。メルージェの顔は赤くなり、ヒューリに教え込まれた熱なのか、アルフレッドから与えられる熱なのか、もうわからなくなっていた。
「どうした? いつもと違うのか? ……まあ、当然だな。そいつとは違う。」
「比べたり、なんか、ん。
しないわ…アルはアル、彼は彼よ…」
「ふっ……そうか。」
メルージェから返ってきた予想外の答え。それは彼の征服欲を煽るものではなく、むしろ静かに心の湖に落ちる一滴の雫のようだった。自分の行為がただの意地の張り合いで、彼女の中では何の意味も持たないのだと思い知らされた。だが不思議と腹は立たなかった。むしろ、そんな彼女だから惹かれてしまったのだと、改めて実感する。
「君は、本当に…お人好しなんだな。」
彼は呆れたように首を振り、そして再び彼女の柔らかな身体に顔を埋めた。
「あっ。ごめんねアル…」
「分かっているさ。これはただの、俺の我儘だ。……だが、それでもいい。今は、こうして君を感じていたい。」
彼はもう一度、今度は確かめるように優しい口付けを交わす。指は彼女の足の付け根へとゆっくりと下りていく。
「んん!」
アルフレッドに秘部を触られ声が出る。
指の動きを速めると、彼女の身体がびくびくと痙攣し始め、絶頂が近いことを悟ると、彼はその様を愉悦に満ちた瞳で見下ろす。
「アル、いや、きちゃう!んー!」
びくん、と大きく身体を震わせ、メルージェは甲高い声を上げて果てた。彼女の乱れた姿に、アルフレドの欲望はさらに熱を帯びていく。彼はすぐに自らの昂りを彼女の潤んだ入り口にあてがい、躊躇なく一気に根本まで突き入れた。
「っ……! あぁ……熱いな、君は。」
絶頂の余韻残る中、アルフレッドの大きく疼いてるものが入ってくると、メルージェはまた達すると締め付けが増す。
ヒューリみたいに子宮には届かないが、太めのアルフレッドのものは、メルージェの下腹部を圧迫した。
「アル、待って今動くと…」
彼は荒い息をつきながら、一度動きを止めた。メルージェ下腹部が己の形でぽっこりと膨らんでいるのを満足そうに見つめ、それからゆっくりと腰を動かし始める。
「ん…ダメ…」
「ダメじゃないだろう? 気持ちいいのだろう?」
彼はまるで獲物を追い詰める捕食者のように、逃げ場のない一点だけを狙い続けた。メルージェの「ダメ」と繰り返す声すらも、彼にとっては媚薬でしかない。
「いい声だ、もっと聞かせてくれ。お前のその可愛い声で……俺をもっと狂わせてくれ……。」
彼の腰の動きは次第に速さと激しさを増していく。ベッドがきしみ、部屋には二人の肌がぶつかり合う生々しい音と、途切れることのない声だけが響き渡っていた。
「あ、そんな速いの、ダメ!…」
アルフレッドもメルージェの限界が近いとわかると最後の力を振り絞るように、それまでで最も速く、そして深い突き上げを数回繰り返した、次の瞬間。
「ぐっあぁ!」
メルージェのきつい締めつけと同時に、アルフレッドもまた抗いがたい快感の波が押し寄せ、彼女の中に己のすべてを注ぎ込んだ。
「はぁ……はぁ……」
全身の力が抜けたように、アルフレッドはメルージェの上に覆いかぶさった。やがて、少し落ち着きを取り戻したアルフレッドが、まだ荒い息のまま、メルージェに話しかけるが、返事がない。顔を覗き込むと、メルージェは寝息を立てていた。
「…すまない…」
つづく。




