やろうぜ!ヴァトライド!
お昼ご飯を食べ、眠くなる様な時間帯。私立南ヶ丘学園中等部に通う三年生、杢代 一輝は、窓側の席で授業を聞き流し、その他風景を眺めていた。
すると・・・
「杢代くん!聞いてますか!?ここの問題!答えなさい!」
女性教師のうるさい声が教室に響く。担任教師でもある、桜木 凛香のものだ。
「チッ!・・・x=6、x=3。」
「正解です。聞いてたんですね・・・でも、舌打ちはダメ!特に目上の人には、失礼ですよ!」
「ああ・・・はいはい。」
桜木先生の指導が鬱陶しく感じた一輝は、適当な返しをして、着席する。
一輝は成績優秀の特待生だ。この程度の授業は聞かずとも、問題を見ればすぐに解ける。
手応えの無い日々、退屈な日、倦怠感を纏いながら、また今日も終わっていく。そう思ったその時、
空から何かが、校庭に降ってきた。
「ん?カード?」
そう、風に靡く1枚のカードが、視界に飛び込んで来たのだ。
もしかすると、この時の一輝は既に、何かが始まる予感を感じていたのかも知れない。
「ありがとうございました!・・・ッ!」
授業終了の挨拶を終えると、すぐに校庭へ向かった。
「えっ!ちょっと、一輝!?」
普段と様子が違う一輝を、幼馴染の忍澤 美夜未が追いかける。
校庭のど真ん中、そのカードはあった。
「あった!」
「ちょっと待ってよ!一輝、どうしたの!」
自分を心配する未夜美を無視して、カードに駆け寄る。
「これは・・・確か、ヴァトライドのカード?」
一輝はカードを手に取ると、カードの表を見る。
「「輝きの竜 シャイニングドラゴン」・・・」
そこには勇ましい赤竜の騎士が描かれている。
「誰かの落とし物かな?」
「いや、コイツは空から降ってきた。」
「じゃあ、屋上から風に飛ばされて・・・」
「こんな弱い風で、屋上からここまで届くかよ。」
『然り、我は貴様を選んだのだ。断じて、誰かの落とし物などではない。』
「ん?未夜美、何か言ったか?」
「私じゃない!ってかそんな渋い声してないでしょ!」
「そ、そうか・・・」
『ここだ!私の声だ!』
そう言ってカードは浮遊する。
「カードが・・・「シャベッタアアアアア!!!」」
「そんなことすら知らなかったのかお前ら。」
声の方を見ると、親の顔より見た青髪のイケメン、天道 剣がポケットに手を突っ込んでこちらに歩いてくる。
「剣・・・」
「ヴァトライドカードは『異世界』と、この世界を繋ぐカード。カードを通じて「赤の世界」の、そのモンスター本人と繋がってるのさ。」
「そうなのか・・・」
「お前が持ってても、馬の耳に念仏、猫に小判・・・俺が貰ってやるよ!」
そう言って差し出す剣の手を、一輝は無言で拒む。
「いや、落とし物かも知れないんだから、職員室に届けよう?」
『だから、我は落とし物では・・・』
「悪い、なんかコイツに、運命的な何かを感じるんだ・・・だから、渡さない。」
「そうか、なら・・・」
「ちょっと、剣?力尽くで奪うとかやめてよ?」
「違えよ!
・・・やろうぜ!ヴァトライド!」
「これまで何度誘っても、「興味ない」って突っぱねられたが・・・そのカードに運命感じたんなら、もう「興味ない」は通用しないぜ!」
「・・・フッ、仕方ねえな!」
「よし!じゃあ、放課後カドショ集合な!ヴァトライドで、学内無敗のこの俺が、キッチリ教えてやるぜ!」
「よう!待たせたな!」
カードショップの前で待つ一輝と未夜美に剣が合流する。
「お前、それ・・・」
一輝が剣の右肩の辺りで浮遊するカードを指差す。
「ああ、俺の契約モンスター。「ルアード」だ。」
『ルアードだ、よろしく頼む。』
ってか、なんで未夜美もいるんだよ。」
「私もちょっと興味出て。・・・それに今日は何も予定なかったし!」
「・・・まあ、いいか。行こうぜ!」
剣は二人と肩を組みカードショップに入る。
「デッキは50枚以上、同名のカードは4枚までだ。」
「わかった。」
カードショップのストレージコーナーでカードを揃え、デッキを作る一輝。
「一通りデッキは出来たな!じゃあ早速ファイトだ!ルールはやりながら教える!」
「お、応。」
お店のファイティングステージを借り、向かい合う一輝と剣。
「見てろ、これがデッキセットだ!
顕現せよ!心を繋ぐ、未来の竜!
デッキセット!『天翔る超神竜』!」
ファイティングステージでのファイトは、デッキセットしたら自動でシャッフルしてくれるが、そうじゃない場合はあらかじめシャッフルして置くのを忘れずに。・・・お前もやってみろ!」
「よーし、デ、デッキセット、『輝きの竜』!」
セットしたデッキがシャッフルされる。
「デッキセットをしたら、山札の上から10枚をライフデッキに置き、4枚引く。その4枚のカードが手札だ。」
「10枚と、4枚・・・」
「そして、ファイターゾーンに契約モンスターを裏向きで置く。これで準備完了だ!」
「こっちも出来たぞ。」
「じゃあ、早速始めようか!」
ファイターゾーンの契約モンスターのカードに手を置き、構える剣。それを真似て契約モンスターに触れると、ホログラムディスプレイが表示される。
「『CONTRACT OPEN』?」
「それがファイト開始の掛け声だ!『コントラクト・オープン ヴァトライド!』の掛け声と共に契約モンスターのカードを表にすることでファイトは始まる!準備はいいか!?」
「ああ!」
これまでにないワクワク感を胸に、一輝はその言葉を叫ぶ。
「「コントラクト・オープン ヴァトライド!」」
「そうしたら、先行から使う属性と契約モンスターのカード名を宣言するんだ。今回はティーチングファイトだから、俺が先行で行くぜ?」
「わかった。」
「赤属性、「ルアード"THE・ソードワイバーン"」!
お前の番だぜ。」
そう言って、剣は宣言を促す。
「よーし・・・
赤属性、「輝きの竜 シャイニングドラゴン」!!!」
登場人物紹介
杢代 一輝
性別男身長165cm年齢15歳
赤い髪に黒メッシュ、純黒の瞳の無愛想な少年。南ヶ丘学園中等部に通う中3。
剣と、未夜美とは幼馴染で、剣の勧めでヴァトライドを始める。
契約モンスターは「輝きの竜 シャイニング・ドラゴン」




