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――ザシュッ
目の前の異物に驚いていると後方から足音が聞こえ振り返る。
そこにいたのは、ツンヌス釣りの因縁の相手。
何故かヌワルリェスでは姿を現さなかったタラースの野郎がそこにいた。
「おや?つまんねえ仕事かと思ったら、面白い奴が釣れてんじゃねぇか!久しぶりだな。リグニッキャの負け犬よ」
「ちッ!ルシュキー!リュボフを頼む」
「お、おう」
リュボフをルシュキーに任せて、武器を構えタラースの前へ進み出る。
今回は前の様にはいかないぞ。前と違って今はルシュキーがいる。
それに今回はタラース一人だけだ。数の優位はこちらにある。
そして、俺は前からかなり成長してんだよ!
「相変わらず威勢だけはいいガキだぜ。だが、今回も負けるのはお前だがな」
「ご主人!」
「安心しろ、リュボフ。前の様にはいかない。今回は俺が勝つ」
今日、ここでこいつは始末する。




