68-不審者
「え?えっと、あんた何してんの?」
「ん?これはブルガリアンスクワットだ。下半身を鍛えてる。せっかく来たけど、誰もいなくて暇だったから日課の鍛錬の続きをと思ってな」
誰もいない教室の中で、誰かが来るのを待ってるついでに筋トレをしてると、マヤ・エンフィルドがやって来た。
これが顔見知りでよかった。全く知らん人だったら、危うくまた問題になるところだった。
いやなら、最初っから大人しく待っとけっていうのは、ごもっともな話ではある。
「誰もいない教室で一人で?しかも、ここあんたのクラスじゃないし」
「ま、ぜひ来てくれと誘われたんでな」
「確かに誘いはしたけど、この朝早い時間に来る?普通。貴族ってのは常識がないわけ?この前の奴といい、あんたといい」
「ぐっ」
ボニフォーツの野郎と一緒にされるのは癪だが、何も言い返せない!
「ま、時間まで指定してなかった私も悪いか」
くっ!バカを見る目で見られている!けど、エンフィルド家に喧嘩をうるのは得策じゃないから大人しくしておこう。
それにマヤはぜひとも戦力に加えたいし。




