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モブ貴族の生存戦略〜貴族に転生したけど滅亡確定なので知識で作品をボコります〜  作者: 猫越岳 凜


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59-マヤ・エンフィルド

「すみません!ちょっと、用事があるので失礼します……!」


先程から、近くにいる道行く生徒に、自ら声をかけに行くがこの有り様である。

それも仕方ないか。それだけ、ボニファーツと決闘した事実が、大きな悪影響を与えてるのだ。


彼ら生徒は、特待生という例外を除けば、全ての者が程度の差こそあれど貴族である。

そして、貴族というのは厄介な事に、派閥があって人との関係性というのがとても大切になってくる。

それは俺達学生でも変わりはない。


だからこそ、ヴェルソヤ地方の有力貴族であるシュテルツィヒ家の次男であるボニファーツと決闘を行い、敵対関係になっている俺とは、誰もつるみたがらないのだ。

俺の立場がもう少し違かったら、話は別だったかもしれない。


例えば、シュテルツィヒ家を凌ぐ公爵家とか。

しかし、現実とは残酷なもので、俺は王国に数多くいる有象無象の伯爵家の四男に過ぎない。

天秤にかけたときにどっちを取るかは決まっている。


おそらく、フィーネもその関係で親なり何なりに、俺との関係をあまり持つなと忠告されたのだろう。

家に帰るなり、タチャーナに決闘の事を指摘されたくらいだ。娯楽の少ないこの世界、思ったより噂が広がるのが早いらしい。

尾ヒレ背ヒレをつけて、あることないこと付け加えた噂が、フィーネの関係者の耳に入ったのは、容易に想像できる。


だからこそ、最近あんなにもよそよそしいのだ。


はぁ。決闘を行った代償は思ったより大きいな。


今更ながらに、何であの場にいた誰もが遠目から眺めるだけで、誰もマヤ・エンフィルドを助けようとしなかったのか理解した。

こういった柵があるから、誰もシュテルツィヒ家と敵対するかもしれないというリスクを背負ってまで、たかだか平民であるマヤを助けようと思わなかったのだ。


そして、それは平民である特待生側も同じで、有力貴族であるボニファーツに目をつけられるリスクを背負うくらいなら、例え同級生であろうとも見捨てたという事だろう。

それが彼ら平民の処世術で、根っからの常なのだ。


あの決闘は、平民という身分で貴族の面倒な柵もなく、主人公という身分だったプレイヤーだからこそ、対処できるものだったのだ。

で、これがゲームではなく現実で対処すべき主人公がいなかった時点で、誰にもどうする事もできなかったのだ。


言うなれば、あれはマヤ自身が決闘で勝つのが最善策であったのだろう。ま、あの時点でボニファーツにマヤが勝てないのがわかってたから介入したのだが。

もしかしたら、本来はマヤがボニファーツに負けるのが正史だったのか?


「エズワルドって、あんたよね?」


そんな突拍子もない考えが頭に浮かんだところで、声をかけられた。

そこに居たのは、マヤ・エンフィルドであった。


「ま、そうだけど何か用?」


「用って……あんた、私の代わりに決闘を引き受けて助けたの忘れたわけ?」


「そう言われれば、そうだったな。色々あり過ぎて頭から抜けてたわ。で、それで?」


「それでって……。助けて貰ったんだから、お礼を言いに来るくらい当たり前でしょ!」


「そういうもんか?」


俺の返答に対して、マヤがガックシと肩を落とす。その表情は『何なのこいつ』と呆れた顔をしている。


何かこいつちょっとスサンナと似てるな。

ま、この部分はゲームでもそうで、この個性で熱狂的なファンもいたもんだな。


でも、スサンナとキャラ被りしてるからこっちとしては困るんだが。

いや、そもそもゲームではスサンナ何ていうキャラいないから、マヤ側からしたら何のこっちゃという訳だが。


ま、俺の推しはフィーネだから、ゲーム中は特になんとも思ってなかったし、別に関係ないのだが。

どっちかというと戦力として見てる。


「はぁ。それにあんた決闘の件で大変な目にあってるみたいじゃない?学園中で根も葉もない噂が飛び交ってるわよ?曰く、授業をサボって帰ってるだとか、早朝の学園で奇妙な事を口走ってるとか、子供の奴隷を引きずり回してるとか」


「いや、はは……」


それ、根も葉もないってか全部事実です。そうです私がやりました。

いや、確実によくない伝わり方してるのはわかるけど、事実なのは事実だから否定しづらい。


「これもそれも、決闘のせいなんでしょ?お貴族さまってのは大変ね」


全く大変そうとも思ってない軽い感じで言われる。

う〜む。全く貴族に対する敬意ってのが感じられない。

ま、それもそうか。エンフィルド家は貴族をも凌ぐ資金力ある大商家だ。小貴族程度なら潰せるだけの実力はある。


つまり、平民といえどマヤと俺はイーブンな力関係なのだ。

あとそれと、そもそも学園の方針事態が身分関係なくだからな。


「ま、それに関しては俺が勝手にしたことだから別にいいんだけど」


「けど、そのせいで交友関係が壊滅なんでしょ?」


「うっ……」


 こやつ!痛いところを的確についてくる!


「だから、その件は私にも要因があるわけだし、お礼も兼ねて特待生クラスに一度来ない?あんたこっちでは結構人気なのよ?」


「へ~そうなのか。なら、今度行こうかな」


「ええ。ぜひ、来るといいわ!」


 これは渡りに船だな。確かに、貴族側でボッチ解消は難しそうだし、特待生側を攻略しよう。

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