55-リズとリヌ
「で、一体その子達は何なのですか?エズ様」
まずいことになった。
ボニフォーツから、奴隷の子供を二人押し付けられ、何とか学園をやり過ごして帰ってきた俺に待っていたのは、タチャーナによるきつい追及であった。
奥にいるスサンナが、冷めた目で俺を見ているのが分かる。
いや、この子達を虐待したのは俺じゃない!ボニフォーツとかいう悪役貴族だ!
俺はただのモブだぞ……?
と、現実逃避はそこそこにこの状況の説明をしないとな……。
「えっと……。決闘の戦利品で貰った」
「この子供の奴隷を二人ですか?一体、シュテルツィヒ家の次男と、どんな決闘を行ったんですか」
タチャーナが呆れ顔でため息をつく。
「いや、色々あったんだよ。ま、結果として今日約束通りにこの子達を、半ばボニフォーツに押し付けられる形で貰った」
う〜む。この子供たちの年齢は6つかそこらか?いや、もしかしたらもう少し上なのかもしれないが、今までのいた環境が劣悪であったせいか、発育が遅く判断がつかない。
どうやら性別は、一人が女の子で一人が男の子のようだ。
ボニフォーツがどんな用途で使ってたか知らないが、薄汚れていて、服もボロボロで、まともな使い方はされてなかっただろうなと言うのがわかる。
「はぁ。仕方ありません。ここは、私が譲歩しましょう。どうせ、この子達を送り返す先などないのですから」
「助かる!タチャーナ!」
よし!一先ずこれで問題が一つ解決した!
「で、この子たちの名前は?」
「そう言えば名前を聞いてなかった。何ていうんだ?」
「リズ」
「リヌ」
「だ、そうだ?」
二人が消え入りそうなか細い声で答える。
ちなみに女の子の方がリズで男の子がリヌだ。




