51-普通にバレてた
「シュテルツィヒ家のご子息様と決闘したようですね」
「ごほっごほっ!情報が早いな」
リュボフとのダンジョンツアーを終えて、家に帰って夕食を取っていると、タチャーナに今日のボニフォーツとの決闘の事を言われて、思わずむせてしまった。
一体、どっから情報を掴んだんだ?いや、あれだけの数の学生が見てたんだし、噂話が俺がサボってた午後に広まって、タチャーナの耳まで入ったんだろうな。
それにしても、タチャーナの耳に入るまで早すぎないか?だって噂が広まるとしても学生だけだろ?
どうしてタチャーナにまで伝わるんだ。
ま、別に決闘した事がバレたところで痛くも痒くもないからいいんだけど。
「エズ様。自分のしでかした事の大きさを理解しています?ご実家とシュテルツィヒ家の関係を、ご存知でないとは言われませんよ」
「うっ。理解はしてる。だけど、所詮子供同士の喧嘩みたいなもんだぞ?」
「はぁ。その認識がそもそも間違ってますが、この際それは置いておきましょう。例え子供同士の喧嘩でも、それが貴族においては家同士の確執に繋がり兼ねない事を覚えておいて下さいね!」
「わかった、わかった。はぁ。対処を間違えたか?で、この件はもしかして父さんに……?」
「勿論、連絡いたしましたよ。まぁ、あちらはあちらで何とかするでしょうが。それとは別にエズ様にお叱りがあるかも知れませんが、私には無関係なので存分に怒られて下さい」
「は、薄情な」
「元はと言えば、エズ様の軽率な行動の結果ですよ。エズ様はもっとリグニッキャ伯の四男という自覚を持つべきです。はぁ。今後この様な事がないようにして下さい?」
「わかったよ」
決闘の件で思った以上に説教を受けてしまった。しまったかな。ゲームのイベント事とはいえ無茶をした。
しかし、これもそれも主人公がいないのがいけないし、何よりもボニフォーツが全て悪い!
はぁ。厄介事は忘れるに限る……。
「あ」
「どうなさいました?」
「いや、何でもない」
嫌なことを思い出した。ボニフォーツとの決闘で勝ったから奴隷が二人増えるんだった……。
何で一つの出来事でこうも厄介事が増えるのだ!
「ご、ご主人!いきなり抱きつくのはやめるのだ!」
あぁ……。もう今日はリュボフをもふもふして全て忘れよう。
問題ごとは明日の俺が何とかしてくれるはずだ。




