45-決闘の行方
ごちゃごちゃ考えても仕方ないか……。
そう結論付けて、ボニフォーツと相対する。ボニフォーツは貴族らしく、レイピアを構えているが、俺は素手で戦う事にした。
「どうした?エズワルド!さっさと武器を構えろよ!それとも怖気づいたか?」
「武器ならもう構えている。お前には素手で十分だ」
「てめぇ!エズワルドのくせに!三流貴族のリグニッキャの四男のくせに!舐めやがって!後悔すんなよッ!」
激情したボニフォーツが、一直線に駆け寄ってくる。
はぁ。わざと挑発をしたが、ここまであっさりと引っかかるとは。
ま、おかげで俺としてはやりやすい。なぜなら、ボニフォーツの動きが単調になって読みやすいからだ。
突っ込んでくるボニフォーツを寸前のところで、半身を横にして躱す。
「なッ!」
まさか躱されるとは、思ってもいなかったのだろう。ボニフォーツが驚愕の表情を浮かべている。
ふむ。別に身体強化せずとも勝てるから、生身の力で戦おうと思ったが、やめた。
どうせこの時点で悪目立ちしてるのだし、お灸を据えるためにも全力で叩きのめそう。
「『身体強化』」
「てめッ!魔法を……ッ!」
「歯、食い縛れよ」
半身で躱されたあと、こちらに振り返って何やらごちゃごちゃと言っているボニフォーツに対して、全力の腹パンを叩き込む。
威力のデカさに、ボニフォーツがそのまま後方に吹き飛び、地面に叩きつけられる。
そのあと、一瞬の静寂の後に、ボニフォーツが気合いで片膝を付けながら立ち上がる。
しかし、衝撃のあまり貴族としてはみっともなく、胃の内容物を地面にぶち撒けた。
ま、昼前なのが幸いしてまだそこまで酷くはない。
これで誰の目にも勝利は明らかであろう。
「て、めッ!これで……はぁはぁ。勝った、と!おも、うなよッ!俺はァ!まだ……はぁ……負けてねぇ!」
「諦めの悪い奴だ。そんなに明確な負けが欲しいのか?」
この諦めの悪さを別で活かせたら、こいつも優秀な貴族になれただろうにな。
そんな事を思いながら、ボニフォーツに明確な負けを与えるために、ある魔法を使う事にした。
「死んでも知らないからな!後悔すんなよ!『雷』」
ここ最近で習得したサンダー。まだ、成功率は五分五分なのだが、成功すればこれ以上にわかりやすい魔法はない。
そして、運良く発動に成功して、ボニフォーツの足元にけたたましい音を立て、稲妻が降り注ぐ。
それと同時にボニフォーツは気絶して失禁した。
ふぅ。直撃しなくてよかった。直撃してたら、多分死んだからな。
「貴様ら!そこで何をしている!」
そんな変な安堵をしていたら、新たな厄介事が現れた。




