36-帰宅
拙作をお読みいただき、ありがとうございました。
「おかえりなのだ!」
帰ってくるなり、いきなりリュボフに襲われる。そしてそのまま、服をわしゃわしゃにされてしまう。
どうして、リュボフはこんなにお転婆なのだ。俺と同じ歳だからもう少し落ち着いてほしいのだが。
ま、可愛いからいっか。俺もお返しにリュボフをもふもふして、ついでに吸う。
「ご主人!ご主人!ダンジョンに行きたいのだ!」
「ダンジョン?」
そういや、ゲームにはそんなもんもあったな。けど、いきなりダンジョンに行きたいなんて、どうしたんだ?
「スサンナが、エズ様がいない昼の間にリュボフに絡まれて、引き剥がすために、『ダンジョンにでも行けばいいでしょッ!』と言ったせいですよ」
タチャーナがやって来て、ことの真相を教えてくれる。はぁ。面倒な事をしてくれたモノだ。
タチャーナの近くにいたスサンナを、恨めしそうに見ると、慌てた様子で弁解してくる。
「しょ、しょうがないでしょ!こっちも大変だったのよ!」
……こいつ、元は盗賊のはずだよな?何でこんなに馴染んでんだ?ま、タチャーナの所有物だから、俺が深く考えるのはやめよう。
それにこいつを見逃したのは俺自身だし、色々と役には立ってるからな。
役には立ってるんだけど、態度のデカさがな……。いや、それは今に始まった話じゃないか。
それより、今はリュボフをどうにかするのが先だな。
「また今度一緒に行こうな。リュボフ」
「今から行きたいのだ!ご主人!」
「エズ様。まだ、外も明るいので、行ってきても大丈夫ですよ」
「いや、今日は色々あって疲れてるからな。休みの日に一緒に攻略しに行くよ。それで我慢してくれ、リュボフ」
「くぅん。しょうがないのだ。なら、さっさとごはんにするのだ!」
リュボフはそう言い残して、玄関を駆けていって食堂の方へと向かっていった。
その後を追うようにスサンナもこの場を離れる。
あいつ……俺の追及から逃れる為に、体よくリュボフを追うのを利用したな。
あとで折檻してやろ。
「そういえば。今日、ボニフォーツにあった」
タチャーナに、今日学園で起きたことを話す。特にボニフォーツの事は伝えておこうと思った。
「そうですか。シュテルツィヒ侯との関係は維持しなくてはなりませんから、少し大変ですね……こちらでご当主に報告しときます」
ま、本来ならそうなんだろうけど、すでにガン無視決め込んだからちょっとヤバいかも。
どのみちアイツ追放されっから別にいいか。
「あ。あと、フィーネって女の子と席が隣でさ、仲良くなったんよ。それで、今度家に呼ぶかもしれない」
「フィーネですか?ちょっと存じない方ですが」
「デューシキャ男爵の三女らしいよ」
「デューシキャですか。エズ様の好みなんですか?その子は」
「ごっほごっほ。いや、そんなんじゃないけど」
タチャーナが急に直球で聞いてくるので、むせてしまった。
「そうですか。学園は三男や三女以降が、結婚相手を探す場でもあったりするので、その子にご相手がいなければ積極的行ったほうがいいですよ。まぁ、大きなお世話かもしれませんが」
確かに学園はそういった面もあるんだった。
う〜ん。俺に婚約相手は居ないし、頑張ってフィーネと仲良くするしかないな。
まずは、愛称で呼んでもらえるよう頑張っていこう。
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