35-散策
「それじゃ、また明日」
「はい、また明日」
学園の初日も終わり、フィーネと別れて帰路に着く。
といってもまだ外も明るく、時間の余裕もあったので王都観光も兼ねて寄り道してく事にした。
「と言っても、どこに行こう?」
観光と行っても王都はゲームで散々走り回ったので、どこに何があるか大体わかる。
なら、ここはひとまず冒険者ギルドに行って、クエストの下調べでもするか。
「てな、わけで王都の冒険者ギルドに来たが圧巻だな」
王都の冒険者ギルドは、流石ともいえる建築物で、リグニッキャのギルドと比べて、規模も荘厳さも倍以上に凄かった。
流石は王都の冒険者ギルドだ。
ゲームではよく訪れたな〜。といっても、ストーリー的にはそんなに大きな意味はなく、クエストを受けるだけの場所って感じだったが。
「お?学園の生徒か?そういや、今日は新入生の入学式だったか。なんだ、冒険者の登録にでもきたのか?」
冒険者ギルドの前でちょっと感動に浸ってるとハゲ頭の大男が声をかけてくる。
そういや、チュートリアルでこんなのあったな?確か。
「いや、俺はもうすでに冒険者だ。今日は時間に余裕があって暇だったから、位置確認も兼ねてちょっと寄っただけだ」
「ほ〜ん。そうか。ま、何かここで困った事があったら何でも聞いてくれや」
大男はそう言ってギルドの中に入っていった。
う〜ん。どうしようかな。このままギルドに入るか、それともこのまま帰るか。
「ま、いいや。帰って王都のメシ屋のリサーチでもすっか」
このまま入ったら、イベント事が始まるかもしれないので、放置して王都の観光の続きをする事にした。
クエストの確認をしたかったが、それはまた今度の機会に、リュボフと一緒に来てする事にする。
そのまま、ギルドをあとにして散策を続ける。散策を続けていると何やら胃を刺激する匂いがしてくる。
それに釣られて歩いていると、出店が立ち並ぶ場所にやってくる。
「そういえば、こんな場所もあったな」
ゲームでチラッと登場した出店が立ち並ぶエリア。
ちょうど小腹も空いてたし、ここで少し腹ごしらえしていこう。
色々な出店が立ち並び異国情緒を感じさせるそこに、あってはならないモノを見つけてしまった。
「何でこの中世ヨーロッパの世界観の王都にイタリアンがあるんだよ……」
イタリアン。それは新潟県人のソウルフードであり、イタリアンという名前ながら、実態はミートソース焼きそばとかいうようわからんB級グルメである。
てか、ゲームにこんなのあったか?裏設定か何かか?だとしたら、ゲームの制作に新潟県民がいたな。
ま、それはおいといて、小腹も空いてたし、せっかくだしちょうどいいからイタリアンを食べよう。
「らっしゃい!」
「イタリアン一つ」
「あいよッ!イタリアン一つね。そしたら、大銅貨一枚ね」
「これで、頼む」
「銀貨一枚ね。そしたら、イタリアン一つと大銅貨九枚のお返しね」
俺はイタリアンとお釣りを受け取って出店をあとにする。
久しぶりに食べたイタリアンは美味かった。
けど、こういうことじゃないんだよな。




